安全衛生情報センター
労働安全衛生法施行令等の一部を改正する政令(平成24年政令第13号。以下「改正令」という。)が平成 24年1月25日に公布され、一部の規定を除き平成24年3月1日から施行することとされたところであるが、 その改正の趣旨、内容等については、下記のとおりであるので、その施行に遺漏なきを期されたい。
1 改正の趣旨 改正令は、放射線業務に、サイクロトロン、ベータトロンその他の荷電粒子を加速する装置(以下「放 射線発生装置」という。)から発生した電離放射線により汚染された物を取り扱う業務を追加するため、 労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「施行令」という。)について所要の改正を行うこと としたものである。 また、労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成18年政令第257号。以下「平成18年一部改正 令」という。)により、石綿については、代替化が困難であるとして平成18年一部改正令附則第3条に規 定された物(以下「適用除外製品等」という。)を除き、製造、輸入、譲渡、提供又は使用(以下「製造等」 という。)が禁止されたが、適用除外製品等のうち代替化が可能となった物については、その後附則第3 条から削除されてきたところである。今般、製造等の禁止の規定が適用されていない適用除外製品等に ついて、全て代替化が可能となったことから、その製造等を禁止するため、平成18年一部改正令につい て所要の改正を行うこととしたものである。なお、本件改正をもって適用除外製品等は全て削除され、 石綿の新たな製造等は禁止された。 2 改正の内容及び留意事項 (1) 施行令の一部改正(改正令第1条関係) 施行令別表第2に定める放射線業務に、放射線発生装置から発生した電離放射線により汚染された 物を取り扱う業務を追加するものであり、具体的には、放射線発生装置を点検・整備する業務、放 射線発生装置を解体する業務等が該当すること。 (2) 平成18年一部改正令の一部改正(改正令第2条関係) 適用除外製品等として、平成18年一部改正令附則第3条に規定されていた以下に掲げる物の代替化 が可能となったことから、附則第3条を削除し、製造等を禁止することとしたこと。 ア 石綿ジョイントシートガスケッチングから切り出した石綿(アモサイト及びクロシドライトを除 く。イにおいて同じ。)を含有するガスケットであって、改正令の施行の際現に存する本邦にある 化学工業の用に供する施設の設備(配管を含む。以下同じ。)の接合部分に使用されるもののうち 直径1500mm以上のもの イ 石綿又は石綿を含有する製剤その他の物であって、アの原料又は材料として使用されるもの (3) 施行期日(改正令附則第1条関係) 改正令は、平成24年3月1日から施行することとしたこと。ただし、(1)については平成24年4月1日 から施行することとしたこと。 (4) 経過措置(改正令附則第2条及び第3条関係) ア (2)に掲げる物のうち、改正令の施行の日(平成24年3月1日)において、現に使用されているもの については、同日以後引き続き使用されている間は、製造等の禁止の規定は適用しないものとし たこと。(改正令附則第2条第1項関係) なお、改正令附則第2条第1項の「現に使用されているもの」とは、平成18年一部改正令附則第2 条第1項の「現に使用されているもの」と同様に設備の接合部分に組み込まれているものが該当す るものであること。 イ 改正令附則第2条第1項により製造等の禁止の規定が適用されない物については、引き続き労働 安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第57条第1項の表示(以下単に「表示」と いう。)及び法第57条の2第1項の文書の交付等による通知(以下単に「通知」という。)を行わなけ ればならないものとしたこと。(改正令附則第2条第2項関係)これは、改正令により、適用除外製 品等から削除され、譲渡又は提供が禁止されることとなった製品については表示及び通知の義務 が課されなくなるが、改正令附則第2条第1項により製造等の禁止の規定が適用されない物につい ては、引き続き譲渡又は提供が行われることが想定されることから、引き続き、これを表示及び 通知の対象としたものである。 ウ 平成18年一部改正令に関する過去の改正(労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令の一部を 改正する政令(平成19年政令第281号)、労働安全衛生法施行令等の一部を改正する政令(平成20年 政令第349号)、労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令の一部を改正する政令(平成21年政令 第295号)及び労働安全衛生法施行令等の一部を改正する政令(平成23年政令第4号))により適用除 外製品等から削除された物については、平成18年一部改正令附則第4条第2項の規定により表示及 び通知を行わなければならないものとされていたところ、本件改正により同規定が削除されたこと から、引き続き表示及び通知の対象とするため、なお従前の例によるものとしたこと。(改正令附 則第2条第3項関係) エ 改正令の施行前にした行為等についての罰則の適用については、なお従前の例によるものとした こと。(改正令附則第3条関係)