労働安全衛生法 第九章
事業場の安全又は衛生に関する改善措置等
(第七十八条−第八十七条) |
労働安全衛生法
目次
第一節 特別安全衛生改善計画及び安全衛生改善計画
(特別安全衛生改善計画)
第七十八条 厚生労働大臣は、重大な労働災害として厚生労働省令で定めるもの(以下この条において「重
大な労働災害」という。)が発生した場合において、重大な労働災害の再発を防止するため必要がある
場合として厚生労働省令で定める場合に該当すると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、
事業者に対し、その事業場の安全又は衛生に関する改善計画(以下「特別安全衛生改善計画」という。)
を作成し、これを厚生労働大臣に提出すべきことを指示することができる。
2 事業者は、特別安全衛生改善計画を作成しようとする場合には、当該事業場に労働者の過半数で組織
する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにお
いては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
3 第一項の事業者及びその労働者は、特別安全衛生改善計画を守らなければならない。
4 厚生労働大臣は、特別安全衛生改善計画が重大な労働災害の再発の防止を図る上で適切でないと認め
るときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、当該特別安全衛生改善計画を変更すべ
きことを指示することができる。
5 厚生労働大臣は、第一項若しくは前項の規定による指示を受けた事業者がその指示に従わなかつた場
合又は特別安全衛生改善計画を作成した事業者が当該特別安全衛生改善計画を守つていないと認める場
合において、重大な労働災害が再発するおそれがあると認めるときは、当該事業者に対し、重大な労働
災害の再発の防止に関し必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
6 厚生労働大臣は、前項の規定による勧告を受けた事業者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表
することができる。
(安全衛生改善計画)
第七十九条 都道府県労働局長は、事業場の施設その他の事項について、労働災害の防止を図るため総合
的な改善措置を講ずる必要があると認めるとき(前条第一項の規定により厚生労働大臣が同項の厚生労
働省令で定める場合に該当すると認めるときを除く。)は、厚生労働省令で定めるところにより、事業
者に対し、当該事業場の安全又は衛生に関する改善計画(以下「安全衛生改善計画」という。)を作成
すべきことを指示することができる。
2 前条第二項及び第三項の規定は、安全衛生改善計画について準用する。この場合において、同項中
「第一項」とあるのは、「次条第一項」と読み替えるものとする。
(安全衛生診断)
第八十条 厚生労働大臣は、第七十八条第一項又は第四項の規定による指示をした場合において、専門
的な助言を必要とすると認めるときは、当該事業者に対し、労働安全コンサルタント又は労働衛生コン
サルタントによる安全又は衛生に係る診断を受け、かつ、特別安全衛生改善計画の作成又は変更につい
て、これらの者の意見を聴くべきことを勧奨することができる。
2 前項の規定は、都道府県労働局長が前条第一項の規定による指示をした場合について準用する。この
場合において、前項中「作成又は変更」とあるのは、「作成」と読み替えるものとする。
第二節 労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント
(業務)
第八十一条 労働安全コンサルタントは、労働安全コンサルタントの名称を用いて、他人の求めに応じ
報酬を得て、労働者の安全の水準の向上を図るため、事業場の安全についての診断及びこれに基づく指
導を行なうことを業とする。
2 労働衛生コンサルタントは、労働衛生コンサルタントの名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、
労働者の衛生の水準の向上を図るため、事業場の衛生についての診断及びこれに基づく指導を行なうこ
とを業とする。
(労働安全コンサルタント試験)
第八十二条 労働安全コンサルタント試験は、厚生労働大臣が行なう。
2 労働安全コンサルタント試験は、厚生労働省令で定める区分ごとに、筆記試験及び口述試験によつて
行なう。
3 次の各号のいずれかに該当する者でなければ、労働安全コンサルタント試験を受けることができない。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学(短期大学を除く。)若しくは旧大学令
(大正七年勅令第三百八十八号)による大学又は旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)によ
る専門学校において理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後五年以上安全の実務に従事
した経験を有するもの
二 学校教育法による短期大学(同法による専門職大学の前期課程(以下「専門職大学前期課程」とい
う。)を含む。)又は高等専門学校において理科系統の正規の課程を修めて卒業した者(専門職大学
前期課程にあつては、修了した者)で、その後七年以上安全の実務に従事した経験を有するもの
三 前二号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者で、厚生労働省令で定めるもの
4 厚生労働大臣は、厚生労働省令で定める資格を有する者に対し、第二項の筆記試験又は口述試験の全
部又は一部を免除することができる。
(労働衛生コンサルタント試験)
第八十三条 労働衛生コンサルタント試験は、厚生労働大臣が行なう。
2 前条第二項から第四項までの規定は、労働衛生コンサルタント試験について準用する。この場合にお
いて、同条第三項第一号及び第二号中「安全」とあるのは、「衛生」と読み替えるものとする。
(指定コンサルタント試験機関)
第八十三条の二 厚生労働大臣は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の指定する者(以
下「指定コンサルタント試験機関」という。)に労働安全コンサルタント試験又は労働衛生コンサルタ
ント試験の実施に関する事務(合格の決定に関する事務を除く。以下「コンサルタント試験事務」とい
う。)の全部又は一部を行わせることができる。
(指定コンサルタント試験機関の指定等についての準用)
第八十三条の三 第七十五条の二第二項及び第三項並びに第七十五条の三から第七十五条の十二までの
規定は、前条の規定による指定、指定コンサルタント試験機関及びコンサルタント試験事務について準
用する。この場合において、第七十五条の二第三項及び第七十五条の十二中「都道府県労働局長」とあ
るのは「厚生労働大臣」と、第七十五条の二第三項中「第一項」とあるのは「第八十三条の二」と、第
七十五条の四第二項中「第七十五条の六第一項に規定する試験事務規程」とあるのは「コンサルタント
試験事務の実施に関する規程」と、第七十五条の五第一項中「免許を受ける者として必要な知識及び能
力を有するかどうかの判定」とあるのは「労働安全コンサルタント試験又は労働衛生コンサルタント試
験の問題の作成及び採点」と、同条及び第七十五条の八中「免許試験員」とあるのは「コンサルタント
試験員」と、第七十五条の第四項中「次条第一項に規定する試験事務規程」とあるのは「コンサルタン
ト試験事務の実施に関する規程」と、第七十五条の六第一項中「規程(以下この条及び第七十五条の十
一第二項第四号において「試験事務規程」という。)」とあるのは「規程」と、同条第二項及び第三項
並びに第七十五条の十一第二項第四号中「試験事務規程」とあるのは「コンサルタント試験事務の実施
に関する規程」と読み替えるものとする。
(登録)
第八十四条 労働安全コンサルタント試験又は労働衛生コンサルタント試験に合格した者は、厚生労働
省に備える労働安全コンサルタント名簿又は労働衛生コンサルタント名簿に、氏名、事務所の所在地そ
の他厚生労働省令で定める事項の登録を受けて、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタント
となることができる。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、前項の登録を受けることができない。
一 成年被後見人又は被保佐人
二 この法律又はこれに基づく命令の規定に違反して、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、
又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
三 この法律及びこれに基づく命令以外の法令の規定に違反して、拘禁刑以上の刑に処せられ、その
執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
四 次条第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
(登録の取消し)
第八十五条 厚生労働大臣は、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタント(以下「コンサル
タント」という。)が前条第二項第一号から第三号までのいずれかに該当するに至つたときは、その登
録を取り消さなければならない。
2 厚生労働大臣は、コンサルタントが第八十六条の規定に違反したときは、その登録を取り消すことが
できる。
(指定登録機関)
第八十五条の二 厚生労働大臣は、厚生労働大臣の指定する者(以下「指定登録機関」という。)に、
コンサルタントの登録の実施に関する事務(前条の規程による登録の取り消しに関する事務を除く。以
下「登録事務」という。)を行わせることができる。
2 指定登録機関が登録事務を行う場合における第八十四条第一項の規定の適用については、同項中「厚
生労働省に」とあるのは「指定登録機関に」とする。
(指定登録機関の指定等についての準用)
第八十五条の三 第七十五条の二第二項及び第三項、第七十五条の三、第七十五条の四並びに第七十五
条の六から第七十五条の十二までの規定は、前条第一項の規定による指定、指定登録機関及び登録
事務について準用する。この場合において、第七十五条の二第三項及び第七十五条の十二中「都道府県
労働局長」とあるのは「厚生労働大臣」と、第七十五条の二第三項中「第一項」とあるのは「第八十五
条の二第一項」と、第七十五条の四第二項中「第七十五条の六第一項に規定する試験事務規程」とある
のは「登録事務の実施に関する規程」と、第七十五条の六第一項中「規程(以下この条及び第七十五条
の十一第二項第四号において「試験事務規程」という。)」とあるのは「規程」と、同条第二項及び第
三項並びに第七十五条の十一第二項第四号中「試験事務規程」とあるのは「登録事務の実施に関する規
程」と、第七十五条の八中「職員(免許試験員を含む。)」とあるのは「職員」と、第七十五条の十中
「試験事務の全部又は一部」とあるのは「登録事務」と、第七十五条の十一第二項及び第七十五条の十
二中「試験事務の全部若しくは一部」とあるのは「登録事務」と読み替えるものとする。
(義務)
第八十六条 コンサルタントは、コンサルタントの信用を傷つけ、又はコンサルタント全体の不名誉とな
るような行為をしてはならない。
2 コンサルタントは、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。コンサルタ
ントでなくなつた後においても、同様とする。
(日本労働安全衛生コンサルタント会)
第八十七条 その名称中に日本労働安全衛生コンサルタント会という文字を用いる一般社団法人は、コ
ンサルタントを社員とする旨の定款の定めがあり、かつ、全国のコンサルタントの品位の保持及びその
業務の進歩改善に資するため、社員の指導及び連絡に関する事務を全国的に行うことを目的とするもの
に限り、設立することができる。
2 前項に規定する定款の定めは、これを変更することができない。
3 第一項の一般社団法人(以下「コンサルタント会」という。)は、成立したときは、成立の日から二
週間以内に、登記事項証明書及び定款の写しを添えて、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならな
い。
4 コンサルタント会の業務は、厚生労働大臣の監督に属する。
5 厚生労働大臣は、コンサルタント会の業務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、
いつでも、当該業務及びコンサルタント会の財産の状況を検査し、又はコンサルタント会に対し、当該
業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
6 コンサルタント会以外の者は、その名称中に日本労働安全衛生コンサルタント会という文字を用いて
はならない。