安全衛生情報センター
標記工事においては、石綿障害予防規則第6条第2項の規定に基づき、作業場所の隔離と負圧保持、集じ ん・排気装置の使用及び出入口への前室の設置が義務付けられている。このうち、ろ過集じん方式の集じ ん排気装置については、有効な集じん方式として、日本工業規格Z8122に定めるHEPAフィルターの取付け が示され、かつ、作業の開始前等に装置が有効に稼働できる状態にあることの確認が求められている(平成 21年2月18日付け基発第0218001号)。しかし、東日本大震災アスベスト対策合同会議の一環として環境省 が実施している被災地における石綿飛散状況の調査においては、隔離空間から何らかの原因で外部に漏洩 したと見られる石綿が検出された事例が複数あることが報告されている。 石綿が隔離空間の外部に漏出した原因については、現在調査中であるが、いずれも集じん・排気装置や 前室の周辺における漏洩であることから、労働者の石綿等の粉じんへのばく露を防止する観点から、下記 により集じん・排気装置を有効に稼働させるよう指導願いたい。 なお、別添のとおり関係団体の長あて要請を行ったことを申し添える。
1 集じん・排気装置の整備点検 平成23年1月27日付け基安化発0127第1号・環水大大発第110127002号「石綿等が吹き付けられた建築物 の解体等の作業における集じん・排気装置の保守点検の徹底等について」に掲げる次の対策の徹底を図る こと。 (1) 集じん・排気装置の取扱説明書等に基づき、フィルターの目詰まりによる劣化を防止するため、フ ィルターの定期的な交換を徹底すること。 (2) 集じん・排気装置のパッキンの取付け等の不具合による石綿の漏洩を防止するため、使用開始前の 取付状態の確認を徹底すること。 (3) その他、集じん装置等の定期自主点検指針に示された事項の確認を徹底すること。なお、上記徹底 に当たっては、「建築物等の解体等工事における石綿粉じんへのばく露防止マニュアル」(建設業労 働災害防止協会)を参考にすること。 2 集じん・排気装置の稼働状況の確認等 ろ過集じん方式の集じん・排気装置の稼働状況を確認する方法として、次の(1)及び(2)に掲げる対応を 行うこと。なお、このような対応が困難な場合には、労働者の安全を考慮して、石綿が隔離空間の外部に 漏出する原因についてその調査の結果が出るまでの間は、集じん・排気装置及び前室の周辺において作業 を行う場合には、労働者に対するDS2以上の性能を有する防じんマスクの使用も考慮すること。 (1) 集じん・排気装置の排気の状況 作業が行われている間、継続的に、即時に測定できる粉じん相対濃度計等により集じん・排気装置の 排気口付近における粉じん濃度を測定することにより、異常値がないことを確認すること。 (2) 前室付近における負圧の確認 集じん・排気装置を使用している状態で、当該作業場所の出入口における風向等を確認すること。