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「じん肺有所見者に対する健康管理教育のためのガイドライン」の周知・普及について

改正履歴


                                                                              基発第70号
                                                                           平成9年2月3日

  じん肺予防対策については、じん肺法、労働安全衛生法、粉じん障害防止規則等に基づき、じん肺健康
診断の実施等粉じん作業に従事する者の健康管理、作業環境測定等の作業環境管理等が行われているとこ
ろであるが、今般、職場におけるじん肺有所見者の健康管理を推進するため、別添のとおり「じん肺有所
見者に対する健康管理教育のためのガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)を定めたので、了
知の上、あらゆる機会を通じてその周知に努めるとともに、下記の事項に留意の上、当該教育が円滑かつ
効果的に推進されるよう配慮されたい。
  なお、関係団体には、本職より別紙<略>のとおり要請を行ったので、了知されたい。

                      記

1  ガイドライン3(3)の講師としては、以下の者から選任することが適当であること。
    なお、中小規模事業場において、これらの産業医等の確保が困難な場合にあっては、地域産業保健セ
  ンター又は産業保健推進センターにおける相談業務を活用し、適切な講師の確保に努めるよう指導する
  こと。
  (1)  ガイドライン3(1)[2]の科目の講師としては、じん肺に関し、知識、経験を豊富に有する産業医
      等
  (2)  ガイドライン3(1)[1]及び[3]の科目の講師としては、産業医のほかに、衛生管理者、労働衛生コ
      ンサルタントその他労働衛生に関する知識を有する者
2  ガイドライン3(1)[2]の科目については、現に粉じん作業に従事している者を対象とする場合は、範
  囲の欄に掲げる項目を平均的に行うものとするが、現に粉じん作業に従事していない者を対象として行
  う場合には、範囲の欄に掲げる項目のうち、「ロ  健康的な生活習慣」及び「ハ  合併症の予防」に重
  点をおくことが適当であること。
3  ガイドライン4(1)の「安全衛生団体等」としては、中央労働災害防止協会、建設業労働災害防止協
  会その他これに準ずる団体が適当と認められるので、これらの団体においてガイドラインに基づく教育
  が実施できるよう適切に指導すること。
4  ガイドラインに基づく教育内容の斉一化を図るため、講師等を対象とした講習会を中央労働災害防止
  協会に委託して実施する予定であること。
5  ガイドラインに基づく教育のためのテキストについては、別途指示することとしていること。

別添

じん肺有所見者に対する健康管理教育のためのガイドライン

1  趣旨
    じん肺は、じん肺法、労働安全衛生法、粉じん障害防止規則に基づき予防対策が講じられてきた結果、
  その新規有所見者は年々減少してきているが、いまだに製造業、建設業、鉱業等の幅広い業種で発生し
  ている。
    じん肺は、粉じんを吸入することにより、肺に線維性の変化が起こる病気で、現在の医学ではこの病
  変を回復させる有効な治療の方策は一般的にはない状況にある。したがって、じん肺の進行を防止する
  ためには、じん肺の所見を有する労働者の粉じんへのばく露を最小限とすると同時に、その健康管理を
  適切に行うことが重要であり、このためには、事業者が適切な労働衛生管理対策を講じるとともに、労
  働者に対してじん肺、じん肺の進行の防止と健康管理等に関する知識を習得させることが重要である。
    本ガイドラインは、じん肺有所見者に対して行う健康管理教育(以下「教育」という。)について、
  その内容、時間、方法及び講師並びに教育の推進体制の整備等を適切かつ有効な実施のために必要な事
  項を定めたものである。
    事業者は、じん肺有所見者に対する教育の重要性を認識し、事業場の実態を踏まえつつ本ガイドライ
  ンに基づきじん肺有所見者に対する教育を実施するよう努める必要がある。
2  教育の対象者及び教育の実施時期
    教育の対象者及び教育の実施時期は次の表のとおりとする。
    なお、常時粉じん作業に従事する労働者又は常時粉じん作業に従事させたことがある労働者のうち、
  現にじん肺管理区分が管理2、管理3イ又は管理3ロであって、当該教育を受けていない者についても
  随時教育を行うものとする。
  
3  教育の内容、時間、方法及び講師
  (1)  内容及び時間
        次表の科目の欄に掲げる[1]から[3]の科目について、それぞれの範囲の欄に掲げる範囲について、
      時間の欄に掲げる時間により行うものとする。
        なお、既に当該教育を受けたことのある者については、[1]及び[3]の科目について省略すること
      ができる。    
  (2)  方法
        教育の方法としては、講義方式に加え、視聴覚教育、必要に応じて個別相談を行う等科目の内容
      に応じて効果の上がる方法で行うこととする。
  (3)  講師
        教育内容について、知識、経験を豊富に有する者とする。
4  推進体制の整備等
  (1)  教育の実施者
        教育の実施者は事業所であるが、事業者が自ら行うほか、安全衛生団体等に委託して実施できる
      ものとする。
        事業者又は事業者の委託を受けた安全衛生団体等は、あらかじめ教育の実施に当たって実施責任
      者を定めるとともに、実施計画を作成するものとする。
        なお、事業者が教育を実施する場合は、衛生委員会の設置義務のある事業場においては、衛生委
      員会又は安全衛生委員会で教育の対象者、実施時期、内容、講師の選定等の実施計画について調査
      審議させることが適当である。
        また、事業者が安全衛生団体等に委託して教育を行う場合についても、衛生委員会の設置義務の
      ある事業場においては、衛生委員会又は安全衛生委員会で教育の対象者、委託団体、委託時期等に
      ついて調査審議させることが適当である。
  (2)  記録の保存
        事業者は、事業者自ら教育を行った場合に加えて、安全衛生団体等に委託して教育を実施した場
      合についても、教育の受講者、実施時期等の記録を保存するものとする。