特定化学物質等障害予防規則等の一部改正について
基発第0215002号
平成17年2月15日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局長
特定化学物質等障害予防規則等の一部改正について
特定化学物質等障害予防規則の一部を改正する省令(平成16年厚生労働省令第147号)並びに作業環境測
定基準の一部を改正する告示(平成16年厚生労働省告示第368号)及び作業環境評価基準の一部を改正する
告示(平成16年厚生労働省告示第369号)は、それぞれ平成16年10月1日に公布され、平成17年4月1日から施
行され、及び適用されることとなった。
今回の改正は、作業環境測定の結果の評価に用いる管理濃度について、厚生労働省労働基準局に設置し
た管理濃度等検討会において、近年の化学物質等の人体への影響についての医学的知見や作業環境測定技
術の最新の状況等を踏まえて見直しの検討をしてきたところ、その検討結果が取りまとめられたことから、
今般、これを踏まえて管理濃度の新規設定及び改定を行うとともに、その他所要の整備を図ったものであ
る。
ついては、今回の改正の趣旨を十分に理解し、関係者への周知徹底を図るとともに、下記の事項に留意
して、その運用に遺漏なきを期されたい。
記
第1 改正の要点
1 特定化学物質等障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)関係
三酸化砒素について、作業環境測定の結果の評価を行わなければならない物に追加するとともに、
その評価の記録を30年間保存する物に追加したこと(第36条の2関係)。
2 作業環境測定基準(昭和51年労働省告示第46号)関係
(1) 粉じん濃度の測定方法のうち、分粒装置を用いるろ過捕集方法及び重量分析方法について、分粒
装置の特性を変更したこと(第2条関係)。
(2) 空気中の石綿(アモサイト及びクロシドライトを除く。)の粉じんの濃度の測定方法のうち、ろ過
捕集方法及びエックス線回折分析方法によるものを削除したこと(第10条関係)。
3 作業環境評価基準(昭和63年労働省告示第79号)関係
三酸化砒素について管理濃度を新たに設定するとともに、シアン化カリウム等21物質について管理
濃度の改定を行ったこと(別表関係)。
第2 細部事項
1 特定化学物質等障害予防規則関係
(1) 第36条の2第1項関係
三酸化砒素について、最新の医学的知見等により管理濃度を設定することが可能となったことから、
これを作業環境の測定の結果を評価しなければならない物に追加したものであること。
(2) 第36条の2第3項関係
第36条の2第1項の規定に追加した三酸化砒素は特別管理物質であるため、その作業環境測定の結果
の評価の記録についても他の特別管理物質と同様、30年間の保存を要することとしたこと。
2 作業環境測定基準関係
(1) 第2条第2項関係
分粒装置の特性の変更は、分粒装置を透過する粒子である吸入性粉じんの定義を、ACGIH(米国産業
衛生専門家会議)やISO(国際標準化機構)等国際的に広く用いられているレスピラブル粒子の定義に合
わせたことに伴うものであること。
また、この特性の変更に伴い、使用する分粒装置については較正されている必要があること。
(2) 第10条第1項関係
石綿の粉じん濃度の測定方法については、繊維の本数を計測するものであり、ろ過捕集方法及び計
数方法によるもので足りることから、ろ過捕集方法及びエックス線回折分析方法によるものを削除し
たものであること。
3 作業環境評価基準関係
(1) 別表関係
最新の医学的知見及び作業環境測定技術を踏まえて、三酸化砒素について管理濃度を新たに設定す
るとともに、シアン化カリウム等21物質について管理濃度の改定を行ったこと。
(2) 削除
第3 関係通達の一部改正
1 昭和51年2月18日付け基発第206号「作業環境測定機関が設置すべき機器及び設備を定める告示の施
行について」の2の(1)のイの表中の分粒装置の欄及びエックス線回折装置の欄を次のとおり改める。
分粒装置 |
作業環境測定基準第2条第2項に規定する特性を有するもの |
エックス線回折装置 |
遊離けい酸の測定を行うことができるもの(附属品を含む。) |
2 平成2年7月17日付け基発第461号「作業環境測定特例許可について」の別表を別添のとおり改める。
3 平成8年2月20日付け基発第72号「作業環境測定の記録のモデル様式の改正について」の作業環境測
定結果記録表(A 粉じん用)の12の管理濃度の欄中「E=2.9/(0.22Q+1)=」を「E=3.0/(0.59Q+1)=」
に改める。
4 平成16年3月19日付け基発第0319009号「公益法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律
の整備に関する法律の施行並びにこれに伴う関係政令、省令及び告示の改正等について」の別添7の
表中のエックス線回折装置の欄を次のとおり改める。
エックス線回折装置 |
遊離けい酸の測定を行うことができるもの(附属品を含む。) |