安全衛生情報センター
今般、化成品等の製造事業場で、複数の労働者及び退職者に膀胱がんの病歴又は所見があることが明ら かになった。 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所の協力も得て作業実態や発生原因について調 査を行ったところ、これらの労働者及び退職者のうち多くは、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジ フェニルメタン(以下「MOCA」という。)を取り扱う作業に従事していたことが判明した。 MOCAは、特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)の特定第二類 物質かつ特別管理物質として規制が行われている物質であるが、特化則に基づくMOCAの特殊健康診断の項 目に膀胱がんに関する項目が含まれていないこと等から、本省では、現在、専門家からなる検討会におい て特殊健康診断の項目の見直しのための検討を行っているところであり、MOCAについてもその結論を踏ま えて必要な措置を講じる予定としている。 このため、厚生労働省においては、引き続き原因究明のための調査を実施するとともに、関係業界団体 に対して、別添のとおり、MOCAによる健康障害を防止するため、特化則に基づくばく露防止措置等の徹底 を図ること、及び特殊健康診断項目の見直しまでの間、緊急的な措置として、膀胱がんに関する検査を実 施すること等について要請したところである。 ついては、都道府県労働局においても、同種の事案を予防する観点から、関係事業者に対してMOCAによ る健康障害の防止のための上記の措置の適切な実施について、指導するとともに、管内関係事業者団体に 対して要請願いたい。