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ボイラー構造規格
  第一編  鋼製ボイラー
      第四章   附属品(第六十二条−第八十五条)

ボイラー構造規格 目次

第一節  安全弁、逃がし弁及び逃がし管

(安全弁)
第六十二条 蒸気ボイラーには、内部の圧力を最高使用圧力以下に保持することができる安全弁を二個以
  上備えなければならない。ただし、伝熱面積五十平方メートル以下の蒸気ボイラーにあっては、安全弁
  を一個とすることができる。
2 安全弁は、ボイラー本体の容易に検査できる位置に直接取り付け、かつ、弁軸を鉛直にしなければな
  らない。
3 引火性蒸気を発生する蒸気ボイラーにあっては、安全弁を密閉式の構造とするか、又は安全弁からの
  排気をボイラー室外の安全な場所へ導くようにしなければならない。

(過熱器の安全弁)
第六十三条 過熱器には、過熱器の出口付近に過熱器の温度を設計温度以下に保持することができる安全
  弁を備えなければならない。
2 貫流ボイラーにあっては、前条第二項の規定にかかわらず、当該ボイラーの最大蒸発量以上の吹出し
  量の安全弁を過熱器の出口付近に取り付けることができる。

(銘板)
第六十四条 最高使用圧力が〇・一メガパスカルを超える蒸気ボイラーに備えるリフトが弁座口の径の
  十五分の一以上の揚程式安全弁及び全量式安全弁(次項において「揚程式安全弁等」という。)は、そ
  の材料及び構造が日本工業規格B八二一〇(蒸気用及びガス用ばね安全弁)に適合したもの又はこれと
  同等以上の機械的性質を有するものでなければならない。
2 揚程式安全弁等には、次の各号に掲げる事項を記載した銘板を見やすいところに取り付けなければな
  らない。
  一  製造者の名称又は商標
  二  呼び径
  三  設定圧力(単位 メガパスカル)
  四  吹出し量(単位 キログラム毎時)

(温水ボイラーの逃がし弁又は安全弁)
第六十五条 水の温度が百二十度以下の温水ボイラーには、圧力が最高使用圧力に達すると直ちに作用し、
  かつ、内部の圧力を最高使用圧力以下に保持することができる逃がし弁を備えなければならない。ただ
  し、水の温度が百二十度以下の温水ボイラーであって、容易に検査ができる位置に内部の圧力を最高使
  用圧力以下に保持することができる逃がし管を備えたものについては、この限りでない。
2 水の温度が百二十度を超える温水ボイラーには、内部の圧力を最高使用圧力以下に保持することがで
  きる安全弁を備えなければならない。

第二節  圧力計、水高計及び温度計

(圧力計)
第六十六条 蒸気ボイラーの蒸気部、水柱管又は水柱管に至る蒸気側連絡管には、次の各号に定めるとこ
  ろにより、圧力計を取り付けなければならない。
  一  蒸気が直接圧力計に入らないようにすること。
  二  コック又は弁の開閉状況を容易に知ることができること。
  三  圧力計への連絡管は、容易に閉そくしない構造であること。
  四  圧力計の目盛盤の最大指度は、最高使用圧力の一・五倍以上三倍以下の圧力を示す指度とすること。
  五  圧力計の目盛盤の径は、目盛りを確実に確認できるものであること。

(温水ボイラーの水高計)
第六十七条 温水ボイラーには、次の各号に定めるところにより、ボイラー本体又は温水の出口付近に水
  高計を取り付けなければならない。ただし、水高計に代えて圧力計を取り付けることができる。
  一  コック又は弁の開閉状況を容易に知ることができること。
  二  水高計の目盛盤の最大指度は、最高使用圧力の一・五倍以上三倍以下の圧力を示す指度とすること。

(温度計)
第六十八条 蒸気ボイラーには、過熱器の出口付近における蒸気の温度を表示する温度計を取り付けなけ
  ればならない。
2 温水ボイラーには、ボイラーの出口付近における温水の温度を表示する温度計を取り付けなければな
  らない。

第三節  水面測定装置

(ガラス水面計)
第六十九条 蒸気ボイラー(貫流ボイラーを除く。)には、ボイラー本体又は水柱管に、ガラス水面計を
  二個以上取り付けなければならない。ただし、次の各号に掲げる蒸気ボイラーにあっては、そのうちの
  一個をガラス水面計でない水面測定装置とすることができる。
  一  胴の内径が七百五十ミリメートル以下の蒸気ボイラー
  二  遠隔指示水面測定装置を二個取り付けた蒸気ボイラー
2 ガラス水面計は、そのガラス管の最下部が蒸気ボイラーの使用中維持しなければならない最低の水面
  (以下「安全低水面」という。)を指示する位置に取り付けなければならない。
3 蒸気ボイラー用水面計のガラスは、日本産業規格B八二一一(ボイラー水面計ガラス)に適合したも
  の又はこれと同等以上の機械的性質を有するものでなければならない。
4 ガラス水面計は、随時、掃除及び点検を行うことができる構造としなければならない。

(水柱管)
第七十条 最高使用圧力一・六メガパスカルを超えるボイラーの水柱管は、鋳鉄製としてはならない。
2 水柱管は、容易に閉そくしない構造としなければならない。

(水柱管との連絡管)
第七十一条 水柱管とボイラーとを結ぶ連絡管は、容易に閉そくしない構造とし、かつ、水側連絡管及び
  水柱管は、容易に内部の掃除ができる構造としなければならない。
2 水側連絡管は、管の途中に中高又は中低のない構造とし、かつ、これを水柱管又はボイラーに取り付
  ける口は、水面計で見ることができる最低水位より上であってはならない。
3 蒸気側連絡管は、管の途中にドレンのたまる部分がない構造とし、かつ、これを水柱管及びボイラー
  に取り付ける口は、水面計で見ることができる最高水位より下であってはならない。
4 前三項の規定は、水面計に連絡管を取り付ける場合について準用する。

(験水コック)
第七十二条 ガラス水面計でない水面測定装置として験水コックを設ける場合には、ガラス水面計のガラ
  ス管取付位置と同等の高さの範囲において三個以上取り付けなければならない。ただし、胴の内径が
  七百五十ミリメートル以下で、かつ、伝熱面積が十平方メートル未満の蒸気ボイラーにあっては、その
  数を二個とすることができる。
2 験水コックは、その最下位のものを安全低水面の位置に取り付けなければならない。
3 験水コックと蒸気ボイラーを結ぶ管は、容易に閉そくしない構造としなければならない。

第四節  給水装置等

(給水装置)
第七十三条 蒸気ボイラーには、最大蒸発量以上を給水することができる給水装置を備えなければならな
  い。
2 前項の規定にかかわらず、蒸気ボイラーであって燃料の供給を遮断してもなおボイラーへの熱供給が
  続くもの及び第八十四条第二項に規定する低水位燃料遮断装置を有しない蒸気ボイラーにあっては、随
  時単独に最大蒸発量以上を給水することができる給水装置を二個備えなければならない。ただし、給水
  装置の一つが二個以上の給水ポンプを結合したものである場合には、他の給水装置の給水能力は、当該
  蒸気ボイラーの最大蒸発量の二十五パーセント以上で、かつ、当該二個以上の給水ポンプを結合した給
  水装置のうちの給水能力が最大である給水ポンプの給水能力以上とすることができる。
3 蒸気ボイラーであって燃料の供給を遮断してもなお当該ボイラーへの熱供給が続くものに備えられた
  給水装置は、それぞれ別の動力により運転できるものでなければならない。

(近接した二以上の蒸気ボイラーの特例)
第七十四条 近接した二以上の蒸気ボイラーを結合して使用する場合には、当該結合して使用する蒸気ボ
  イラーを一の蒸気ボイラーとみなして前条の規定を適用する。

(給水弁と逆止め弁)
第七十五条 給水装置の給水管には、蒸気ボイラーに近接した位置に、給水弁及び逆止め弁を取り付けな
  ければならない。ただし、貫流ボイラー及び最高使用圧力〇・一メガパスカル未満の蒸気ボイラーにあ
  っては、給水弁のみとすることができる。

(給水内管)
第七十六条 給水内管は、取外しができる構造のものでなければならない。

第五節  蒸気止め弁及び吹出し装置

(蒸気止め弁)
第七十七条 蒸気止め弁は、当該蒸気止め弁を取り付ける蒸気ボイラーの最高使用圧力及び最高蒸気温度
  に耐えるものでなければならない。
2 ドレンがたまる位置に蒸気止め弁を設ける場合には、ドレン抜きを備えなければならない。
3 過熱器には、ドレン抜きを備えなければならない。

(吹出し管及び吹出し弁の大きさと数)
第七十八条 蒸気ボイラー(貫流ボイラーを除く。)には、スケールその他の沈殿物を排出することがで
  きる吹出し管であって吹出し弁又は吹出しコックを取り付けたものを備えなければならない。
2 最高使用圧力一メガパスカル以上の蒸気ボイラー(移動式ボイラーを除く。)の吹出し管には、吹出
  し弁を二個以上又は吹出し弁と吹出しコックをそれぞれ一個以上直列に取り付けなければならない。
3 二以上の蒸気ボイラーの吹出し管は、ボイラーごとにそれぞれ独立していなければならない。

(吹出し弁又は吹出しコックの構造)
第七十九条 吹出し弁又は吹出しコックは、見やすく、かつ、取扱いが容易な位置に取り付けなければなら
  ない。
2 吹出し弁は、スケールその他の沈殿物がたまらない構造とし、かつ、安全上必要な強度を有するもので
  なければならない。

第六節  手動ダンパ等

(手動ダンパ)
第八十条 手動ダンパの操作装置は、取扱いが容易な位置に設けなければならない。

(爆発戸)
第八十一条 ボイラーに設けられた爆発戸の位置がボイラー技士の作業場所から二メートル以内にあるとき
  は、当該ボイラーに爆発ガスを安全な方向へ分散させる装置を設けなければならない。
2 微粉炭燃焼装置には、爆発戸を設けなければならない。

(燃焼室に設ける穴)
第八十二条 ボイラーの燃焼室には、掃除及び検査のため、内部に入ることのできる大きさのマンホールを
  設けなければならない。ただし、炉筒の直径が五百ミリメートル以下の炉筒ボイラーであって、その前部
  又は後部に掃除穴が設けられているもの及び燃焼室に入ることができる構造のボイラーについては、この
  限りでない。

(ボイラーの煙突)
第八十三条 ボイラーの煙突は、雨水の浸入によりボイラーに損傷が生ずるおそれのない構造でなければな
  らない。ただし、雨水の浸入によりボイラーに損傷が生ずるおそれのない位置に設けられる煙突について
  は、この限りでない。

第七節  自動制御装置

(自動給水調整装置等)
第八十四条 自動給水調整装置は、蒸気ボイラーごとに設けなければならない。
2 自動給水調整装置を有する蒸気ボイラー(貫流ボイラーを除く。)には、当該ボイラーごとに、起動時
  に水位が安全低水面以下である場合及び運転時に水位が安全低水面以下になった場合に、自動的に燃料の
  供給を遮断する装置(第四項及び第九十七条第一項において「低水位燃料遮断装置」という。)を設けな
  ければならない。
3 貫流ボイラーには、当該ボイラーごとに、起動時にボイラー水が不足している場合及び運転時にボイ
  ラー水が不足した場合に、自動的に燃料の供給を遮断する装置又はこれに代わる安全装置を設けなければ
  ならない。
4 第二項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合には、低水位警報装置(水位が安全低
  水面以下の場合に、警報を発する装置をいう。)をもって低水位燃料遮断装置に代えることができる。
  一  燃料の性質又は燃焼装置の構造により、緊急遮断が不可能なもの
  二  ボイラーの使用条件によりボイラーの運転を緊急停止することが適さないもの

(燃焼安全装置)
第八十五条 ボイラーの燃焼装置には、異常消火又は燃焼用空気の異常な供給停止が起こったときに、自動
  的にこれを検出し、直ちに燃料の供給を遮断することができる装置(以下この条において「燃焼安全装置」
  という。)を設けなければならない。ただし、前条第四項各号のいずれかに該当する場合は、この限りで
  ない。
2 燃焼安全装置は、次の各号に定めるところによらなければならない。
  一  作動用動力源が断たれた場合に直ちに燃料の供給を遮断するものであること。
  二  作動用動力源が断たれている場合及び復帰した場合に自動的に遮断が解除されるものでないこと。
3 自動的に点火することができるボイラーに用いる燃焼安全装置は、故障その他の原因で点火することが
  できない場合又は点火しても火炎を検出することができない場合には、燃料の供給を自動的に遮断するも
  のであって、手動による操作をしない限り再起動できないものでなければならない。
4 燃焼安全装置に、燃焼に先立ち火炎検出機構の故障その他の原因による火炎の誤検出がある場合には、
  当該燃焼安全装置は燃焼を開始させない機能を有するものでなければならない。