エレベーター構造規格
第二章 機械部分(第二十四条−第三十七条) |
エレベーター構造規格
目次
第一節 昇降装置等
(エレベーターの原動機等)
第二十四条 削除
(部品の強度)
第二十五条 昇降装置のドラム、シャフト、ピン等昇降装置の機能に影響を与える部品は、十分な強度
を有し、かつ、昇降装置の作動に支障となる摩耗、変形、割れ等がないものでなければならない。
(ブレーキ)
第二十六条 エレベーターの昇降装置は、搬器の昇降の作動を制動するためのブレーキを備えるもので
なければならない。ただし、油圧のモーターにより駆動される方式のエレベーター以外の油圧を動力
とするエレベーター(以下「油圧エレベーター」という。)の昇降装置については、この限りでない。
2 前項のブレーキは、次に定めるところによるものでなければならない。
一 制動トルクの値は、積載荷重に相当する荷重の荷を載せたときにおける当該エレベーターの昇降
装置のトルクの値(当該トルクの値が二以上ある場合にあっては、それらの値のうち最大の値)に、
次の表の上欄に掲げるエレベーターの区分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる値を乗じて得た
値以上であること。(表)
二 動力が遮断された場合に自動的に作動するものであること。
3 前項第一号の昇降装置のトルクの値は、昇降装置の抵抗がないものとして計算するものとする。ただ
し、当該昇降装置に七十五パーセント以下の効率のウォーム・ウォーム歯車機構が用いられている場合
には、当該歯車機構の抵抗により生ずるトルクの値の二分の一のトルクに相当する抵抗があるものとし
て計算することができる。
(ドラム等の直径)
第二十七条 巻上機のドラムのピッチ円の直径と当該ドラムに巻き込まれる巻上用ワイヤロープの直径と
の比の値及び巻上用ワイヤロープが通っているシーブのピッチ円の直径と当該シーブを通る巻上用ワイ
ヤロープの直径との比の値は、それぞれ四十以上でなければならない。
ただし、次の各号のいずれかに該当する場合には、シーブのピッチ円と当該シーブを通る巻上用ワイヤ
ロープの直径との比の値は、三十六以上とすることができる。
一 巻上用ワイヤロープのシーブに接する長さが当該シーブの周の長さの四分の一以下である場合
二 次のいずれにも該当する場合
イ 揚程が十三メートル以下である場合
ロ 定格速度が〇・七五メートル毎秒以下である場合
ハ 積載荷重の値が三百二十キログラム以下である場合
(巻上用ワイヤロープのドラムへの巻込み)
第二十八条 巻上機の溝付きドラムの溝に巻上用ワイヤロープが巻き込まれる方向と当該溝に巻き込ま
れるときの当該巻上用ワイヤロープの方向との角度は、四度以内でなければならない。
2 巻上機の溝付きドラム以外のドラムに係るフリートアングルの値は、二度以内でなければならない。
(巻上用ワイヤロープとドラム等との緊結等)
第二十九条 巻上用ワイヤロープと搬器、カウンターウェイト等との連絡は、一本ごとに合金詰めソケ
ット止め又はコッタ止めにより緊結することにより行わなければならない。ただし、巻胴式エレベータ
ーの巻上用ワイヤロープと巻上機のドラムとの連結は、一本ごとにクランプ止めにより緊結することに
より行うことができる。
2 前項の規定にかかわらず、工事用エレベーターの巻上用ワイヤロープと搬器、カウンターウェイト等
との連結は、一本ごとにクランプ止め又は圧縮止めにより緊結することにより行うことができる。
3 巻上用チェーンと搬器等との連結は、一本ごとに鋼製留金具により緊結することにより行わなければ
ならない。
第二節 安全装置等
(安全装置)
第三十条 エレベーターは、次の各号に掲げる安全装置を備えるものでなければならない。
一 搬器及び昇降路の全ての出入口の戸が閉じていない場合には、搬器を昇降させることができない装
置
二 搬器が昇降路の出入口の戸の位置に停止していない場合には、かぎを用いなければ外から当該出入
口の戸を開くことができない装置
三 操縦装置を操作する者が操作をやめた場合には、操縦装置が搬器を停止させる状態に自動的に復す
る装置
四 搬器内及び搬器上で動力を遮断することができる装置
五 搬器の速度が定格速度に相当する速度の一・三倍(定格速度が〇・七五メートル毎秒以下のエレベ
ーターにあっては、一・〇五メートル毎秒)を超えないうちに動力を自動的に遮断する装置
六 搬器の降下する速度が前号に掲げる装置が作動すべき速度を超えた場合(定格速度が〇・七五メー
トル毎秒以下のエレベーターにあっては、搬器の降下する速度が同号に掲げる装置が作動すべき速度
に達し、又はこれを超えた場合)には、速度が定格速度に相当する速度の一・四倍(定格速度が〇・
七五メートル毎秒以下のエレベーターにあっては、一・一四メートル毎秒)を超えないうちに搬器の
降下を自動的に制止する装置
七 搬器が昇降路の頂部にある床若しくははり又は底部に衝突することを防止するため、搬器の昇降を
自動的に制御し、及び制止する装置
八 搬器又はカウンターウェイトが、第六号に掲げる装置が作動すべき速度で昇降路の底部に衝突した
場合においても搬器内の人が安全であるように衝撃を緩和する装置
九 昇降装置又は電気機器等に故障が生じ、昇降路の出入口の戸の位置に停止している搬器が当該位置
から著しく移動した場合又は搬器及び昇降路の全ての出入口の戸が閉じる前に搬器が昇降した場合に、
搬器の移動又は昇降を自動的に制止する装置
十 地震その他の衝撃によりエレベーターが設置された建築物等の基礎に鉛直方向又は水平方向に生じ
た〇・一メートル毎秒毎秒以上三・〇メートル毎秒毎秒以下の加速度を検知し、自動的に、搬器を昇
降路の出入口の戸の位置に停止させ、かつ、当該搬器の出入口の戸及び昇降路の出入口の戸を開き、
又は搬器内の人がこれらの戸を開くことができることとする装置
十一 巻胴式エレベーターにあっては、巻上用ワイヤロープが緩んだ場合において、動力を自動的に遮
断する装置
十二 ダブルデッキエレベーターにあっては、二の搬器を外枠(当該2の搬器を支持する一の枠をいう。)
に固定することができる装置
十三 頂部隙間を一・二メートル未満とするエレベーターにあっては、搬器(ダブルデッキエレベータ
ーにあっては、上部の搬器。以下この号において同じ。)上で作業を行う場合において、当該搬器の
天井部から昇降路頂部にある床又ははりの下端までの垂直距離が一・二メートル未満となることを防
止する装置
十四 ピットの深さを一・二メートル未満とするエレベーターにあっては、ピットの内部で作業を行う
場合において、搬器(ダブルデッキエレベーターにあっては、下部の搬器)の底部から昇降路底部に
ある床までの垂直距離が一・二メートル未満となることを防止する装置
2 前項の規定にかかわらず、工事用エレベーターは、安全上支障がない場合には、同項第一号、第九号、
第十号及び第十一号に掲げる装置を備えないことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、ロングスパン工事用エレベーターは、同項第二号及び第五号に掲げる装
置を備えないことができる。
4 第一項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当するエレベーターは、同項第四号に掲げる装
置のうち、搬器上で動力を遮断することができる装置を備えないことができる。
一 揚程が十メートル以下のものであること。
二 搬器の天井がないものであること。
5 第一項の規定にかかわらず、直接式油圧エレベーター(搬器を油圧のジャッキで直接支えて昇降させ
るエレベーターをいう。)及び間接式油圧エレベーター(搬器を油圧のジャッキ及びワイヤロープ又は
チェーンの組合せにより昇降させるエレベーターをいう。以下同じ。)にあっては、同項第五号から第
八号までに掲げる装置を備えないことができる。
6 第一項の規定にかかわらず、次の各号に該当するエレベーターは、同項第五号、第六号及び第八号に
掲げる装置を備えないないことができる。
一 揚程が五メートル以下のものであること。
二 定格速度が〇・二五メートル毎秒以下のものであること。
三 搬器の床面積が一・五平方メートル以下のものであること。
四 巻上用ワイヤロープ又は巻上用チェーンが切れた場合において搬器の降下を自動的に制止する装置
を備えているものであること。
7 第一項の規定にかかわらず、次の各号に該当するエレベーターは、同項第六号に掲げる装置を備えな
いことができる。
一 揚程が十三メートル以下のものであること。
二 定格速度が〇・七五メートル毎秒以下のものであること。
三 積載荷重の値が三百二十キログラム以下のものであること。
四 巻上用ワイヤロープ又は巻上用チェーンが切れた場合において搬器の降下を自動的に制止する装置
を備えているものであること。
8 第一項の規定にかかわらず、工作物に設置されるラック式エレベーター(搬器側に、ガイドレールに
沿って昇降路に固定されたラックギヤに噛み合って回転するピニオンギヤを設け、ピニオンギヤを回転
させることにより搬器を昇降させる方式のエレベーターをいう。以下同じ。)は、安全上支障がない場
合には、同項第九号に掲げる装置を備えないことができる。
9 第一項の規定にかかわらず、荷物用の常設エレベーターは、安全上支障がない場合には、同項第九号
及び第十号に掲げる装置を備えないことができる。
10 第一項の規定にかかわらず、揚程が七メートル以下の乗用エレベーター及び寝台用エレベーター並び
に工作物に設置されるラック式エレベーターは、同項第十号に掲げる装置を備えないことができる。
(油圧エレベーター等の安全装置)
第三十一条 油圧エレベーターは、前条に定めるもののほか、次の各号に掲げる安全装置を備えるもの
でなければならない。
一 バルブ、シリンダー等からの水又は油の漏えいによる搬器の降下を防止する装置
二 油圧の過度な上昇を防止する装置
三 プランジャーがシリンダーから離脱することを防止する装置
四 油温を摂氏五度以上摂氏六十度以下に保つための装置
五 動力が遮断された場合において、油が逆流することによる搬器の降下を自動的に制止する装置
六 間接式油圧エレベーターにあっては、次のイからニまでに掲げる装置
イ 巻上用ワイヤロープ又は巻上用チェーンが緩んだ場合において、動力を自動的に遮断する装置
ロ 巻上用ワイヤロープ又は巻上用チェーンが伸びた場合において、プランジャーの行き過ぎを防止
する装置。ただし、プランジャーの余裕ストロークにより安全上支障がない場合には、この限りで
ない。
ハ 搬器の降下する速度が、定格速度に相当する速度の一・四倍(定格速度が〇・七五メートル毎秒
以下のエレベーターにあっては、一・一四メートル毎秒)を超えないうちに搬器の降下を自動的に
制止する装置。ただし、定格速度が〇・七五メートル毎秒以下のものについては、巻上用ワイヤロ
ープ又は巻上用チェーンが緩んだ場合において、搬器の降下を自動的に制止する装置とすることが
できる。
ニ 搬器が、昇降路の底部に衝突した場合においても搬器内の人が安全であるように衝撃を緩和する
装置
2 油圧のモーターにより駆動される方式のエレベーターは、前条に定めるもののほか、前項第一号、
第二号及び第四号に掲げる安全装置を備えるものでなければならない。
(ロングスパン工事用エレベーターの安全装置)
第三十二条 ロングスパン工事用エレベーターは、前二条に定めるもののほか、次の各号に掲げる安全
装置を備えるものでなければならない。ただし、安全上支障がない場合には、第一号に掲げる装置を備
えないことができる。
一 搬器の昇降を知らせるための警報装置
二 搬器の傾きを容易に矯正できる装置
三 搬器の傾きが十分の一のこう配を超えないうちに動力を自動的に遮断する装置
四 遮断設備が設けられているものにあっては、遮断設備が閉じていない場合には、搬器を昇降させる
ことができない装置
五 走行式のものにあっては、搬器を最下部に下げた状態でなければ走行させることができない装置
(非常止め装置等)
第三十三条 第三十条第一項第六号に掲げる装置は、次第ぎき非常止め装置でなければならない。ただ
し、定格速度が〇・七五メートル毎秒以下のエレベーターにあっては、早ぎき非常止め装置とすること
ができる。
2 第三十条第一項第七号に掲げる装置は、次に定めるところよるものでなければならない。
一 容易に調整及び点検を行うことができる構造のものであること。
二 電気式のものにあっては、次に該当するものであること。
イ 接点、端子、巻線その他電気を通ずる部分(以下この号において「通電部分」という。)の外被
は、鋼板その他堅ろうなものであり、かつ、水又は粉じんの侵入により機能に障害を生ずるおそれ
のない構造のものであること。
ロ 接点が開放されることにより行き過ぎが防止される構造のものであること。
ハ 通電部分と通電部分の外被との間の絶縁効力が、耐電圧試験において、日本工業規格C八二〇一
−四−一(低圧開閉装置及び制御装置−第四部:接触器及びモータスタータ−第一節:電気機械式
接触器及びモータスタータ)に定める基準に適合するものであること。
ニ 通電部分の外被の見やすい箇所に、定格電圧及び定格電流を表示した銘板が取り付けられている
こと。
(連絡装置)
第三十四条 エレベーターは、停電等の非常の場合において、搬器内から搬器外に連絡することができ
る装置を備えるものでなければならない。ただし、荷物用エレベーター又は工事用エレベーターについ
ては、安全上支障がない場合には、この限りでない。
第三節 電気機器等
(電磁接触器等)
第三十五条 電磁接触器等の操作回路であって、接地した場合に電磁接触器等が閉路されるおそれがあ
るものは、次に定めるとろにより電路に接続されていなければならない。
一 コイルの一端を接地側の電線に接続すること。
二 コイルと接地側の電線との間に開閉器がないこと。
(ケーブル)
第三十六条 運転用の回路と非常信号用の回路又は電話用の回路とは、同一のケーブルに収められてい
るものであってはならない。