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    ヒドラジン及びその塩並びにヒドラジン一水和物による健康障害を防止するための指針
       (平成23年10月28日 健康障害を防止するための指針公示第21号により廃止)


 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第28条第3項の規定に基づき、ヒドラジン及びその塩並びにヒ
ドラジン一水和物による労働者の健康障害を防止するための指針を次のとおり公表する。

1 趣旨
  この指針は、ヒドラジン及びその塩並びにヒドラジン一水和物(以下「ヒドラジン類」という。)又
 はヒドラジン類を含有するもの(ヒドラジン類の含有量が重量の1パーセント以下のものを除く。以下
 「ヒドラジン類等」という。)を製造し、又は取り扱う業務に関し、ヒドラジン類による労働者の健康
 障害の防止に資するため、その製造、取扱い等に際し事業者が講ずべき措置について定めたものである。

2 ヒドラジン類へのばく露を低減するための措置について
  ヒドラジン類等を製造し、又は取り扱う業務については、次の措置を講ずること。
(1)労働者のヒドラジン類へのばく露の低減を図るため、当該事業場におけるヒドラジン類等の製造量、
  取扱量、作業の頻度、作業時間、作業の態様等を勘案し、必要に応じ、次に掲げる作業環境管理に係
  る措置、作業管理に係る措置その他必要な措置を講ずること。
  ア 作業環境管理
  (ア)使用条件等の変更
  (イ)作業工程の改善
  (ウ)設備の密閉化
  (エ)局所排気装置等の設置
  イ 作業管理
  (ア)労働者がヒドラジン類にばく露されないような作業位置、作業姿勢又は作業方法の選択
  (イ)呼吸用保護具、不浸透性の保護衣、保護手袋等の保護具の使用
  (ウ)ヒドラジン類にばく露される時間の短縮
  (エ)作業を指揮する者の選任
(2)上記(1)によりばく露を低減するための装置等の設置等を行った場合、次により当該装置等の管理
  を行うこと。
  ア 局所排気装置等については、作業が行われている間、適正に稼働させること。
  イ 局所排気装置等については、定期的に保守点検を行うこと。
  ウ ヒドラジン類等を作業場外へ排出する場合は、当該物質を含有する排気、排液等による事業場の
   汚染の防止を図ること。
(3)保護具については、同時に就業する作業者の人数分以上を備え付け、常時有効かつ清潔に保持する
  こと。また、送気マスクを使用させたときは、当該労働者が有害な空気を吸入しないように措置する
  こと。
(4)次の事項について当該作業に係る作業基準を定め、これに基づき作業させること。
  ア 設備、装置等の操作、調整及び点検
  イ 異常な事態が発生した場合における応急の措置
  ウ 保護具の使用

3 作業環境測定について
  ヒドラジン類等を製造し、又は取り扱う業務については、次の措置を講ずること。
(1)屋内作業場について、ヒドラジン類の空気中における濃度を定期的に測定すること。
   なお、測定は作業環境測定士が実施すること。また、測定は6月以内ごとに1回実施するよう努める
  こと。
(2)作業環境測定を行ったときは、当該測定結果の評価を行い、その結果に基づき施設、設備、作業工
  程、作業方法等の点検を行うこと。これらの結果に基づき、必要に応じて使用条件等の変更、作業工
  程の改善、作業方法の改善その他作業環境改善のための措置を講ずるとともに、呼吸用保護具の着用
  その他労働者の健康障害を予防するため必要な措置を講ずること。
(3)作業環境測定の結果及び結果の評価の記録を30年間保存するよう努めること。

4 労働衛生教育について
(1)ヒドラジン類等を製造し、又は取り扱う業務に従事している労働者及び当該業務に従事させること
  となった労働者に対して、次の事項について労働衛生教育を行うこと。
  ア ヒドラジン類の性状及び有害性
  イ ヒドラジン類等を使用する業務
  ウ ヒドラジン類による健康障害、その予防方法及び応急措置
  エ 局所排気装置その他のヒドラジン類へのばく露を低減するための設備及びそれらの保守、点検の
   方法
  オ 作業環境の状態の把握
  カ 保護具の種類、性能、使用方法及び保守管理
  キ 関係法令
(2)上記事項に係る労働衛生教育の時間は4.5時間以上とすること。

5 ヒドラジン類等の製造等に従事する労働者の把握について
  ヒドラジン類等を製造し、又は取り扱う業務に常時従事する労働者について、1月を超えない期間ご
 とに次の事項を記録すること。
(1)労働者の氏名
(2)従事した業務の概要及び当該業務に従事した期間
(3)ヒドラジン類により著しく汚染される事態が生じたときは、その概要及び講じた応急措置の概要
  なお、上記の事項の記録は、当該記録を行った日から30年間保存するよう努めること。
  
6 危険有害性等の表示について
(1)ヒドラジン若しくはヒドラジン一水和物又はこれらを含有するもの(ヒドラジン又はヒドラジン一
  水和物の含有量が重量の1パーセント以下のものを除く。)について
   労働安全衛生法第57条の2及び第101条第2項に基づき、化学物質等安全データシートの交付及び労
  働者への有害性の周知等を行うほか、「化学物質等の危険有害性等の表示に関する指針(平成4年労
  働省告示第60号)」に基づき、容器、包装等にラベルを付す等により必要な事項を表示すること。
(2)(1)以外のヒドラジン類等について
   「化学物質等の危険有害性等の表示に関する指針」に基づき、(1)以外のヒドラジン類等の譲渡
  又は提供に際し、化学物質等安全データシートを交付するとともに、容器、包装等にラベルを付す等
  により必要な事項を表示すること。