安全衛生情報センター
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第59条第3項に規定する安全又は衛生のた めの特別の教育(以下「特別教育」という。)に係る当面の考え方については、令和2年3月26日付け基安安 発0326第1号、基安労発0326第2号、基安化発0326第1号「インターネット等を介したeラーニングにより 行われる特別教育の当面の考え方等について」(以下「特別教育通達」という。)により示したところであ るが、特別教育以外の厚生労働省がカリキュラム等を定める労働災害の防止のために必要な安全衛生教育 及び研修(以下「安全衛生教育等」という。)についてもインターネットその他の高度情報通信ネットワー クを利用して行う通信制の職業訓練等(以下「eラーニング等」という。)を実施する動きが認められると ころである。 この状況を踏まえ、今般、安全衛生教育等をeラーニング等により実施することについて、下記のとお り基本的な考え方及び留意事項を示すこととしたので、事業者及び安全衛生教育等の実施機関等に対する 周知、指導について遺漏なきを期されたい。 なお、本通達をもって、特別教育通達は廃止する。
1 基本的な考え方 労働災害を防止するためには、作業に就く労働者に対し、必要な安全衛生教育等を適切に実施するこ とが極めて重要であることから、法では、新規雇入れ時のほか、作業内容変更時においても安全衛生教 育を行うべきことを定め、また、危険・有害業務に就く者に対する特別の教育や職長等の現場監督者、 その他事業場の安全衛生担当者等に対する安全衛生教育等を行うべきことを定めている。 近年の急速なデジタル技術の進展に伴い、eラーニング等により安全衛生教育等を実施することへの ニーズが高まっているが、eラーニング等により安全衛生教育等を行う場合においても、対面による方 法と同等の教育効果を担保するため、安全衛生教育等の実施者は、記の2に掲げる事項に留意する必要 がある。 さらに、第4回デジタル臨時行政調査会(※)において策定された「デジタル原則に照らした規制の一 括見直しプラン」において、アナログ規制等に関する法令約1万条項について、点検・見直しを行うこ ととされたことを受け、令和4年12月にはこれら規制等に係る法令の見直しに向けた工程表が公表され ており、一連の見直しの中では、各種法令等に基づき行われている対面講習について、①受講申込のオ ンライン手続きや受講票のデジタル発行、②オンラインによる講習受講、③受講修了証のデジタル発行 等を含むデジタル完結を基本とする対応が求められていることから、こうした点も踏まえて対応してい く必要がある。 ※デジタル臨時行政調査会 デジタル改革、規制緩和、行政改革に係る横断的課題を一体的に検討し実行することにより、国や地 方の制度・システム等の構造改革を早急に進め、個人や事業者が新たな付加価値を創出しやすい社会と することを目的として、令和3年11月に設置された(会長:内閣総理大臣)。なお、同調査会は令和5年10 月6日に廃止され、同趣旨の会議体として、同日、デジタル行財政改革会議(議長:内閣総理大臣)が設 置されている。 2 各手続き段階における留意事項 (1) 受講申込時について 受講申込についてオンライン手続きとする場合(オンライン手続きと郵送・窓口手続きのいずれも 可能とする場合を含む)は、申請情報等の電子的情報に係る情報セキュリティ対策を適切に講じる必 要があること。 (2) 講習実施時について eラーニング等により安全衛生教育等を行う場合であっても、法定の科目の範囲、教育時間及び講 師の要件を満たした上で、教本等必要な教材を用いて行うとともに、受講者が受講した事実を適切に 確認する必要があること。 なお、個別の教育ごとに講習実施時に満たすべき要件については、別表のとおりであるので、留意 すること。 (3) 受講修了証の発行等について 受講修了証について、デジタル発行とする場合(デジタル発行と紙媒体での発行を選択的に可能と する場合を含む)は、電子証明書等の電子的な真正性の担保に留意すること。 また、法第76条第1項の規定による技能講習のうち、法第61条第1項に規定されている就業制限に係 る業務に係るものについては、同上第3項の規定により、当該業務に従事する者は資格を証する書面 の携帯が義務付けられているため、デジタル発行が認められていないことにも併せて留意すること。別表(PDF:445KB)