クレーン等安全規則 第八章
玉掛け(第二百十三条−第二百二十二条) |
クレーン等安全規則 目次
第一節 玉掛用具
(玉掛け用ワイヤロープの安全係数)
第二百十三条 事業者は、クレーン、移動式クレーン又はデリックの玉掛用具であるワイヤロープの安全
係数については、六以上でなければ使用してはならない。
2 前項の安全係数は、ワイヤロープの切断荷重の値を、当該ワイヤロープにかかる荷重の最大の値で除
した値とする。
(玉掛け用つりチエーンの安全係数)
第二百十三条の二 事業者は、クレーン、移動式クレーン又はデリツクの玉掛用具であるつりチエーンの
安全係数については、次の各号に掲げるつりチエーンの区分に応じ、当該各号に掲げる値以上でなけれ
ば使用してはならない。
一 次のいずれにも該当するつりチェーン 四
イ 切断荷重の二分の一の荷重で引つ張つた場合において、その伸びが〇・五パーセント以下のもの
であること。
ロ その引張強さの値が四百ニュートン毎平方ミリメートル以上であり、かつ、その伸びが、次の表
の上欄に掲げる引張強さの値に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる値以上となるものであること。
(表)
二 前号に該当しないつりチェーン 五
2 前項の安全係数は、つりチェーンの切断荷重の値を、当該つりチェーンにかかる荷重の最大の値で除
した値とする。
(玉掛け用フツク等の安全係数)
第二百十四条 事業者は、クレーン、移動式クレーン又はデリツクの玉掛用具であるフツク又はシヤツク
ルの安全係数については、五以上でなければ使用してはならない。
2 前項の安全係数は、フツク又はシヤツクルの切断荷重の値を、それぞれ当該フツク又はシヤツクルに
かかる荷重の最大の値で除した値とする。
(不適格なワイヤロープの使用禁止)
第二百十五条 事業者は、次の各号のいずれかに該当するワイヤロープをクレーン、移動式クレーン又は
デリツクの玉掛用具として使用してはならない。
一 ワイヤロープ一よりの間において素線(フイラ線を除く。以下本号において同じ。)の数の十パー
セント以上の素線が切断しているもの
二 直径の減少が公称径の七パーセントをこえるもの
三 キンクしたもの
四 著しい形くずれ又は腐食があるもの
(不適格なつりチエーンの使用禁止)
第二百十六条 事業者は、次の各号のいずれかに該当するつりチエーンをクレーン、移動式クレーン又は
デリツクの玉掛用具として使用してはならない。
一 伸びが、当該つりチエーンが製造されたときの長さの五パーセントをこえるもの
二 リンクの断面の直径の減少が、当該つりチエーンが製造されたときの当該リンクの断面の直径の十
パーセントをこえるもの
三 き裂があるもの
(不適格なフツク、シヤツクル等の使用禁止)
第二百十七条 事業者は、フツク、シヤツクル、リング等の金具で、変形しているもの又はき裂があるも
のを、クレーン、移動式クレーン又はデリツクの玉掛用具として使用してはならない。
(不適格な繊維ロープ等の使用禁止)
第二百十八条 事業者は、次の各号のいずれかに該当する繊維ロープ又は繊維ベルトをクレーン、移動式
クレーン又はデリツクの玉掛用具として使用してはならない。
一 ストランドが切断しているもの
二 著しい損傷又は腐食があるもの
(リングの具備等)
第二百十九条 事業者は、エンドレスでないワイヤロープ又はつりチエーンについては、その両端にフツ
ク、シヤツクル、リング又はアイを備えているものでなければクレーン、移動式クレーン又はデリツク
の玉掛用具として使用してはならない。
2 前項のアイは、アイスプライス若しくは圧縮どめ又はこれらと同等以上の強さを保持する方法による
ものでなければならない。この場合において、アイスプライスは、ワイヤロープのすべてのストランド
を三回以上編み込んだ後、それぞれのストランドの素線の半数の素線を切り、残された素線をさらに二
回以上(すべてのストランドを四回以上編み込んだ場合には一回以上)編み込むものとする。
(使用範囲の制限)
第二百十九条の二 事業者は、磁力若しくは陰圧により吸着させる玉掛用具、チェーンブロック又はチェ
ーンレバーホイスト(以下この項において「玉掛用具」という。)を用いて玉掛けの作業を行うときは、
当該玉掛用具について定められた使用荷重等の範囲で使用しなければならない。
2 事業者は、つりクランプを用いて玉掛けの作業を行うときは、当該つりクランプの用途に応じて玉掛
けの作業を行うとともに、当該つりクランプについて定められた使用荷重等の範囲で使用しなければな
らない。
(作業開始前の点検)
第二百二十条 事業者は、クレーン、移動式クレーン又はデリツクの玉掛用具であるワイヤロープ、つり
チエーン、繊維ロープ、繊維ベルト又はフツク、シヤツクル、リング等の金具(以下この条において「ワ
イヤロープ等」という。)を用いて玉掛けの作業を行なうときは、その日の作業を開始する前に当該ワ
イヤロープ等の異常の有無について点検を行なわなければならない。
2 事業者は、前項の点検を行なつた場合において、異常を認めたときは、直ちに補修しなければならな
い。
第二節 就業制限
(就業制限)
第二百二十一条 事業者は、令第二十条第十六号に掲げる業務(制限荷重が一トン以上の揚貨装置の玉掛
けの業務を除く。)については、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、当該業務に就かせては
ならない。
一 玉掛け技能講習を修了した者
二 職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号。以下「能開法」という。)第二十七条第一項
の準則訓練である普通職業訓練のうち、職業能力開発促進法施行規則(昭和四十四年労働省令第二十
四号。以下「能開法規則」という。)別表第四の訓練科の欄に掲げる玉掛け科の訓練(通信の方法に
よつて行うものを除く。)を修了した者
三 その他厚生労働大臣が定める者
(特別の教育)
第二百二十二条 事業者は、つり上げ荷重が一トン未満のクレーン、移動式クレーン又はデリツクの玉掛
けの業務に労働者をつかせるときは、当該労働者に対し、当該業務に関する安全のための特別の教育を
行なわなければならない。
2 前項の特別の教育は、次の科目について行なわなければならない。
一 クレーン、移動式クレーン及びデリツク(以下この条において「クレーン等」という。)に関する
知識
二 クレーン等の玉掛けに必要な力学に関する知識
三 クレーン等の玉掛けの方法
四 関係法令
五 クレーン等の玉掛け
六 クレーン等の運転のための合図
3 安衛則第三十七条及び第三十八条並びに前二項に定めるもののほか、第一項の特別の教育に関し必要
な事項は、厚生労働大臣が定める。