高気圧作業安全衛生規則 第三章
業務管理 (第十条−第三十七条) |
高気圧作業安全衛生規則 目次
第一節 作業主任者等
(作業主任者)
第十条 事業者は、令第六条第一号の高圧室内作業については、高圧室内作業主任者免許を受けた者のう
ちから、作業室ごとに、高圧室内作業主任者を選任しなければならない。
2 事業者は、高圧室内作業主任者に、次の事項を行わせなければならない。
一 作業の方法を決定し、高圧室内作業者を直接指揮すること。
二 酸素、炭酸ガス及び有害ガス(一酸化炭素、メタンガス、硫化水素その他炭酸ガス以外のガスであ
つて、爆発、火災その他の危険又は健康障害を生ずるおそれのあるものをいう。以下同じ。)の濃度
を測定するための測定器具を点検すること。
三 高圧室内作業者を作業室に入室させ、又は作業室から退室させるときに、当該高圧室内作業者の人
数を点検すること。
四 作業室への送気の調節を行うためのバルブ又はコツクを操作する業務に従事する者と連絡して、作
業室内の圧力を適正な状態に保つこと。
五 気こう室への送気又は気こう室からの排気の調節を行うためのバルブ又はコックを操作する業務に
従事する者と連絡して、高圧室内作業者に対する加圧又は減圧が第十四条又は第十八条第一項及び第
二項の規定に適合して行われるように措置すること。
六 作業室及び気こう室において高圧室内作業者が健康に異常を生じたときは、必要な措置を講ずるこ
と。
第十条の二 事業者は、前条第一項の高圧室内作業の一部を請け負わせた場合における高圧室内作業に従
事する者(労働者を除く。以下この項において同じ。)について、当該高圧室内作業に従事する者が作
業室に入室し、又は作業室から退室するときに、当該高圧室内作業に従事する者の人数を点検しなけれ
ばならない。
2 事業者は、作業室及び気こう室において前項に規定する者が健康に異常を生じたときは、必要な措置
を講じなければならない。
(特別の教育)
第十一条 事業者は、次の業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、当該業務に関する特別の
教育を行わなければならない。
一 作業室及び気こう室へ送気するための空気圧縮機を運転する業務
二 作業室への送気の調節を行うためのバルブ又はコツクを操作する業務
三 気こう室への送気又は気こう室からの排気の調節を行うためのバルブ又はコツクを操作する業務
四 潜水作業者への送気の調節を行うためのバルブ又はコツクを操作する業務
五 再圧室を操作する業務
六 高圧室内業務
2 前項の特別の教育は、次の表の上欄に掲げる業務に応じて、同表の下欄に掲げる事項について行わな
ければならない。(表)
3 労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号。以下「安衛則」という。)第三十七条及び
第三十八条並びに前項に定めるもののほか、同項の特別の教育の実施について必要な事項は厚生労働大
臣が定める。
(潜水士)
第十二条 事業者は、潜水士免許を受けた者でなければ、潜水業務につかせてはならない。
第二節 高圧室内業務の管理
(作業計画)
第十二条の二 事業者は、高圧室内業務を行うときは、高気圧障害を防止するため、あらかじめ、高圧室
内作業に関する計画(以下この条において「作業計画」という。)を定め、かつ、当該作業計画により作
業を行わなければならない。
2 作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。
一 作業室又は気こう室へ送気する気体の成分組成
二 加圧を開始する時から減圧を開始する時までの時間
三 当該高圧室内業務における最高の圧力
四 加圧及び減圧の速度
五 減圧を停止する圧力及び当該圧力下において減圧を停止する時間
3 事業者は、作業計画を定めたときは、前項各号に掲げる事項について関係労働者に周知させなければ
ならない。
(立入禁止)
第十三条 事業者は、必要のある者以外の者が気こう室及び作業室に立ち入ることについて、禁止する旨
を見やすい場所に掲示することその他の方法により禁止するとともに、掲示以外の方法により禁止した
ときは、気こう室及び作業室が立入禁止である旨を潜函(かん)、潜鐘、圧気シールド等の外部の見やす
い場所に掲示しなければならない。
(加圧の速度)
第十四条 事業者は、気こう室において高圧室内業務従事者(高圧室内作業者及び高圧室内業務の一部を
請け負わせた場合における高圧室内業務に従事する者(労働者を除く。以下「高圧室内業務請負人等」
という。)をいう。以下同じ。)に加圧を行うときは、毎分〇・〇八メガパスカル以下の速度で行わな
ければならない。
(ガス分圧の制限)
第十五条 事業者は、酸素、窒素又は炭酸ガスによる高圧室内作業者の健康障害を防止するため、当該高
圧室内作業者が高圧室内業務に従事している間、作業室及び気こう室における次の各号に掲げる気体の
分圧がそれぞれ当該各号に定める分圧の範囲に収まるように、作業室又は気こう室への送気、換気その
他の必要な措置を講じなければならない。
一 酸素 十八キロパスカル以上百六十キロパスカル以下(ただし、気こう室において減圧を行う場合
にあつては、十八キロパスカル以上二百二十キロパスカル以下とする。)
二 窒素 四百キロパスカル以下
三 炭酸ガス 〇・五キロパスカル以下
2 事業者は、高圧室内業務請負人等について、当該高圧室内業務請負人等が高圧室内業務に従事する間
(高圧室内作業者が当該高圧室内業務に従事するときを除く。)、作業室及び気こう室における前項各
号に掲げる気体の分圧がそれぞれ当該各号に定める分圧の範囲に収まるように、作業室又は気こう室へ
の送気、換気その他の必要な措置を講ずること等について配慮しなければならない。
(酸素ばく露量の制限)
第十六条 事業者は、酸素による高圧室内作業者の健康障害を防止するため、高圧室内作業者について、
当該高圧室内作業者が高圧室内業務に従事している間、厚生労働大臣が定める方法により求めた酸素ば
く露量が、厚生労働大臣が定める値を超えないように、作業室又は気こう室への送気その他の必要な措
置を講じなければならない。
2 事業者は、高圧室内業務請負人等について、当該高圧室内業務請負人等が高圧室内業務に従事する間
(高圧室内作業者が当該高圧室内業務に従事するときを除く。)、前項の厚生労働大臣が定める方法に
より求めた酸素ばく露量が、同項の厚生労働大臣が定める値を超えないように、作業室又は気こう室へ
の送気その他の必要な措置を講ずること等について配慮しなければならない。
(有害ガスの抑制)
第十七条 事業者は、高圧室内作業者が高圧室内業務に従事している間、作業室における有害ガスによる
高圧室内作業者の危険及び健康障害を防止するため、換気、有害ガスの測定その他必要な措置を講じな
ければならない。
2 事業者は、高圧室内業務請負人等について、当該高圧室内業務請負人等が高圧室内業務に従事する間
(高圧室内作業者が当該高圧室内業務に従事するときを除く。)、作業室における有害ガスによる危険
及び健康障害を防止するため、換気、有害ガスの測定その他必要な措置を講ずること等について配慮し
なければならない。
(減圧の速度等)
第十八条 事業者は、気こう室において高圧室内作業者に減圧を行うときは、次に定めるところによらな
ければならない。
一 減圧の速度は、毎分〇・○八メガパスカル以下とすること。
二 厚生労働大臣が定める区間ごとに、厚生労働大臣が定めるところにより区分された人体の組織(以下
この号において「半飽和組織」という。)の全てについて次のイに掲げる分圧がロに掲げる分圧を超
えないように、減圧を停止する圧力及び当該圧力下において減圧を停止する時間を定め、当該時間以
上減圧を停止すること。
イ 厚生労働大臣が定める方法により求めた当該半飽和組織内に存在する不活性ガスの分圧
ロ 厚生労働大臣が定める方法により求めた当該半飽和組織が許容することができる最大の不活性ガ
スの分圧
2 事業者は、減圧を終了した高圧室内作業者に対して、当該減圧を終了した時から十四時間は、重激な
業務に従事させてはならない。
3 事業者は、高圧室内業務請負人等について、気こう室において当該高圧室内業務請負人等に減圧を行
うときは、第一項各号に定めるところによらなければならない。
4 事業者は、高圧室内業務請負人等に対して、減圧を終了した時から十四時間は、重激な業務に従事し
てはならない旨を周知させなければならない。
(減圧の特例等)
第十九条 事業者は、事故のために高圧室内業務従事者を退避させ、又は健康に異常を生じた高圧室内業
務従事者を救出するときは、必要な限度において、前条第一項に規定する減圧の速度を速め、又は同項
に規定する減圧を停止する時間を短縮することができる。
2 事業者は、前項の規定により減圧の速度を速め、又は減圧を停止する時間を短縮したときは、退避さ
せ、又は救出した後、速やかに当該高圧室内業務従事者を再圧室又は気こう室に入れ、当該高圧室内業
務に係る圧力に等しい圧力まで加圧しなければならない。
3 前項の規定により加圧する場合の加圧の速度については、第十四条の規定を準用する。
(減圧時の措置)
第二十条 事業者は、気こう室において、高圧室内業務従事者に減圧を行うときは、次の措置を講じなけれ
ばならない。
一 気こう室の床面の照度を二十ルクス以上とすること。
二 気こう室内の温度が十度以下である場合には、高圧室内業務従事者に毛布その他の適当な保温用具
を使用させること。
三 減圧に要する時間が一時間を超える場合には、高圧室内業務従事者に椅子その他の休息用具を使用
させること。
2 事業者は、気こう室において高圧室内業務従事者に減圧を行うときは、あらかじめ、当該減圧に要す
る時間を当該高圧室内業務従事者に周知させなければならない。
(作業の状況の記録等)
第二十条の二 事業者は、高圧室内業務を行う都度、第十二条の二第二項各号に掲げる事項を記録した書
類並びに当該高圧室内作業者の氏名及び減圧の日時を記載した書類を作成し、これらを五年間保存しな
ければならない。
(連絡)
第二十一条 事業者は、高圧室内業務を行うときは、気こう室の付近に、高圧室内作業者及び空気圧縮機
の運転を行う者との連絡その他必要な措置を講ずるための者(次項において「連絡員」という。)を常
時配置しなければならない。
2 事業者は、高圧室内作業者及び空気圧縮機の運転を行う者と連絡員とが通話することができる通話装
置を設けなければならない。
3 事業者は、前項の通話装置が故障した場合においても連絡することができる方法を定めるとともに、
当該方法を見やすい場所に掲示しておかなければならない。
(設備の点検及び修理)
第二十二条 事業者は、高圧室内業務を行うときは、次の各号に掲げる設備について、それぞれ当該各号
に掲げる期間ごとに一回以上点検し、高圧室内作業者に危険又は健康障害の生ずるおそれがあると認め
たときは、修理その他必要な措置を講じなければならない。
一 第四条の送気管、第六条の排気管及び前条第二項の通話装置 一日
二 作業室及び気こう室への送気を調節するためのバルブ又はコツク 一日
三 作業室及び気こう室からの排気を調節するためのバルブ又はコツク 一日
四 作業室及び気こう室へ送気するための空気圧縮機に附属する冷却装置 一日
五 第七条の四の用具 一日
六 第七条の二の自動警報装置 一週
七 作業室及び気こう室へ送気するための空気圧縮機 一週
八 第七条及び第二十六条の圧力計 一月
九 第五条の空気を清浄にするための装置 一月
十 潜函(かん)、潜鐘、圧気シールド等に設けられた電路 一月
2 事業者は、前項の規定により点検を行ない、又は修理その他必要な措置を講じたときは、そのつど、
その概要を記録して、これを三年間保存しなければならない。
(送気設備の使用開始時等の点検)
第二十二条の二 事業者は、送気設備を初めて使用するとき、送気設備を分解して改造若しくは修理を行
つたとき、又は引き続き一月以上使用しなかつた送気設備を再び使用するときは、当該送気設備の機能
を点検し、異常がないことを確認した後でなければ、これを使用してはならない。
(事故が発生した場合の措置)
第二十三条 事業者は、送気設備の故障、出水その他の事故により危険又は健康障害の生ずるおそれがあ
るときは、高圧室内業務従事者を潜函(かん)、潜鐘、圧気シールド等の外部へ退避させなければならな
い。
2 事業者は、前項の場合には、送気設備の異常の有無、潜函かん等の異常な沈下の有無及び傾斜の状態
その他の事項について点検し、危険又は健康障害を生ずるおそれがないことを確認した後でなければ、
特に指名した者以外の者を潜函(かん)、潜鐘、圧気シールド等に入れてはならない。
(排気沈下の場合の措置)
第二十四条 事業者は、作業室内を排気して潜函(かん)を沈下させるときは、高圧室内業務従事者を潜函
(かん)の外部へ退避させなければならない。
2 事業者は、前項の場合には、出水又は有害ガスの発生の有無その他の事項について点検し、危険又は
健康障害を生ずるおそれがないことを確認した後でなければ、特に指名した者以外の者を潜函(かん)に
入れてはならない。
(発破を行つた場合の措置)
第二十五条 事業者は、作業室内において発破を行つたときは、高圧室内業務従事者が作業室内の空
気が発破前の状態に復する前に入室することについて、作業室内の空気が発破前の状態に復するまで入
室してはならない旨を見やすい箇所に表示することその他の方法により禁止しなければならない。
(火傷等の防止)
第二十五条の二 事業者は、高圧室内業務を行うときは、大気圧を超える気圧下における可燃物の燃焼の
危険性について、労働者に周知させるほか、高圧室内作業者の火傷その他の危険を防止するため、潜函
(かん)、潜鐘、圧気シールド等について、次の措置を講じなければならない。
一 電燈については、ガード付電燈その他電球が破損して可燃物へ着火するおそれのないものを使用す
ること。
二 電路の開閉器については、周囲に火花又はアークを飛散しないものを使用すること。
三 暖房については、高温となつて可燃物の点火源となるおそれのないものを使用すること。
2 事業者は、高圧室内業務を行うときは、潜函(かん) 、潜鐘、圧気シールド等の内部において溶接、
溶断その他の火気又はアークを使用する作業(以下この条において「溶接等の作業」という。)を行つ
てはならない。ただし、作業の性質上やむをえない場合であつて圧力〇・一メガパスカル未満の気圧下
の場所において溶接等の作業を行うとき、又は厚生労働大臣が定める場所において溶接等の作業を行う
ときは、この限りでない。
3 事業者は、高圧室内業務を行うときは、高圧室内業務請負人等に対し、潜函(かん) 、潜鐘、圧気シ
ールド等の内部において溶接等の作業を行つてはならない旨を周知させなければならない。ただし、前
項ただし書の場合は、この限りでない。
4 事業者は、高圧室内業務を行うときは、火気又はマッチ、ライターその他発火のおそれのある物(以
下この項において「火気等」という。)を潜函(かん) 、潜鐘、圧気シールド等の内部に持ち込むこと
について、禁止する旨を気こう室の外部の見やすい場所に掲示することその他の方法により禁止すると
ともに、掲示以外の方法により禁止したときは、潜函(かん)、潜鐘、圧気シールド等の内部への火気等
の持込みが禁止されている旨を気こう室の外部の見やすい場所に掲示しなければならない。ただし、作
業の性質上やむを得ない場合であつて圧力〇・一メガパスカル未満の気圧下の場所において溶接等の作
業を行うとき、又は第二項の厚生労働大臣が定める場所において溶接等の作業を行うときは、当該溶接
等の作業に必要な火気等を潜函(かん) 、潜鐘、圧気シールド等の内部に持ち込むことができる。
(刃口の下方の掘下げの制限)
第二十五条の三 事業者は、潜函(かん)の急激な沈下による高圧室内作業者の危険を防止するため、潜函(か
ん)の刃口の下方を五十センチメートル以上掘り下げてはならない。
(高圧室内作業主任者の携行器具)
第二十六条 事業者は、高圧室内作業主任者に、携帯式の圧力計、懐中電灯、酸素、炭酸ガス及び有害ガ
スの濃度を測定するための測定器具並びに非常の場合の信号用器具を携行させなければならない。
第三節 潜水業務の管理
(作業計画等の準用)
第二十七条 第十二条の二及び第二十条の二の規定は潜水業務(水深十メートル以上の場所における潜水
業務に限る。)について、第十五条及び第十六条の規定は潜水業務について、第十五条、第十六条並び
に第十八条第一項及び第二項の規定は潜水作業者について、第十五条第二項、第十六条第二項並びに第
十八条第三項及び第四項の規定は潜水業務請負人等について、それぞれ準用する。この場合において、
次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句と読み替え
るものとする。(表)
(送気量及び送気圧)
第二十八条 事業者は、空気圧縮機又は手押ポンプにより潜水業務従事者に送気するときは、潜水業務従
事者ごとに、その水深の圧力下における送気量を、毎分六十リットル以上としなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、事業者は、潜水業務従事者に圧力調整器を使用させる場合には、潜水業務
従事者ごとに、その水深の圧力下において毎分四十リットル以上の送気を行うことができる空気圧縮機
を使用し、かつ、送気圧をその水深の圧力に〇・七メガパスカルを加えた値以上としなければならない。
(ボンベからの給気を受けて行う潜水業務)
第二十九条 事業者は、潜水業務従事者に携行させたボンベ(非常用のものを除く。以下この条、第三十
四条、第三十六条及び第三十七条において同じ。)からの給気を受けさせるときは、次の措置を講じな
ければならない。
一 潜降直前に、潜水業務従事者に対し、当該潜水業務に使用するボンベの現に有する給気能力を知らせること。
二 潜水業務従事者に異常がないかどうかを監視するための者を置くこと。
(圧力調整器)
第三十条 事業者は、潜水業務従事者に圧力一メガパスカル以上の気体を充填したボンベからの給気を受
けさせるときは、二段以上の減圧方式による圧力調整器を潜水業務従事者に使用させなければならない。
(浮上の速度等)
第三十一条 削除
(浮上の特例等)
第三十二条 事業者は、事故のために潜水業務従事者を浮上させるときは、必要な限度において、第二十
七条において読み替えて準用する第十八条第一項第一号に規定する浮上の速度を速め、又は同項第二号
に規定する浮上を停止する時間を短縮することができる。
2 事業者は、前項の規定により浮上の速度を速め、又は浮上を停止する時間を短縮したときは、浮上後、
速やかに当該潜水業務従事者を再圧室に入れ、当該潜水業務の最高の水深における圧力に等しい圧力ま
で加圧し、又は当該潜水業務の最高の水深まで再び潜水させなければならない。
3 前項の規定により当該潜水業務従事者を再圧室に入れて加圧する場合の加圧の速度については、第十
四条の規定を準用する。
(さがり綱)
第三十三条 事業者は、潜水業務を行うときは、潜水業務従事者が潜降し、及び浮上するためのさがり綱
を備え、これを潜水業務従事者に使用させなければならない。
2 事業者は、前項のさがり綱には、三メートルごとに水深を表示する木札又は布等を取り付けておかな
ければならない。
(設備等の点検及び修理)
第三十四条 事業者は、潜水業務を行うときは、潜水前に、次の各号に掲げる潜水業務に応じて、それぞ
れ当該各号に掲げる潜水器具を点検し、潜水作業者に危険又は健康障害の生ずるおそれがあると認めた
ときは、修理その他必要な措置を講じなければならない。
一 空気圧縮機又は手押ポンプにより送気して行う潜水業務 潜水器、送気管、信号索、さがり綱及び
圧力調整器
二 ボンベ(潜水作業者に携行させたボンベを除く。)から給気を受けて行う潜水業務 潜水器、送気
管、信号索、さがり綱及び第三十条の圧力調整器
三 潜水作業者に携行させたボンベからの給気を受けて行う潜水業務 潜水器及び第三十条の圧力調整
器
2 事業者は、潜水業務を行うときは、次の各号に掲げる潜水業務に応じて、それぞれ当該各号に掲げる
設備について、当該各号に掲げる期間ごとに一回以上点検し、潜水作業者に危険又は健康障害の生ずる
おそれがあると認めたときは、修理その他必要な措置を講じなければならない。
一 空気圧縮機又は手押ポンプにより送気して行う潜水業務
イ 空気圧縮機又は手押ポンプ 一週
ロ 第九条の空気を清浄にするための装置 一月
ハ 第三十七条の水深計 一月
ニ 第三十七条の水中時計 三月
ホ 第九条の流量計 六月
二 ボンベからの給気を受けて行う潜水業務
イ 第三十七条の水深計 一月
ロ 第三十七条の水中時計 三月
ハ ボンベ 六月
3 事業者は、前二項の規定により点検を行ない、又は修理その他必要な措置を講じたときは、そのつど、
その概要を記録して、これを三年間保存しなければならない。
(純酸素の使用制限)
第三十五条 削除
(連絡員)
第三十六条 事業者は、空気圧縮機若しくは手押ポンプにより送気して行う潜水業務又はボンベ(潜水業
務従事者に携行させたボンベを除く。)からの給気を受けて行う潜水業務を行うときは、潜水業務従事
者と連絡するための者(次条において「連絡員」という。)を、潜水業務従事者二人以下ごとに一人置
き、次の事項を行わせなければならない。
一 潜水業務従事者と連絡して、その者の潜降及び浮上を適正に行わせること。
二 潜水業務従事者への送気の調節を行うためのバルブ又はコックを操作する業務に従事する者と連絡
して、潜水業務従事者に必要な量の空気を送気させること。
三 送気設備の故障その他の事故により、危険又は健康障害の生ずるおそれがあるときは、速やかに潜
水業務従事者に連絡すること。
四 ヘルメット式潜水器を用いて行う潜水業務にあつては、潜降直前に当該潜水業務従事者のヘルメッ
トがかぶと台に結合されているかどうかを確認すること。
(潜水業務における携行物等)
第三十七条 事業者は、空気圧縮機若しくは手押ポンプにより送気して行う潜水業務又はボンベ(潜水作
業者に携行させたボンベを除く。)からの給気を受けて行う潜水業務を行うときは、潜水作業者に、信
号索、水中時計、水深計及び鋭利な刃物を携行させなければならない。ただし、潜水作業者と連絡員と
が通話装置により通話することができることとしたときは、潜水作業者に信号索、水中時計及び水深計
を携行させないことができる。
2 事業者は、前項の潜水業務の一部を請け負わせた場合における潜水業務に従事する者(労働者を除く。)
が、空気圧縮機若しくは手押ポンプにより送気して行う潜水業務又はボンベ(当該者に携行させたボン
ベを除く。)からの給気を受けて行う潜水業務を行うときは、当該者に対し、信号索、水中時計、水深
計及び鋭利な刃物(当該者と連絡員とが通話装置により通話することができるときにあつては、鋭利な
刃物)を携行する必要がある旨を周知させなければならない。
3 事業者は、潜水作業者に携行させたボンベからの給気を受けて行う潜水業務を行うときは、潜水作業
者に、水中時計、水深計及び鋭利な刃物を携行させるほか、救命胴衣又は浮力調整具を着用させなけれ
ばならない。
4 事業者は、携行させたボンベからの給気を受けて行う潜水業務の一部を請け負わせた場合における潜
水業務に従事する者(労働者を除く。)に対し、水中時計、水深計及び鋭利な刃物を携行するほか、救
命胴衣又は浮力調整具を着用する必要がある旨を周知させなければならない。