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別紙1

労働時間以外の負荷要因の評価に当たっての留意事項

 労働時間以外の負荷要因の評価に当たっての留意事項及び旧認定基準からの改正の趣旨は、次のとおり
である。
 なお、負荷要因の評価に当たっては、労働時間も含め、各負荷要因について全体を総合的に評価するこ
とが適切であり、ある就労実態について評価を行う際には、各負荷要因において示された検討の視点につ
いてそれぞれ検討し、評価することが必要であるが、これは同一の実態について二重に評価する趣旨では
ないことはこれまでと同様である。

1 勤務時間の不規則性
 (1) 拘束時間の長い勤務
   旧認定基準から大きな変更はなく、検討の視点について一部改正が行われるとともに、定義が明ら
  かにされ、また、労働時間の項目における評価との重複を避けるための記載が追加されたものである
  こと。
 (2) 休日のない連続勤務
   新規に追加された項目であり、旧認定基準においては、労働時間の項目の中で評価されていた内容
  について、独立した負荷要因として明らかにされたものであること。
   なお、休日がない場合だけでなく、休日が少ない場合もこの項目で評価するものであること。ここ
  でいう「連続勤務」は労働日が連続することを指し、24時間連続勤務のような引き続いて実施される
  一勤務が長い状況については、本項目ではなく「不規則な勤務・交替制勤務・深夜勤務」の項目にお
  いて評価すること。
 (3) 勤務間インターバルが短い勤務
   新規に追加された項目であり、旧認定基準においては、「交替制勤務・深夜勤務」の項目で「勤務
  と次の勤務までの時間」として評価を行っていた内容であるが、交替制勤務等に限らず、時間外労働
  により終業時刻が遅くなり、次の始業時刻までの時間が短くなった場合も含めて本項目で評価するこ
  と。
   また、長期間の過重業務の判断に当たって、検討の対象とする時間数が示されているが、勤務間イ
  ンターバルがおおむね11時間未満であるか否かだけでなく、勤務間インターバルの時間数、頻度、連
  続性等についても検討する必要があるものであること。
 (4) 不規則な勤務・交替制勤務・深夜勤務
   旧認定基準における「不規則な勤務」と「交替制勤務・深夜勤務」について、負荷となる理由の共
  通性や、実際の事例における区分の困難性等の観点から統合されたものであること。
   本項目は、勤務時間帯やその変更が生体リズム(概日リズム)と生活リズムの位相のずれを生じさせ、
  疲労の蓄積に影響を及ぼすことを評価するものであることから、交替制勤務がスケジュールどおり実
  施されている場合や、日常的に深夜勤務を行っている場合であっても、負荷要因として検討し、労働
  時間の状況等と合わせて評価する必要があるものであること。

 2 事業場外における移動を伴う業務
   旧認定基準における「出張の多い業務」について、出張を「特定の用務を果たすために通常の勤務
  地を離れて行うもの」と整理した上で、通常の勤務として事業場外における移動を伴う業務の負荷に
  ついても検討する必要があるとされたことから項目名が修正され、その細目として「出張の多い業務」
  と「その他事業場外における移動を伴う業務」が明示されたものであること。
  (1) 出張の多い業務
    旧認定基準における負荷要因の検討の視点について一部改正が行われるとともに、定義が明らか
   にされたものであること。
    また、旧認定基準において作業環境の細目とされていた時差についても、出張に伴う負荷である
   ことから本項目で評価することとされたものである。時差については、時間数を限定せず検討の対
   象とされたが、特に4時間以上の時差が負荷として重要であることに留意すること。
    なお、時差を検討するに当たっては、東への移動(1日の時間が短くなる方向の移動)は、西への
   移動よりも負荷が大きいとされており、検討の視点に示された「移動の方向」とはその趣旨である
   こと。
    出張に伴う勤務時間の不規則性については、本項目ではなく、前記1の項目において併せて評価
   する必要があること。
  (2) その他事業場外における移動を伴う業務
    長距離輸送の業務に従事する運転手や航空機の客室乗務員等、通常の勤務として事業場外におけ
   る移動を伴う業務の負荷について検討する項目であり、検討の視点は、一部を除き「出張の多い業
   務」とおおむね同様であること。

 3 心理的負荷を伴う業務
   旧認定基準における「精神的緊張を伴う業務」について、業務による心理的負荷を広く評価対象と
  する趣旨で、項目名が修正されたものであること。
   認定基準別表1の「日常的に心理的負荷を伴う業務」は、旧認定基準の別紙のうち「日常的に精神
  的緊張を伴う業務」に対応したものであるところ、旧認定基準に記載があり、認定基準に記載がない
  業務については、認定基準別表2の「心理的負荷を伴う具体的出来事」として評価することが想定さ
  れているものである。
   また、認定基準別表2の「心理的負荷を伴う具体的出来事」は、旧認定基準の別紙のうち「発症に
  近接した時期における精神的緊張を伴う業務に関連する出来事」に対応したものであるが、心理的負
  荷による精神障害の認定基準(平成23年12月26日付け基発1226第1号)が定める「業務による心理的負
  荷評価表」を参考に、具体的出来事の内容が拡充され、さらにその後、改正された心理的負荷による
  精神障害の認定基準(令和5年9月1日付け基発0901第2号)が定める「業務による心理的負荷評価表」
  (以下「評価表」という。)を踏まえて改正がなされたものである。具体的には、評価表に記載された
  具体的出来事のうち、労働時間(仕事の量)に関するものを除き、平均的な心理的負荷の強度がV及び
  U(強〜中程度)のものが掲記されている。したがって、別表2に記載された用語の解釈は評価表と同
  一である。
   さらに、認定基準別表1及び別表2に掲げられていない具体的出来事等に関して強い心理的負荷が認
  められる場合には、検討の視点でいう具体的出来事「等」として評価することとなる。
   なお、旧認定基準においては、精神的緊張の程度が特に著しいと認められるものについて評価する
  こととされており、また、業務に関連する出来事について、発症に近接した時期におけるものが評価
  の対象とされていたが、認定基準においてはそれらの限定はなされていないことに留意すること。

 4 身体的負荷を伴う業務
   新規に追加された項目である。旧通達において、日常業務と質的に著しく異なる業務として、事務
  職の労働者が激しい肉体労働を行うことにより、日々の業務を超える身体的、精神的負荷を受けたと
  認められる場合を例示していたが、そのような場合も含めて本項目で評価すること。
   また、日常的に強度の肉体労働を行っている場合にも負荷要因として検討し、労働時間の状況等と
  合わせて評価すること。

 5 作業環境
   作業環境については、旧認定基準において、過重性の評価に当たっては付加的に考慮することとさ
  れていたところ、認定基準においても、長期間の過重業務の判断に当たっては付加的に考慮するもの
  とされたこと。
   一方、短期間の過重業務の判断に当たっては、他の負荷要因と同じく十分に検討すること。
  (1) 温度環境
    旧認定基準における負荷要因の検討の視点について、旧認定基準では寒冷を高温より重視してい
   たが、寒冷と高温を同様に検討する趣旨の改正が行われたこと。
  (2) 騒音
    旧認定基準から変更はないこと。