安全衛生情報センター
1 適用関係 問1 テールゲートリフターは、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。) 第36条第5号の4において「第151条の2第7号の貨物自動車の荷台の後部に設置された動力により駆 動されるリフトをいう。」とされている。テールゲートリフターの操作の業務が新たに特別教育の 対象になったが、安衛則に定める「貨物自動車」は、道路運送車両法(昭和26年法律第185号)に基 づく自動車検査証において、用途等の区分が貨物自動車等となっているものや、自家用・事業用の 別が事業用(ナンバープレートが緑色のもの等)となっているものに限定されるのか。 答 貨物自動車は、安衛則第151条の2第7号において「専ら荷を運搬する構造の自動車をいう」とされ ており、自動車検査証の用途区分等、他法令に基づく分類に関わらず適用される。 2 保護帽関係 問2 保護帽着用の対象について、安衛則第151条の74第1項第2号では「荷台の側面が構造上開放され ているもの又は構造上開閉できるもの」とされている。この規定は、貨物自動車の荷台の側面のみに 係る規定であって、貨物自動車の後部扉については適用されないものと理解して良いか。例えば、引 越し作業などで、バンタイプの貨物自動車の後部扉を開けて荷の積込み作業を行う場合などは適用さ れないのか。 答 安衛則第151条の74第1項第2号は、荷台の側面について規定しており、荷台の後部について規定し ているものではない。 「貨物自動車における荷役作業時の墜落・転落防止対策の充実に係る労働安全衛生規則の一部を改 正する省令及び安全衛生特別教育規程の一部を改正する件の施行について」(令和5年3月28日付け基 発0328第5号。以下「施行通達」という。)の3(2)ア(ア)では、「「荷台の側面が構造上開放されて いるもの又は構造上開閉できるもの」には、あおりのない荷台を有する貨物自動車並びに平ボディ車 及びウイング車が含まれるものであり、バン(荷台の四方が囲まれた箱形のもの(ウイング車を除く。)) 等は含まれないものであること。」とされており、バンタイプの貨物自動車(ウイング車を除く。)の 後部扉を開けて荷の積込み作業を行う場合には、同条第1項第2号は適用されない。なお、施行通達の 3(2)ウにおいて「荷役ガイドライン第2の2(2)ア⑤に基づき、荷を積み卸す作業においては、墜落に よる労働者の危険を防止するため保護帽を着用させることが望ましい」とされている。 問3 バンタイプの貨物自動車の中には、側面に扉を有しているものもあるが、これは「荷台の側面が 開閉できる構造のもの」に該当するとして保護帽の着用が必要か。 答 施行通達の3(2)ア(ア)では、「「荷台の側面が構造上開放されているもの又は構造上開閉できるも の」には、(略)バン(荷台の四方が囲まれた箱形のもの(ウイング車を除く。))等は含まれないもので あること。」とされている。 したがって、基本的にはウイング車以外のバンタイプの貨物自動車については「荷台の側面が開閉 できる構造のもの」に該当しないが、荷台の側面に扉を有するバンタイプの貨物自動車(ウイング車 を除く。であって、荷台の側面の扉が後部の扉と比較して明らかに広い範囲で開くものについては、 ウイング車と同様に「荷台の側面が開閉できる構造のもの」として取り扱い、保護帽の着用が必要で ある。 問4 保護帽着用の対象について、安衛則第151条の74第1項第2号では「荷台の側面が構造上開放され ているもの又は構造上解放できるもの」とされている。施行通達の3(2)ア(ア)により、上記に平ボ ディ車及びウイング車が含まれるとされているが、ウイング車の荷台の側面を閉じた上で開き止めの 措置が講じられている等の場合であっても、ウイング車では保護帽の着用が必要か。 答 労働災害の分析の結果、平ボディ車、ウイング車等において多くの墜落・転落災害が発生している ことを踏まえ、こうした車について保護帽着用の対象とされたものである。平ボディ車においてあお りを閉じた場合や、ウイング車においてウイングを閉じた場合であっても、安衛則第151条の74第1項 に定める作業を行う場合には、保護帽の着用が必要である。 問5 施行通達の3(1)ウにおいて、「テールゲートリフターを中間位置で停止させてステップとして 使用する場合にあっては、当該テールゲートリフターについても、昇降設備として認められる」とさ れている。このようにテールゲートリフターを動作させずに単にステップとして使用して荷役作業を 行う場合、安衛則第151条の74第1項の「テールゲートリフターを使用するとき」に該当し、保護帽 の着用が必要となるか。 答 施行通達の3(2)ア(イ)において、「第151条の74第1項柱書きの「テールゲートリフターを使用す るとき」には、(略)テールゲートリフターを中間位置で停止させ、労働者が単にステップとして使 用する場合で、荷を積み卸す作業を行わないときは含まれず、このような場合においては、同項は 適用されないこと。」とされている。 よって、テールゲートリフターをステップとして使用し、荷を積み卸す作業を行う場合は、保護 帽の着用が必要である。 問6 テールゲートリフターに載せている荷物を、地面に立って支える者については保護帽の着用が必 要か。 答 施行通達の3(2)イでは、「荷を積み卸す作業のために労働者が荷台又は積荷の上に乗る必要がな い場合等、墜落の危険がない状態で荷を積み卸す作業を行う場合は、第151条の74第1項の荷を積み 卸す作業を行うときに該当せず、同項は適用されないこと。」とされている。地面に立って荷物を支 える者について、テールゲートリフターや荷台等の上に乗らないときは、上記の施行通達の場合に該 当し保護帽の着用義務は適用されないが、荷が崩れるおそれ等もあることから保護帽の着用が望まし い。 3 特別教育関係 問7 テールゲートリフターを操作することなく、テールゲートリフター上を経由して荷台とプラット フォーム(貨物自動車の荷台の高さの荷受け台のこと。以下「プラットフォーム」という。)の間で荷 役作業を行う場合に特別教育は必要か。 答 施行通達の3(3)アでは「「テールゲートリフターの操作の業務」には、テールゲートリフターの 稼働スイッチを操作することのほか、テールゲートリフターに備え付けられた荷のキャスターストッ パー等を操作すること、昇降板の展開や格納の操作を行うこと等、テールゲートリフターを使用する 業務が含まれること。」とされている。 上記の施行通達で示された業務を行わず、単にテールゲートリフター上を経由して荷の積み卸し作 業を行うのみである場合には、特別教育を実施する必要はない。 問8 後部格納式テールゲートリフターが設置されている貨物自動車等、テールゲートリフターを開か なければ荷役作業ができない構造の貨物自動車もある。特別教育を受講していない者が当該貨物自動 車の後部扉を開けるためだけにテールゲートリフターを操作することは認められるのか。 答 特別教育の対象は、安衛則第36条第5号の4において「テールゲートリフター(略)の操作の業務(当 該貨物自動車に荷を積む作業又は当該貨物自動車から荷を卸す作業を伴うものに限る。)」とされて いる。また、施行通達の3(3)アでは「「テールゲートリフターの操作の業務」には、(略)荷を積み 卸す作業を伴わない定期点検等の業務(略)は含まれないこと。」とされている。 荷の積み卸し作業を伴わず、単に扉を開ける等のためにテールゲートリフターを操作する場合には、 上記の定期点検等の業務と同様に特別教育を実施する必要はない。 しかしながら、後部扉を開けた後、テールゲートリフターを使用して荷の積み卸し作業を行う場合 には、単に扉を開けるためにテールゲートリフターを操作するものではないことから特別教育が必要 となる。 問9 プラットフォームが設置され、これに接続するためにテールゲートリフターを操作する場合、当 該テールゲートリフターの動作時に荷は搭載されていないが特別教育は必要か。 答 特別教育の対象は、労働安全衛生規則安衛則第36条第5号の4において「テールゲートリフター(略) の操作の業務(当該貨物自動車に荷を積む作業又は当該貨物自動車から荷を卸す作業を伴うものに限 る。)」とされている。 「貨物自動車に荷を積む作業又は当該貨物自動車から荷を卸す作業」は、現にテールゲートリフタ ーの動作時に荷を積載している場合に限るものではない。 プラットフォームに接続するためにテールゲートリフターを操作する場合、一般的に、その後の作 業において当該テールゲートリフターを使用して荷の積み卸し作業を行うものであり、この場合には、 安衛則第36条第5号の4の「テールゲートリフター(略)の操作の業務(当該貨物自動車に荷を積む作業 又は当該貨物自動車から荷を卸す作業を伴うものに限る。)」に該当し、特別教育の実施が必要であ る。 4 昇降設備関係 問10 昇降設備には貨物自動車に設置されている昇降用のステップ等を含むとされている。これにはリ ーフレット等で示されている「あおり内側回転式ステップ」は含まれるか。 * あおりの内側に、あおりを下ろした際に回転してステップとなる部分があるもの。 答 施行通達の3(1)ウでは、「「昇降設備」には、踏み台等の可搬式のもののほか、貨物自動車に設 置されている昇降用のステップ等を含むものであること。」とされており、「あおり内側回転式ステ ップ」も含まれる。 なお、昇降設備の設置は、貨物自動車の荷の積み卸し作業において墜落による危険を防止するため の措置であり、施行通達の3(1)エにあるとおり、手すりのあるもの、踏板に一定の幅や奥行きのある ものが望ましい。 問11 貨物自動車の運転席キャビンの後方部分に、キャビン上部に向けて取り付けられているタラップ は「貨物自動車に設置されている昇降用のステップ等」に含まれるか。また、荷台中央下部にある巻 き込み防止柵はどうか。 答 昇降設備の設置は、貨物自動車の荷の積み卸し作業における墜落による危険を防止するための措置 であり、使用する昇降設備は安全に昇降できるものとする必要がある。 タラップが荷台又は荷の上面への人の乗降を前提として設置され、安全に昇降できるものと認めら れる場合には、昇降設備として取り扱って差し支えない。 巻き込み防止柵は、一般的に、荷台又は荷の上面への人の乗降を前提としておらず、強度や踏面の 幅が確保されていないこと、滑り止めがないこと等から昇降設備として認められないが、人の乗降を 想定した強度が確保され、昇降を行う部分に滑り止め加工や踏面の確保を行う等、昇降設備として安 全に昇降できる機能を付与していると認められるものは昇降設備に含まれる。 5 その他 問12 保護帽の着用について、施行通達の3(2)ウにおいて、「本条が適用されない貨物自動車におい て、(略)高さが2メートル以上の箇所で作業を行う場合で、墜落により労働者に危険を及ぼすおそれ のあるときは、安衛則第518条の規定が適用される」とされている。最大積載量2トン未満の貨物自 動車の荷台上でシート掛けを行う場合であって、地上からの高さが2メートル以上の場合、安衛則第 518条に基づき作業床を設ける等の措置を講じる必要があるか。 答 安衛則第518条では、高さが2メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行な う場合、墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは作業床を設けなければならないとされ ており、貨物自動車の荷台上の作業であっても作業床を設ける等の措置が必要である。 なお、安衛則第518条第2項に規定する「「労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等」の 「等」には、荷の上の作業等であって、労働者に要求性能墜落制止用器具等を使用させることが著し く困難な場合において、墜落による危害を防止するための保護帽を着用させる等の措置が含まれるこ と」(昭和43年6月14日付け安発第100号、昭和50年7月21日付け基発第415号)との解釈が示されてい る。 (参考) 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号) (作業床の設置等) 第518条 事業者は、高さが二メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により 労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。 2 事業者は、前項の規定により作業床を設けることが困難なときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用 させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。