安全衛生情報センター
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第57条の4第1項の規定に基づく有害性の調査(以下「有害性調査」 という。)については、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第34条の3第1項第1号の規定に基づき、 (1)変異原性試験、(2)化学物質のがん原性に関し変異原性試験と同等以上の知見を得ることができる試験、 (3)がん原性試験、のうちいずれかの試験を行うこととされている。 他方、バイオテクノロジー応用医薬品(以下「バイオ医薬品」という。)については、「「バイオテクノ ロジー応用医薬品の非臨床における安全性評価」について」(平成24年3月23日付け薬食審査発0323第1号 厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知。以下「バイオ医薬品安全性評価通知」という。)において、 ① 従来の医薬品について通常実施されてきた遺伝毒性試験の範囲と種類はバイオ医薬品に対しては適 切なものではなく必要とされていないこと ② バイオ医薬品においては標準的ながん原性試験は一般的に不適当であるとされており、一方で、が ん原性評価が必要と判断された場合は、様々な情報源から得られる適切なデータの検討を含む、科学 的な重要度に基づくアプローチによりがん原性評価を行うこととされていること 等の考え方が示され、この考え方に基づく安全性評価が行われている。 今般、上記の考え方を念頭に、「化学物質のリスク評価検討会」の中の「発がん性評価ワーキンググル ープ」において検討を行った結果、バイオ医薬品の製造販売の承認申請における安全性評価の取扱いを踏 まえ、バイオ医薬品に係る有害性調査について下記のとおり定めたので、了知するとともに、関係事業者 等に対して周知に努められたい。 また、関係業界団体に対しては、本職より別添のとおり通知を行ったので、併せて了知されたい。
1 バイオ医薬品に係る有害性調査の基本的な考え方 バイオ医薬品に係る有害性調査においては、バイオ医薬品安全性評価通知の第2部の「6.がん原性」 によるがん原性評価(以下「バイオ医薬品がん原性評価」という。)の内容を参考にすることとし、対象 のバイオ医薬品のがん原性に関し変異原性試験と同等以上の知見を得ることができる試験が実施されて いる場合には、当該試験の結果が確認できる書類を提出することにより、別途変異原性試験又はがん原 性試験を実施せずともよいこととする。 2 提出資料 バイオ医薬品に係る有害性調査においては、変異原性試験又はがん原性試験の結果の提出に代えて、 以下の資料(いずれも臨床試験に係るものは除く。)の提出を求める。 ⅰ) 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第 14条第3項の製造販売承認申請に係る資料(がん原性評価及び反復投与毒性試験に係る部分) ⅱ) 上記ⅰの申請に対し、独立行政法人医薬品医療機器総合機構が作成した当該バイオテクノロジー 応用医薬品に係る審査報告書 ⅲ) 遺伝毒性やがん原性について懸念のあるバイオ医薬品について、バイオ医薬品安全性評価通知に おける「4.7 遺伝毒性試験」又は「4.8 がん原性試験」に従って遺伝毒性試験又はがん原性試 験を実施している場合、これら試験の結果 なお、上記ⅰ〜ⅲに加えて、バイオ医薬品がん原性評価の内容が分かる概要資料(上記ⅰ〜ⅲのうち 関連の箇所を抜粋、整理等したもの。様式不問。)を添付すること。 【参考】バイオ医薬品に係るがん原性評価について バイオ医薬品については、必要に応じて、バイオ医薬品がん原性評価が実施されることとなってい る。バイオ医薬品がん原性評価においては、科学的な重要度に基づくアプローチとして、様々な情報 源から得られる適切なデータの検討を行うべきこととされており、その情報源には以下のようなもの が含まれるとされている。 公表データ(例えば、トランスジェニック動物、ノックアウト動物、病態モデル動物、又はヒト の遺伝性疾患に関する情報) クラスエフェクトに関する情報 標的分子の生物学的特性及び作用機序に関する詳細な情報 in vitroデータ 長期毒性試験成績並びに臨床成績