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(4)接客サービス等の結果 |
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事例16 大森交通株式会社 |
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1 事業場の概要 |
(1)業種:旅客自動車運送事業 事業の内容:旅客自動車運送事業(タクシー) |
(2)所在地:東京都 |
(3)従業員数:71人(男性:71人 女性:0人) |
(4)従業員の平均年齢:58歳 |
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2 禁煙の概要 |
(1)喫煙対策の担当部署:特になし |
(2)喫煙対策に取り組み始めた時期:平成14年11月〜 |
(3)禁煙を実施した時期:平成17年2月〜 |
(4)従業員の喫煙率:30%(男性30% 女性0%)(平成18年11月)
約70%(平成14年)(取組時) |
(5)昼休み等休憩時の喫煙:敷地外喫煙所で許可している。 |
(6)禁煙の状況:全社
勤務時間内禁煙、休憩時間は車両から離れて喫煙可 |
(7)建物の構造:事務所(2階建て) |
(8)建物の所有者:自社ビル |
(9)禁煙の内容:敷地内禁煙(従業員、来客とも喫煙不可)・全車両禁煙 |
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3 禁煙の詳細 |
(1)禁煙にする前の状況 |
分煙対策として平成14年11月までは喫煙室があった。 |
平成14年12月より構内禁煙とし、屋外の裏手にスタンド灰皿を設置したが、その後携帯用灰皿の使用を奨励した。 |
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(2)禁煙にした動機及び経緯 |
ア 敷地内禁煙について |
屋外にスタンド型の灰皿を設置したが、煙が風に乗って事務室内に入り込むため平成14年12月より室内外を含む構内全般を禁煙にした(写真16−1〜2)。 |
イ 全車禁煙について |
平成14年11月15日より禁煙タクシーの1号車を運行すると同時に、世界禁煙デーを契機に全車完全禁煙と構内禁煙を事業場の責任者が定めた。 |
動機は受動喫煙の害の深刻さを改めて認識したことによるもので、グループ他社(2社)で禁煙を乗客にも求めたいと考える乗務員にとっても受け皿になればと考えた。 |
中途半端な禁煙体制では徹底しないため、思い切って全車を完全禁煙とした。 |
禁煙車はお客様へのサービスというよりも、乗務員の健康を守るため、受動喫煙対策に取り組むこととした。 |
運転手が喫煙する場合は、車から離れた屋外で喫煙するルールとしている。 |
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(3)禁煙に取り組んだ内容 |
ア 社内への周知 |
・明け番集会(勤務明けの朝6時から開く集会)で社長自ら周知した。 |
・また、現場の所長が従業員と1対1で時間をかけて話し合い、理解を求めた。喫煙者である従業員に理解してもらうことは時間がかかると認識している。 |
・喫煙者の乗車を断っても良いという、社長の方針は運送約款にも記載されており、乗務員の行動に効果があったようである。この運送約款の内容は、「これからは禁煙の時代が来る。」という社長の信念を盛り込んだものである。 |
イ 乗客への周知 |
乗客に対しては乗車する際に必ず「禁煙車ですがよろしいですか」と告げるようにし(写真16−3、4)、長距離でどうしてもたばこを吸いたくなった客に対しては、車を止め、外で喫煙してもらうなどした。 |
車両内は、取り外すことができない灰皿の上に禁煙マークのシールを貼った(写真16−5)。また、禁煙車では喫煙する客を断っても乗車拒否とはならないことを理解してもらうために運送約款のその部分を抜き出してマーカーで塗り印刷してラミネート加工して車内に取り付けた(写真16−6)。 |
病院への送迎で老人や妊婦等からの予約が増えた。また、たばこ嫌いな乗客が固定客となった。 |
ウ ホームページへの掲載 |
ホームページで禁煙宣言を掲載した。 |
エ 携帯用の蓋の出来る灰皿を乗務員全員に配布。車外で乗客が喫煙する時にも使用してもらった。 |
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(4)社内で苦労した点 |
ア たばこの煙のにおいは不潔であることを強調し、においがしない車内のクリーンさに慣れてもらうため、頻繁にオゾンの発生機を使用して車内を脱臭した。車内の灰皿は取り外しができないため、灰皿の上に禁煙のステッカーを貼った。 |
イ 喫煙者に対し、車両はもちろん構内も禁煙とすることを徹底するため乗務員に集会、点呼等で呼びかけた。灰皿を一切置かないこととし来客にも理解を求めた。 |
ウ 車内清掃の際に吸殻が落ちていないか点検した。 |
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(5)労働者の評価 |
ア 喫煙者の評価 |
会社が禁煙になったことで、一日に吸うタバコの本数が減少した。禁煙車に乗ることを契機として禁煙した者もいる。 |
イ 非喫煙者の評価 |
社内及び車内が禁煙になり体調が今まで以上によくなった。風邪を引いた時、3〜4日かかっても治らなかったが、現在は1日で体調が良くなるという乗務員が多い。 |
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4 その他 |
(1)事業との関係 |
ア 「全車禁煙」は地元地域でも定着し、子供連れのお客さまなどから評価していただいている。また、途中から電車利用を予定していたお客さまで、車内の空気がよく気持ちがいいためそのまま長距離ご利用いただいたこともある。 |
イ 社長自ら社員と話し合ったが、乗務員自身が喫煙者で、お客様に禁煙車である旨を説明し理解を得ることに抵抗がある乗務員は退職した。 |
また、入社希望者には全車両禁煙車という理由で希望する者もいる。 |
“営業車において営業中にまったく喫煙ができない”という状況をつくったことで、確実に一日の喫煙本数が減った。 |
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(2)問題点、今後の課題、今後のサポートの予定 |
・社内に喫煙者が30%おり、禁煙へのサポートが課題である。 |
・当社の取り組みは規模が小さいため取り組みやすかったといえる。 |
・グループ会社2社の禁煙車への取組みは、禁煙車にすると客が減り売り上げに影響があるのではないかという懸念があり、労働組合や親睦団体からの反対もあってあまり進んでいない。啓発活動はしているが、考えを改めたり納得する乗務員はあまり増えていない。ただ、一時的にでも禁煙を試みる乗務員は増えた。 |
・今後も従業員の方に健康で長く働いていただくために趣旨を説明し、禁煙車両を増やすよう取り組んでいきたい。 |
・健康を大切にした真の意味での快適さを追求していきたい。 |
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写真16−1
社内掲示1
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写真16−2
事務所入口の表示 |
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写真16−3
社内掲示2
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写真16−4
タクシー車両の表示 |
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写真16−5
タクシー車内の表示
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写真16−6
「禁煙」を明示した約款の車内の表示 |
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