安全衛生情報センター
安全衛生特別教育規程の一部を改正する告示(平成25年厚生労働省告示第363号)が平成25年11月29日に 公示され、平成26年12月1日から適用することとされたところである。その改正の趣旨、内容等について は、下記のとおりであるので、関係者への周知を図るとともに、その運用に遺漏なきを期されたい。
第1 改正の趣旨 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第59条第3項の規定により、事業者は、 危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者を就かせるときは、厚生労働省令で定める ところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行わなければならないこととされ ている。 今般、労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成25年厚生労働省令第125号)による労働安全衛生 規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)の一部改正により、伐木等機械の運転の業務、 走行集材機械の運転の業務及び簡易架線集材装置の運転又は架線集材機械の運転の業務が特別教育を必 要とする業務に追加されることに伴い、これらの業務に従事する労働者に対する特別教育の内容を新た に規定するため、安全衛生特別教育規程(昭和47年労働省告示第92号)の一部を改正したものである。 第2 細部事項 1 労働者に対する特別の教育が必要な業務に、伐木等機械の運転の業務、走行集材機械の運転の業務 及び簡易架線集材装置の運転又は架線集材機械の運転の業務が追加されたことに伴い、これらの業務 に従事する労働者に対する特別教育の内容を規定したこと。(第8条の2、第8条の3及び第9条の2関係) 2 具体的には、次のとおり規定したこと。 (1) 伐木等機械の運転の業務に係る特別教育(第8条の2関係) ア 学科教育は、次に掲げる科目を、それぞれ掲げる時間以上行うものとしたこと。 ・ 伐木等機械に関する知識 1時間 ・ 伐木等機械の走行及び作業に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 1時間 ・ 伐木等機械の作業に関する知識 2時間 ・ 伐木等機械の運転に必要な一般的事項に関する知識 1時間 ・ 関係法令 1時間 イ 実技教育は、次に掲げる科目を、それぞれ掲げる時間以上行うものとしたこと。 ・ 伐木等機械の走行の操作 2時間 ・ 伐木等機械の作業のための装置の操作 4時間 (2) 走行集材機械の運転の業務に係る特別教育(第8条の3関係) ア 学科教育は、次に掲げる科目を、それぞれ掲げる時間以上行うものとしたこと。 ・ 走行集材機械に関する知識 1時間 ・ 走行集材機械の走行及び作業に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 1時間 ・ 走行集材機械の作業に関する知識 2時間 ・ 走行集材機械の運転に必要な一般的事項に関する知識 1時間 ・ 関係法令 1時間 イ 実技教育は、次に掲げる科目を、それぞれ掲げる時間以上行うものとしたこと。 ・ 走行集材機械の走行の操作 3時間 ・ 走行集材機械の作業のための装置の操作 3時間 (3) 簡易架線集材装置等の運転の業務に係る特別教育(第9条の2関係) ア 学科教育は、次に掲げる科目を、それぞれ掲げる時間以上行うものとしたこと。 ・ 簡易架線集材装置の集材機及び架線集材機械に関する知識 1時間 ・ 架線集材機械の走行及び作業に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 1時間 ・ 簡易架線集材装置及び架線集材機械の作業に関する知識 2時間 ・ 簡易架線集材装置及び架線集材機械の運転に必要な一般的事項に関する知識 1時間 ・ 関係法令 1時間 イ 実技教育は、次に掲げる科目を、それぞれ掲げる時間以上行うものとしたこと。 ・ 架線集材機械の走行の操作 1時間 ・ 簡易架線集材装置の集材機の運転及び架線集材機械の作業のための装置の操作 3時間 ・ ワイヤロープの取扱い 4時間 3 特別教育の科目の省略 安衛則第37条の規定により、特別教育の科目の全部又は一部について十分な知識及び経験を有して いると認められる労働者については、当該科目についての特別教育を省略することができることとさ れている。この規定に基づき、次のとおり特別教育の科目を省略することができるものであること。 (1) 伐木等機械の運転の業務に係る特別教育(第8条の2関係) ア 走行集材機械の運転の業務に係る特別教育の修了者については、「伐木等機械の走行及び作業 に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識」、「伐木等機械の運転に必要な一般的事項 に関する知識」及び「伐木等機械の走行の操作」の科目を省略することができること。 イ 簡易架線集材装置等の運転の業務に係る特別教育の修了者については、「伐木等機械の走行及 び作業に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識」及び「伐木等機械の運転に必要な一 般的事項に関する知識」の科目を省略することができること。 ウ 車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習、車両系建設機械(基礎工事 用)運転技能講習、車両系建設機械(解体用)運転技能講習、不整地運搬車運転技能講習、小型車両 系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転の業務に係る特別教育、小型車両系建設機 械(基礎工事用)の運転の業務に係る特別教育、小型車両系建設機械(解体用)の運転の業務に係る 特別教育又は不整地運搬車の運転の業務に係る特別教育の修了者については、「伐木等機械の走 行の操作」の科目を省略することができること。 エ 適用日時点において、伐木等機械の運転の業務に6月以上従事した経験を有する者については、 実技教育の全部の科目を省略することができること。 オ 当省が実施した平成23年度「高性能林業機械運転従事者に対する安全衛生教育手法開発事業」 における試行教育(機械区分が「伐木造材機械」)の修了者については、「関係法令」の科目を除 き、学科教育及び実技教育の全部の科目を省略することができること。 カ 適用日より前に、改正後の安全衛生特別教育規程第8条の2に規定する伐木等機械の運転の業務 に係る特別教育の全部又は一部を受講した者については、当該受講した科目を省略することがで きること。 (2) 走行集材機械の運転の業務に係る特別教育(第8条の3関係) ア 伐木等機械の運転の業務に係る特別教育の修了者については、「走行集材機械の走行及び作業 に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識」の科目を省略することができること。 イ 簡易架線集材装置等の運転の業務に係る特別教育の修了者については、「走行集材機械の走行 及び作業に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識」及び「走行集材機械の運転に必要 な一般的事項に関する知識」の科目を省略することができること。 ウ 平成3年11月11日付け基発第646号「林内作業車を使用する集材作業に従事する者に対する安全 教育について」に基づく安全教育の修了者については、「関係法令」の科目を除き、学科教育の 全ての科目を省略することができること。 エ 車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習、車両系建設機械(基礎工事 用)運転技能講習、車両系建設機械(解体用)運転技能講習、不整地運搬車運転技能講習、小型車両 系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転の業務に係る特別教育、小型車両系建設機 械(基礎工事用)の運転の業務に係る特別教育、小型車両系建設機械(解体用)の運転の業務に係る 特別教育又は不整地運搬車の運転の業務に係る特別教育の修了者については、「走行集材機械の 走行の操作」の科目を省略することができること。 オ 適用日時点において、走行集材機械の運転の業務に6月以上従事した経験を有する者について は、実技教育の全部の科目を省略することができること。 カ 当省が実施した平成23年度「高性能林業機械運転従事者に対する安全衛生教育手法開発事業」 における試行教育(機械区分が「車両集材機械」)の修了者については、「関係法令」の科目を除 き、学科教育及び実技教育の全部の科目を省略することができること。 キ 適用日より前に、改正後の安全衛生特別教育規程第8条の3に規定する走行集材機械の運転の業 務に係る特別教育の全部又は一部を受講した者については、当該受講した科目を省略することが できること。 (3) 簡易架線集材装置等の運転の業務に係る特別教育(第9条の2関係) ア 伐木等機械の運転の業務に係る特別教育の修了者については、「架線集材機械の走行及び作業 に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識」及び「架線集材機械の走行の操作」の科目 を省略することができること。 イ 走行集材機械の運転の業務に係る特別教育の修了者については、「架線集材機械の走行及び作 業に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識」及び「架線集材機械の走行の操作」の科 目を省略することができること。 ウ 機械集材装置の運転の業務に係る特別教育の修了者については、「簡易架線集材装置及び架線 集材機械の作業に関する知識」及び「ワイヤロープの取扱い」の科目を省略することができるこ と。 エ 車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習、車両系建設機械(基礎工事 用)運転技能講習、車両系建設機械(解体用)運転技能講習、不整地運搬車運転技能講習、小型車両 系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転の業務に係る特別教育、小型車両系建設機 械(基礎工事用)の運転の業務に係る特別教育、小型車両系建設機械(解体用)の運転の業務に係る 特別教育又は不整地運搬車の運転の業務に係る特別教育の修了者については、「架線集材機械の 走行の操作」の科目を省略することができること。 オ 適用日時点において、簡易架線集材装置等の運転の業務に6月以上従事した経験を有する者につ いては、実技教育の全部の科目を省略することができること。 カ 当省が実施した平成23年度「高性能林業機械運転従事者に対する安全衛生教育手法開発事業」 における試行教育(機械区分が「架線集材機械」)の修了者については、「関係法令」の科目を除 き、学科教育及び実技教育の全部の科目を省略することができること。 キ 適用日より前に、改正後の安全衛生特別教育規程第9条の2に規定する簡易架線集材装置等の運 転の業務に係る特別教育の全部又は一部を受講した者については、当該受講した科目を省略する ことができること。 (4) その他 簡易架線集材装置等の運転の業務に係る特別教育の修了者については、機械集材装置の運転の業 務に係る特別教育を受ける場合に、「ワイヤロープの取扱い」の科目を省略することができること。