厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等
における情報通信の技術の利用に関する省令について
基発第0331014号
平成17年3月31日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局長
厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における
情報通信の技術の利用に関する省令について
民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成一六年法律第一四
九号。以下「e−文書法」という。)については、平成一七年四月一日より施行されることとされている
ところであるが、同年三月二五日に、厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面
の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令(平成一七年厚生労働省令第四四号。以下「主務省
令」という。)を公布し、同年四月一日から施行することとしたところであり、その内容等については、
下記のとおりであるので、了知の上、その施行に遺漏なきを期されたい。
記
第一 趣旨
e−文書法は、民間事業者等に対して書面の保存等が法令上義務付けられている場合について、原則
として当該書面に係る電磁的記録による保存等を行うことを可能にするための共通事項を定める等を行
ったものであること。また、主務省令は、e−文書法の規定に基づき、厚生労働省所管の法令について、
電磁的記録による保存等を行う範囲、方法、要件等を定めたものであること。今後、民間事業者等が、
労働基準局所管法令(他府省庁との共管法令を除く。以下同じ。)に係る保存等を、電磁的記録を使用
して行う場合については、主務省令の定めるところによるものであること。
第二 主務省令の内容
1 第四条関係
(1)本条は、民間事業者等が、法令上書面の保存が義務付けられており、当該書面に代えて電子計算機
を利用した電磁的記録により保存することができない場合について、当該書面に係る電磁的記録の保
存をすることができる旨を定めたものであること。
(2)労働基準局所管法令のうち、電磁的記録の保存をすることができるものについては、別添1のとおり
であること。
(3)電磁的記録による保存の方法については、次に掲げる方法のいずれかにより行わなければならない
ものとされているものであること。
[1] 作成された電磁的記録を民間事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は磁気
ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。以
下同じ。)をもって調整するファイルにより保存する方法(主務省令第四条第一項第一号)
[2] 書面に記載されている事項をスキャナ(これに準ずる画像読取装置を含む。)により読み取っ
てできた電磁的記録を民間事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディ
スクをもって調整するファイルにより保存する方法(主務省令第四条第一項第二号)
(4)民間事業者等が、(3)の方法により電磁的記録の保存を行う場合は、必要に応じ電磁的記録された
事項を出力することにより、直ちに明瞭かつ整然とした形式で使用に係る電子計算機その他の機器に
表示及び書面を作成できるようにしなければならないものであり、労働基準局所管法令の規定に基づ
く書類については、労働基準監督官等の臨検時等、保存文書の閲覧、提出等が必要とされる場合に、
直ちに必要事項が明らかにされ、かつ、写しを提出し得るシステムとなっていることが必要であるこ
と。
また、労働基準局所管法令の規定に基づく書類の電磁的記録による保存に際しては、従来のとおり、
以下の要件を満たす必要があること。なお、これらに加え個人情報の保護に関する法律(平成一五年
法律第五七号)の規定に留意すべきであることはいうまでもないこと。
[1] 記録された保存義務のある画像情報について、故意又は過失による消去、書換え及び混同がで
きないこと。また、電子媒体に保存義務のある画像情報を記録した日付、時刻、媒体の製造番号
等の固有標識が同一電子媒体上に記録されるとともに、これらを参照することが可能であること。
[2] 同一の機器を用いて保存義務のある画像情報と保存義務のない画像情報の両方を扱う場合には、
当該機器に保存義務のある画像情報と保存義務のない画像情報のそれぞれを明確に区別する機能
を有していること。
[3] 電磁的記録について、保存義務のある画像情報を正確に記録することが出来ること。
[4] 電磁的記録に記録された保存義務のある画像情報を、法令が定める期間にわたり損なわれるこ
となく保存することができること。
[5] 電磁的記録を圧縮した場合等の保管システムについて、記録された画像情報を正確に復元する
ことが出来ること。
2 第五条関係
(1)本条は、電磁的記録による保存の対象となる書面について、電子計算機を利用して電磁的記録に
より作成することができる旨を定めたものであること。
(2)労働基準局所管法令のうち、電磁的記録により作成することができるものについては、別添2のと
おりであること。
(3)電磁的記録の作成を行う場合は、民間事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに
記録する方法又は磁気ディスク等をもって調整する方法により作成を行わなければならないものと
されているものであること。
(4)別添2に掲げる書面の作成において記載すべき事項とされた署名等に代わり、氏名又は名称を明ら
かにする措置については、電子署名及び認証業務に関する法律(平成一二年法律第一〇二号)第二
条第一項による「電子署名」を行うこと(主務省令第七条)。なお、署名等が法令上記載すべき事
項となっていない場合についても、その書面の真正性を担保するため、氏名又は名称を明らかにす
る措置については、同法による「電子署名」を行うことが望ましいものであること。
3 その他
(1)労働基準法(昭和二二年法律第四九号)第一〇七条の「労働者名簿」及び第一〇八条の「賃金台
帳」については、法令上書面であることが求められていないため、今般のe−文書法の対象となっ
ていないものであり、これらの取扱いについては、既に平成七年三月一〇日付け基収第九四号通達
及び平成八年六月二七日付け基発第四一一号通達(※1)によって示しているところであるので、
特段の変更はないものであること。また、労働基準法第一八条第三項の「貯蓄金の管理に関する規
定」、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法(平成四年法律第九〇号)第七条第二号の「議事
録」、労働基準法施行規則(昭和二二年厚生省令二三号)第二四条の二の二第三項第二号の「記録」、
第二四条の二の四第二項の「議事録」についても、法令上書面であることが求められていないため、
e−文書法の対象となっていないものであるが、これらの取扱いについては、上記通達に準じるこ
と。
(※1 本書未登載)
(2)今般の主務省令は、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成一四年法律第
一五一号)において措置された書類については、対象としていないものであること。
第三 関係通達の整備
1 関係通達の廃止
次に掲げる通達を廃止する。
(1)平成七年四月二八日付け基発第二八二号「光磁気ディスク等の電子媒体による健康診断個人票等
の保存について」
(2)平成一一年一〇月一八日付け基発第六〇六号「労働安全衛生関係法令の規定に基づいて事業者が
作成した書類の電子データによる保存について」
2 関係通達の改正
平成八年六月二七日付け基発第四一一号(※1)を、以下のとおり改正するものとすること。
(別添3(※2)のとおり)
題名を「磁気ディスク等による労働者名簿等の保存について」に改める。
同通達中記の2を削り、1の項番号を削る。
(※2別添3省略)