安全衛生情報センター
原子力施設における労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)別表第2に掲げる放射線業務(以下 「放射線業務」という。)に係る安全衛生管理対策については、「原子力施設における放射線業務に係る 安全衛生管理対策の強化について」(平成12年9月19日付け基発第581号(平成13年3月30日一部改正)。以 下「581号通達」という。)によりその徹底を図ってきたところであるが、平成23年3月11日に発生した東 日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所(以下「東電福島第一原発」という。)における事故に対 応するために実施された電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号。以下「電離則」という。)第 7条に規定する緊急作業(以下「緊急作業」という。)の実施に当たって、厚生労働省から同発電所等に対 して行ってきた累次の指導等の結果を踏まえると、原子力事業者等が原子力施設での緊急作業実施時にお ける被ばく線量管理、保護具・保護衣の着用、労働者教育の実施、健康管理の実施等について、あらかじ め必要な準備を計画的に実施しておくことも重要である。 ついては、下記により、原子力施設における元方事業者及び関係請負人を含めた放射線業務及び緊急作 業に係る総合的な安全衛生管理体制の強化及びその徹底を図ることとしたので、その適切な実施に遺漏な きを期されたい。 なお、581号通達は、本通達をもって廃止する。
第1 趣旨及び対象 1 趣旨 労働者の安全と健康を確保するため、計画−実施−評価−改善のサイクルによる安全管理、被ばく 線量管理、健康管理等の安全衛生管理を徹底するためには、原子力事業者(第1の2の原子力施設を保有 する事業者。以下同じ。)のみならず、原子力事業者から直接工事等を請け負う元方事業者による安全 衛生管理が必要不可欠である。また、特に、緊急作業実施時における被ばく線量管理等については、 原子力施設のみならず、原子力事業者の本店・本社・本部組織又はそれらの原子力部門の機能を持つ 原子力施設外の施設(以下これらを総称して「本店等」という。)及び元方事業者がそれぞれの役割を 果たす必要がある。このため、原子力事業者の第一義的な責任のもとに、本店等、原子力施設の長及び 元方事業者の実施事項を明確にした安全衛生管理体制を構築する必要がある。 2 対象 本通達は、次に定める原子力施設における放射線業務及び緊急作業を対象とする。 (1) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号。以下「炉規法」 という。)第13条第2項第2号に規定する加工施設 (2) 炉規法第44条第2項第2号に規定する再処理施設 (3) 炉規法第53条第3号(原子力規制委員会設置法(平成24年法律第74号。以下「改正法」という。)施 行後は第53条第2項)に規定する使用施設等(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法 律施行令(昭和32年政令第324号)第41条に規定する核燃料物質の使用施設等に限る。) (4) 炉規法第23条第2項第5号に規定する原子炉施設(ただし、東電福島第一原発に係るものを除く。改 正法施行後は、同法第23条第5号に規定する試験研究用等原子炉施設及び第43条の3の5第2項第5号 に規定する発電用原子炉施設。) 3 実施事項 (1) 原子力施設を管轄する道府県労働局(以下「原子力施設所轄局」という。)は、管内の原子力施設 の長に対して、第2から第5までに定める事項のうち、当該原子力施設に係るものが適切に実施され るよう、必要な指導を行うこと。 (2) 原子力事業者の本店等を管轄する都道府県労働局(以下「本店等所轄局」という。)は、管内の本 店等の長に対して、第4に定める事項のうち当該本店等に係るものが適切に実施されるよう、第5の 6に定める自主点検を実施させ、その結果の報告を求めるなど、必要な指導を行うこと。 (3) 原子力施設所轄局及び本店等所轄局は、各原子力事業者に対して一体的な対応が可能となるよう、 相互に緊密な連携を図ること。 第2 原子力事業者が元方事業者として実施すべき事項 1 安全衛生管理体制の確立 原子力施設における放射線業務に係る安全衛生管理(以下「安全衛生管理」という。)については、 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「安衛法」という。)及び電離則に基づき各事業者に実施 義務があるが、原子力事業者は、自ら行う作業の一部を同一の場所において請負人に請け負わせてい る場合、安衛法第29条の元方事業者に該当し、また、原子力施設が製造業に該当する場合は安衛法第 30条の2の元方事業者にも該当する。 このため、原子力施設所轄局においては、原子力施設の長に対し、次に掲げる事項について指導を 行い、元方事業者として、関係請負人が事業者として実施する措置が的確に行われるよう関係請負人 を指導又は援助するとともに、原子力施設全体の安全衛生管理が適切に行われるよう、必要な措置を 実施させること。 (1) 原子力施設における安全衛生統括者の選任等 原子力施設全体の安全衛生管理が適切に行われるよう、事業の実施を統括管理する者から、原子 力施設の安全及び労働衛生管理を統括する者(以下「安全衛生統括者」という。)を選任し、当該者 に第2の1の(3)及び(4)に掲げる事項を実施すること。 また、原子力事業者及び関係請負人が使用する労働者の被ばく線量管理を適切に実施するため、 原子力施設の放射線管理を統括する者(以下「放射線管理責任者」という。)を選任し、安全衛生統 括者の指揮の下、放射線管理責任者に第2の2及び3に掲げる事項を適切に行わせるとともに、関係請 負人の放射線管理担当者が当該請負人の使用する労働者に対して必要な事項を実施するよう必要な 指導又は援助を実施すること。 (2) 関係請負人における安全衛生管理の職務を行う者の選任等 関係請負人に対し、安全衛生管理の職務を行う者を選任させ、次に掲げる事項を実施するよう指 導すること。 ア 安全衛生統括者との連絡 イ 第2の1の(3)及び(4)に掲げる事項のうち、当該関係請負人に係るものが円滑に行われるようにす るための安全衛生統括者との調整 ウ 当該関係請負人がその仕事の一部を他の請負人に請け負わせている場合における当該他の関係請 負人の安全衛生管理の職務を行う者との作業間の連絡及び調整 (3) 放射線業務を行う全ての関係請負人を含めた安全衛生協議組織の開催等 ア 全ての関係請負人を含めた安全衛生協議組織を設置し、1月以内ごとに1回、定期に開催すること。 また、当該協議組織には、安全衛生統括者及び関係請負人における安全衛生管理の職務を行う者を 参加させること。 イ 安全衛生協議組織において協議すべき事項は、次のとおりとすること。 (ア) 原子力事業者と関係請負人、関係請負人間の調整に関すること (イ) 外部放射線量及び空気中の放射性物質の濃度に係る作業環境測定の実施及びその結果に基づ く作業環境の改善又は作業上の注意事項に関すること (ウ) 新規入場者教育等、放射線業務に関する事項を含む安全衛生教育の実施に関すること (エ) 作業規程及び作業計画(労働者の被ばく線量管理及び労働者の受ける線量の低減化の方策に 関することを含む。)の作成又は改善に関すること (オ) 放射線業務中における合図、警報等の統一に関すること (カ) 熱中症対策に関すること (キ) 事故又は労働災害が発生した場合の避難、被災者の搬送その他の措置に関すること (4) 作業規程及び作業計画の作成等に対する指導又は援助 ア 関係請負人が作成する作業規程及び作業計画について、その内容が適切なものとなるよう必要な 資料・情報を提供するほか、必要に応じて関係請負人を指導し、又は援助すること。 イ 関係請負人が行う作業のうち、その使用する労働者の受ける実効線量が1日につき1ミリシーベル トを超えるおそれがあるものに係る作業規程及び作業計画については、作業開始前にあらかじめ内 容の確認を行うこと。 ウ イの確認に当たっては、原子力施設の放射線管理部門が被ばく線量管理方法について重点的に確 認を行い、必要な場合には作業規程及び作業計画の改善等について指導又は援助を行うこと。 エ 関係請負人がその使用する労働者に作業規程及び作業計画の周知を図るよう指導すること。 2 放射線業務に従事する労働者の原子力施設への入退所管理機能の強化 原子力施設所轄局は、原子力施設の長に対し、放射線業務に従事する労働者をもれなく把握するた め、管理区域への入退所を管理する場所を設置し、次に掲げる入退所管理を確実に実施するよう指導 すること。 (1) 労働者の基本情報の入手 原子力施設で放射線業務を行う全ての労働者の被ばく線量管理、入構管理を確実に行うため、関 係請負人からその使用する労働者について、次に掲げる基本情報を確認できる書面(氏名、生年月日、 住所については公的書類の写し)の提出を求め、それを保存すること。 ア 所属事業場名 イ 氏名 ウ 生年月日 エ 住所及び電話番号 オ 直近の電離放射線健康診断及び一般健康診断受診日 カ 新規入場者教育実施日時 (2) 入構証等の発行及び入退所管理 新規入場者教育を修了した者に対して、個人識別番号(以下「ID番号」という。)及び写真の付さ れた入構証等を発行し、被ばく線量の測定結果(線量計の貸し出し時間を含む。)をID番号に対応さ せて記録すること。 3 被ばく情報管理の強化 原子力施設所轄局は、原子力施設の長に対し、次に掲げる事項を実施するよう指導すること。 (1) 関係請負人の使用する労働者を含め、原子力施設の管理区域において放射線業務に従事する全て の労働者について、被ばく線量情報を確実に把握するとともに、被ばく線量の低減のため、必要な 指導又は援助を行うこと。 (2) 原子力施設の管理区域において放射線業務に従事する全ての労働者に対して(関係請負の使用する 労働者については、関係請負人に対して)、被ばく線量の累計を、外部被ばく線量については原則と して1月ごとに1回、外部被ばく及び内部被ばくを合算したものについては3月ごとに1回、文書で通 知するとともに、関係請負人に対し、その使用する労働者の被ばく線量について、通知を受けた被 ばく線量の累計を当該労働者に速やかに文書で通知するよう指導又は援助を行うこと。 4 安全衛生教育等に対する指導援助等 原子力施設所轄局は、原子力施設の長に対し、次に掲げる事項を実施するよう指導すること。 (1) 安全衛生教育に対する指導又は援助 関係請負人が行う特別教育、職長教育等、原子力施設で放射線業務に従事するために必 要となる 教育に対して、必要な指導、講師の派遣又は教材・施設の提供等の援助を行うこと。特に、保護具 (呼吸用保護具に関するフィットテスターを使用する等による適切な装着指導、眼鏡着用者へのシー ルピース等による漏洩対策を含む。)、保護衣類、放射線測定器等の実物を用いた教育の実施、事故 時等における応急措置及び待避に関する教育の実施、視聴覚教材等を常備した安全衛生教育施設の 設置等に配慮すること。 (2) 作業環境測定 原子力施設における外部放射線量及び空気中の放射性物質の濃度に係る作業環境測定については、 原子力施設の管理の一環として、原則として原子力事業者が行い、その結果を関係請負人にも周知 し、利用させること。 (3) 電離放射線健康診断 ア 関係請負人の行う電離放射線健康診断について、関係請負人の要請等に応じて、原子力事業者が 行う電離放射線健康診断時に併せて実施することや健康診断機関を斡旋すること等必要な指導又は 援助を行うこと。 イ 関係請負人の使用する労働者に係る健康管理について、関係請負人の要請等に応じて、電離放射 線健康診断結果についての意見聴取、保健指導その他必要な指導を原子力事業者の産業医が行う等 の援助を行うこと。また、電離放射線健康診断結果に基づき関係請負人の労働者に就業上の措置等 を要する者が生じた場合にも、関係請負人の要請等に応じて、当該措置等に関して必要な指導を行 うとともに、当該措置が適切に行われるよう必要な配慮を行うこと。 (4) 事故又は労働災害発生時の対応等 ア 事故又は労働災害発生時の避難等 事故又は労働災害が発生した場合の関係請負人を含めた連絡、避難、被災者の搬送及び応急体制 を確立するとともに、関係請負人に対する周知及び必要に応じて関係請負人を含めた合同の実地訓 練を実施すること。 イ 事故又は労働災害の再発防止対策の確立 事故又は労働災害が発生した場合、事故又は労働災害に関わった関係請負人と共に、その原因、 発生経過、連絡、応急作業等に係る問題点を十分に究明し、速やかに再発防止対策を確立するとと もに、関係請負人に周知させること。 第3 定期検査工事等において元方事業者及び原子力施設の長が実施すべき事項 1 元方事業者の実施すべき事項 原子力施設における定期検査工事のように、施設又は設備の大がかりな補修工事であって原子力施 設の長が外部の工事業者に発注するもの(以下「定期検査工事等」という。)においては、原子力事業 者から仕事を直接請け負った事業者が自ら行う仕事の一部を同一の場所において請負人に請け負わせ ている場合は、当該事業者は、安衛法第29条の元方事業者に、さらに、請け負った仕事が建設業に当 たるときは、安衛法第30条の特定元方事業者にも該当する。 このため、原子力施設所轄局は、当該元方事業者に対し、次に掲げる事項に留意し、原子力施設の 安全衛生統括者と連携の上、第2の1から4までに定める事項を実施するよう指導すること。 (1) 原子力施設の長と連携を図り、関係請負人に対する指導又は援助を適切に実施すること。 (2) 元方事業者及び関係請負人の使用する労働者の被ばく線量管理を適切に実施するため、放射線管 理責任者を選任し、原子力施設の放射線管理担当者と連携し、元方事業者及びその関係請負人の使 用する労働者の被ばく線量管理を適切に実施すること。また、関係請負人の放射線管理担当者が、 当該関係請負人の使用する労働者に対して必要な事項を実施できるよう指導又は援助を行うこと。 (3) 原子力施設の長が開催する安全衛生協議組織に参加し、自らの関係請負人との安全衛生協議組織 との連携を図ること。 (4) 原子力施設の長と連携し、使用する労働者及び関係請負人に被ばく線量を適切に文書で通知する こと。 2 原子力施設の長の実施すべき事項 原子力施設所轄局は、原子力施設の長に対し、次に係る事項を実施するよう指導すること。 (1) 放射線業務の特殊性にかんがみ、第2の1の(3)及び(4)、2、3並びに4の(1)、(2)及び(4)について は、元方事業者と緊密な連携を図りつつ、原子力施設の安全衛生統括者が重ねて実施すること。 (2) 元方事業者が作成する作業規程又は作業計画については、原子力施設の放射線管理担当者が被ば く線量管理方法について重点的に内容の確認を行い、必要な場合には作業計画の改善等について指 導又は援助を行うよう指導すること。 第4 緊急作業に対する準備及び緊急作業実施時における指導 1 自主点検の実施及びその結果に基づく継続的な指導 平成23年3月に発生した東電福島第一原発における事故に伴う緊急作業の実施時においては、被ばく 線量管理、保護具・保護衣の着用、労働者教育の実施、健康管理の実施、作業計画の作成体制、請負 実態の把握等について様々な問題が生じたところであるが、この中には、あらかじめ準備を整えておく ことで適切かつ迅速な対応が可能であったものも多くあったと考えられる。 このため、原子力施設所轄局及び本店等所轄局は、原子力施設内において緊急作業が行われる場合 に備え、原子力施設、本店等及び元方事業者に対し、別添1-1、1-2及び1-3の「東京電力福島第一原子 力発電所における事故の教訓を踏まえた対応(自主点検項目)」の準備状況について、次に掲げる事項 に留意の上、定期的に自主点検を行うよう指導するとともに、その結果を踏まえた必要な措置の実施を 指導し、直ちに実施することが困難な事項については、計画的に実現を図るよう継続的な指導を実施す ること。 (1) 医療体制連絡協議会の設置 緊急時における原子力施設内の医療体制の整備、患者搬送体制の構築等を円滑に実施するため、 原子力施設所轄局は、次に掲げる事項について、道府県の保健医療部局、消防部局、近隣の医療施 設、原子力施設及び都道府県労働局その他関係機関との間で協議を行うための連絡協議会(以下「医 療体制連絡協議会」という。)の設立を図るため、関係機関との調整を行うこと。協議会の在り方は、 所管地域の実情に合わせたものとし、既存の協議会等の拡充等によって対応することも差し支えな いこと。 ア 原子力施設からの患者の搬送体制 イ 緊急作業実施中の原子力施設内の医療体制 ウ 緊急作業実施中の臨時健康診断の実施体制 (2) 元方事業者への指導 元方事業者に対する自主点検実施の指導は、原子力施設の定期検査時等、最も適切な時期を選ん で実施すること。元方事業者への指導に当たっては、施設の管理者である原子力施設の長の援助が 必要不可欠であることから、元方事業者への指導事項を原子力施設の長にも伝達し、元方事業者に 対して必要な指導又は援助を行うよう指導すること。 2 緊急作業実施時に速やかに指導すべき事項 原子力災害対策本部により原子力緊急事態宣言が発令される等の事態が発生した場合に、当該事態 に対する応急措置として原子力施設において緊急作業が実施される場合、政府全体として原子力災害 対策指針等に従った対応を行うこととなるが、それらに定められる対応を行うほか、原子力施設所轄 局及び本店等所轄局は、本省と緊密な連携を図りつつ、緊急作業に従事する労働者の被ばく線量を合 理的に達成可能な限り低減する等のため、別添2-1、2-2及び2-3の「原子力緊急事態宣言が発令され た際等に原子力事業者等に対して指導すべき事項」に留意の上、原子力施設、本店等及び元方事業者 を適切に指導すること。 第5 報告 1 事故等の報告 原子力施設所轄局は、原子力施設の長に対して、[1]電離則第42条第1項各号のいずれかに該当する 事故が発生したとき、[2]放射線業務において労働災害等(医療施設において治療が必要なもの等の健 康異常を含む。)が発生したとき、[3]火災又は爆発の事故、放射性物質若しくは放射性物質に汚染さ れたものの漏出又は異常被ばくが発生したとき、[4]原子力施設構内で空間線量率が非常に高い場所を 新たに発見したとき、又は、[5]不適切な線量計の装着が明らかになったとき等に、速やかにその旨を 所轄労働基準監督署長に報告(様式任意)するよう指導すること。 2 安全衛生統括者の選任の報告 原子力施設所轄局は、原子力施設の長に対して、安全衛生統括者を選任した場合、その旨を所轄労 働基準監督署に報告(様式任意)するよう指導すること。また、変更した場合も同様に報告するよう指 導すること。 3 放射線作業の報告 原子力施設所轄局は、原子力施設の長及び元方事業者に対して、次に掲げる事項を実施するよう指 導すること。 (1) 高い空間線量下での作業における労働者の被ばく線量を合理的に可能な限り低減するため、あら かじめ作業計画を策定しておくことが重要である。このため、労働者の被ばくする実効線量が1日に つき1ミリシーベルトを超えるおそれのある放射線業務を行う場合には、あらかじめ(突発事態に対 する対応等、状況を把握してから24時間以内に対応する必要がある作業については、作業終了後に 速やかに)、元方事業者ごとに、建屋又は施設別に区分けして、工事(作業)件名ごとに、原子力事業 者が自ら仕事を行う場合には原子力施設の長が、原子力事業者が発注及び設計監理のみを行う場合 には元方事業者が、「放射線作業届」(様式第1号)を所轄労働基準監督署長に提出するよう指導する こと。 なお、電離則第42条第1項各号の事故に対する緊急作業を実施する場合にあっても同様とすること。 (2) (1)の作業終了後に、当該作業に従事した労働者の受けた平均実効線量、最高実効線量及び総実効 線量について、速やかに所轄労働基準監督署長に報告(任意様式)するよう指導すること。 4 安全衛生管理状況の報告 原子力施設所轄局は、原子力施設の長に対して、第2及び第3の2の措置の実施状況について、様式第 2号及び第3号により四半期ごとに1回、所轄労働基準監督署長に提出するよう指導すること。なお、こ の通知に基づく報告は平成24年度第3四半期分からとし、平成24年度第2四半期分までについては、廃 止前の581号通達に基づき所轄労働基準監督署長に提出するよう指導すること。 5 労働者の年間実効線量当量の報告 原子力施設所轄局は、原子力施設の長に対して、原子力施設構内において放射線業務に係る作業に 従事した全ての労働者(常駐している労働者のみならず定期検査工事等その他の保守点検作業に従事し た関係請負人の使用する労働者も含む。)の年間の実効線量当量について、様式第4号により所轄労働 基準監督署長に報告を行うよう指導すること。 6 自主点検結果の報告 (1) 原子力施設所轄局は原子力施設の長に対して、別添1-1の自主点検事項の実施状況について、平成 24年10月1日までに、それ以降は原則として半年ごとに1回、元方事業者に対して、別添1-3の自主点 検事項の実施状況について、定期検査工事等と同時期に、原子力施設所轄局に報告するよう指導する こと。 (2) 本店等所轄局は、本店等の長に対して、別添1-2の自主点検事項の実施状況について、平成24年10 月1日までに、それ以降は原則として半年ごとに1回、本店等所轄局に提出するよう指導すること。 7 東電福島第一原発における緊急作業に従事した労働者に関する被ばく線量等の報告 原子力施設所轄局は、原子力施設の長に対し、次に掲げる事項の実施を指導すること。 (1) 平成23年3月11日以降に東電福島第一原発における緊急作業に従事したことがある労働者を原子力 施設において放射線業務に従事させる場合、当該労働者が放射線業務に従事している間、電離則第59 条の2の規定に基づき、当該労働者の健康診断の個人票の写し及び被ばく線量等の記録を厚生労働省 に提出すること。 (2) 提出に当たっては、原子力施設の労働者については原子力施設の長が、その他の労働者について は元方事業者がその関係請負人に係るものも取りまとめて行うこと。 別記 北海道 青森 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