安全衛生情報センター
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第28条第3項において、厚生労働大臣は、 がんその他の重度の健康障害を労働者に生ずるおそれのある化学物質で厚生労働大臣が定めるものを製造 し、又は取り扱う事業者が当該化学物質による労働者の健康障害を防止するための指針を公表することと されており、労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質による健康障害 を防止するための指針(健康障害を防止するための指針公示第23号(最終改正 平成28年3月31日付け健康 障害を防止するための指針公示第26号)。以下「がん原性指針」という。)が公表されている。 先般、厚生労働省における「化学物質のリスク評価検討会」の「有害性評価小検討会」における検討の 結果、アクリル酸メチル及びアクロレインについて実験動物にがんを引き起こすことが確認され、ヒトに 対するがん原性は現在確定していないものの、労働者がこの物質に長期間ばく露された場合に、がんを生 ずる可能性が否定できないことから、がん原性指針により健康障害防止措置について指導を行うことが適 当との結論が得られた。 さらに、厚生労働省における「化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会」において、 ①上記結論を踏まえ、アクリル酸メチル及びアクロレインについてがん原性指針に定める措置と同様の 措置を講じることが必要であること ②がん原性指針の対象物質のうちメタクリル酸2,3−エポキシプロピルについて、作業環境測定の方 法及び測定結果の評価に用いる指標(以下「作業環境測定方法等」という。)に係る技術的な検討の成 果について、その内容は妥当であり、がん原性指針に反映させることが必要であること との結論が得られた。 以上を踏まえ、今般、「労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質に よる健康障害を防止するための指針の一部を改正する件(令和2年2月7日付け健康障害を防止するための指 針公示第27号。以下「指針公示第27号」という。)」を公示したところである。これによりがん原性指針 が別添1の新旧対照表のとおり改正され、改正後のがん原性指針(以下「新指針」という。)は別添2のとお りとなる。 ついては、下記事項に留意の上、化学物質による健康障害を防止するために、各都道府県労働局労働基 準部健康主務課において新指針を閲覧に供する(新指針が厚生労働省Webサイトに掲載されている旨を知ら せることを含む。)とともに、事業者、関係事業者団体等に対してその周知を図り、各事業場においてが ん原性指針の対象物質による健康障害の防止対策が適切に行われるよう指導されたい。 また、主要な関係事業者団体に対しては、別添3により、新指針の周知を図るよう要請したので了知さ れたい。
第1 留意事項 1 がん原性指針対象物質の追加について 新指針の対象物質は、これまでがん原性指針の対象物質として定められていた2−アミノ−4−ク ロロフェノール等38物質に加え、法第28条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質とし て追加された以下の2物質(括弧内はCAS登録番号を示す。)となる。 ・アクリル酸メチル(96-33-3) ・アクロレイン(107-02-8) これら2物質に係る物理化学的性質等の情報については、「職場のあんぜんサイト」のGHS対応モデ ルラベル・モデルSDS情報を参照されたい。 2 がん原性指針対象物質に関して講ずるべき措置について メタクリル酸2,3−エポキシプロピルについて、新指針では講ずるべき措置に作業環境測定等を 追加している。 一方、アクロレインに関する作業環境測定方法等については、技術的な検討が未了であることから、 新指針ではアクロレインについて講ずるべき措置から作業環境測定等を除外している。 第2 関係通達の改正 1 全体的事項について がん原性指針全体に対する留意事項について示している平成28年3月31日付け基発0331第26号「「 労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質による健康障害を防止す るための指針」について」(以下「全体的事項通達」という。)を別紙1のとおり改正する。 2 作業環境測定について 「屋外作業場等における作業環境管理に関するガイドラインについて(平成17年3月31日付け基発第 0331017号)」の別表第2を別紙2のとおり改正する。別添1(PDF:108KB)