動力プレス機械構造規格
第三章 機械系統(第十六条−第三十二条) |
(ばね)
第十六条 動力プレスに使用するばねであってその破損、脱落等によってスライドが誤作動するおそれ
のあるものは、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
一 圧縮型のものであること。
二 ロッド、パイプ等に案内されるものであること。
(ボルト等)
第十七条 動力プレスに使用するボルト、ナット等であってその緩みによってスライドの誤作動、部品
の脱落等のおそれのあるものは、緩み止めが施されているものでなければならない。
2 動力プレスに使用するピンであってその抜けによってスライドの誤作動、部品の脱落等のおそれのあ
るものは、抜け止めが施されているものでなければならない。
(ストローク数)
第十八条 機械プレスのストローク数は、次の表の上欄に掲げる機械プレスの種類及び同表の中欄に掲
げる圧力能力に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げるストローク数以下でなければならない。(表)
(クラッチの材料)
第十九条 クラッチの材料は、次の表の上欄に掲げる機械プレスの種類及び同表の中欄に掲げるクラッ
チの構成部分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる鋼材でなければならない。(表)
(クラッチの処理及び硬さ)
第二十条 クラッチは、次の表の第一欄に掲げる機械プレスの種類及び同表の第二欄に掲げるクラッチ
の構成部分に応じて、それぞれ同表の第三欄に掲げる処理がなされ、及び同表の第四欄に掲げる表面
硬さ値を有するものでなければならない。(表)
(クラッチの構造等)
第二十一条 機械プレスのクラッチで空気圧によって作動するものは、ばね緩め型の構造のもの又はこ
れと同等以上の機能を有する構造のものでなければならない。
第二十二条 機械プレスのクラッチは、フリクションクラッチ式のものでなければならない。ただし、
機械プレス(機械プレスブレーキを除く。)であって、第二条第一項各号に掲げるものに該当するものに
あっては、この限りでない。
第二十三条 ピンクラッチプレスのクラッチは、クラッチ作動用カムがクラッチピンを戻す範囲を超え
ない状態でクランク軸の回転を停止させることができるストッパーを備えているものでなければならな
い。
2 前項のクラッチに使用するブラケットは、その位置を固定するための位置決めピンを備えているもの
でなければならない。
3 クラッチ作動用カムは、作動させなければ押し戻されない構造のものでなければならない。
4 クラッチ作動用カムの取付け部は、当該カムが受ける衝撃に耐えることができる強度を有するもので
なければならない。
(ブレーキ)
第二十四条 機械プレスのブレーキは、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
ただし、第二号の規定は、湿式ブレーキについては、適用しない。
一 バンドブレーキ以外のものであること。
二 ブレーキ面に油脂類が侵入しない構造のものであること。
2 クランク軸等の偏心機構を有する動力プレス(以下「クランクプレス等」という。)で空気圧によって
クラッチを作動するもののブレーキは、ばね締め型の構造のもの又はこれと同等以上の機能を有する構
造のものでなければならない。
(転角度の表示計)
第二十五条 クランクプレス等は、見やすい箇所にクランク軸等の回転角度を示す表示計を備えている
ものでなければならない。ただし、身体の一部が危険限界に入らない構造の動力プレス及び自動プレス
(自動的に材料の送給及び加工並びに製品等の排出を行う構造の動力プレスをいう。)にあっては、この
限りでない。
(オーバーラン監視装置)
第二十六条 クランク軸等の回転数が毎分三百回転以下のクランクプレス等は、オーバーラン監視装置
(クランクピン等がクランクピン等の設定の停止点で停止することができない場合に急停止機構に対し
クランク軸等の回転の停止の指示を行うことができる装置をいう。)を備えているものでなければなら
ない。ただし、急停止機構を有することを要しないクランクプレス等又は自動プレスにあっては、この
限りでない。
2 前項のオーバーラン監視装置を備えるクランクプレス等は、オーバーラン監視装置により急停止機構
が作動した場合は、スライドを始動の状態に戻した後でなければスライドが作動しない構造のものでな
ければならない。
(クラッチ又はブレーキ用の電磁弁)
第二十七条 空気圧又は油圧によってクラッチ又はブレーキを制御する機械プレスは、次の各号に適合
する電磁弁を備えるものでなければならない。ただし、第一号の規定は、身体の一部が危険限界に入ら
ない構造の動力プレスについては、適用しない。
一 複式のものであること。
二 ノルマリクローズド型であること。
三 空気圧により制御するものにあっては、プレッシャーリターン型であること。
四 油圧により制御するものにあっては、ばねリターン型であること。
(過度の圧力上昇防止装置等)
第二十八条 前条の機械プレスは、クラッチ又はブレーキを制御するための空気圧又は油圧が過度に上
昇することを防止することができる安全装置を備え、かつ、当該空気圧又は油圧が所要圧力以下に低下
した場合に自動的にスライドの作動を停止することができる機構を有するものでなければならない。
(スライドの調節装置)
第二十九条 スライドの調節を電動機で行う機械プレスは、スライドがその上限及び下限を超えること
を防止することができる装置を備えているものでなければならない。
(カウンターバランス)
第三十条 機械プレスのスライドのカウンターバランスは、次の各号に適合するものでなければならな
い。
一 スプリング式のカウンターバランスにあっては、スプリング等の部品が破損した場合に当該部品の
飛散を防止することができる構造のものであること。
二 空気圧式のカウンターバランスにあっては、次の要件を満たす構造のものであること。
イ ピストン等の部品が破損した場合に当該部品の飛散を防止することができるものであること。
ロ ブレーキをかけることなくスライド及びその附属品をストロークのいかなる位置においても保持
できるものであり、かつ、空気圧が所要圧力以下に低下した場合に自動的にスライドの作動を停止
することができるものであること。
(安全プラグ等)
第三十一条 機械プレスブレーキ以外の機械プレスでボルスターの各辺の長さが千五百ミリメートル未
満のもの又はダイハイトが七百ミリメートル未満のもの及びプレスブレーキにあっては、第六条の規定
にかかわらず、安全ブロック等に代えて安全プラグ又はキーロックとすることができる。
2 前項の安全プラグは、操作ステーションごとに備えられているものでなければならない。
3 第一項のキーロックは、主電動機への通電を遮断することができるものでなければならない。
(サーボプレスの停止機能)
第三十二条 サーボプレスは、スライドを減速及び停止させることができるサーボシステムの機能に故
障があった場合に、スライドの作動を停止することができるブレーキを有するものでなければならない。
2 サーボプレスは、前項のブレーキに異常が生じた場合は、スライドの作動を停止し、かつ、再起動操
作をしても作動しない構造のものでなければならない。
3 スライドの作動をベルト又はチェーンを介して行うサーボプレスにあっては、ベルト又はチェーンの
破損による危険を防止するための措置が講じられているものでなければならない。