安全衛生情報センター
1 趣 旨 厚生労働省と労働災害防止団体は、平成27年1月20日から平成27年12月31日までを実施期間とする 「STOP!転倒災害プロジェクト2015」に基づき、休業4日以上の死傷災害の2割以上を占める転倒災害の 防止に重点的に取り組んできた。その結果、平成27年11月末速報値では、全国の転倒災害の件数は前年 比で2.8%の減少となるなど、一定の成果が得られたところである。 しかしながら、転倒災害は依然として休業4日以上の死傷災害の中で最も件数が多く、平成24年同期 比でみるとわずかな減少にとどまっており、平成29年までに休業4日以上の死傷災害を平成24年比で15 %以上減少させることを目標とした第12次労働災害防止計画の達成のためには、更なる取組が必要であ る。 こうした状況を踏まえ、転倒災害の防止に関する意識啓発を図り、職場における転倒リスクの総点検 と、必要な対策の実施により、職場の安全意識を高め、安心して働ける職場環境を実現することを目的 として、「STOP!転倒災害プロジェクト2015」を発展・継続させ、「STOP!転倒災害プロジェクト」とし て実施するものである。 なお、プロジェクトの実効を上げるため、例年、積雪や凍結による転倒災害が多発する2月、全国安 全週間の準備月間である6月を重点取組期間とする。 2 主唱者 厚生労働省、中央労働災害防止協会、建設業労働災害防止協会、陸上貨物運送事業労働災害防止協会、 港湾貨物運送事業労働災害防止協会、林業・木材製造業労働災害防止協会 3 実施者 各事業場 4 主唱者の実施事項 転倒災害はすべての業種に共通する課題であるが、その防止に当たっては設備的な改善とともに、労 働者自身が安全意識を高め、労働災害防止活動に積極的に参加することが不可欠である。このため、事 業者に対し、「転倒災害は労働災害であること」の理解を促すとともに、労使が一体となって、職場の 安全意識が醸成・浸透されるよう意識啓発を図り、厚生労働省と各労働災害防止団体がそれぞれ自らの 強みを生かして、以下の対策を展開する。 (1) 厚生労働省の実施事項 @ 転倒災害防止に係る周知啓発資料等の作成、配布 A ポータルサイトによる転倒災害防止対策に有効な情報等の周知 B 本プロジェクトを効果的に推進するための各種団体等への協力要請 C 都道府県労働局、労働基準監督署によるチェックリストを活用した事業場への指導 (2) 各労働災害防止団体の実施事項 @ 会員事業場等への周知啓発 A 事業場の転倒災害防止対策への指導援助 B 転倒災害防止対策に資するセミナー等の開催、教育支援 C 転倒災害防止対策に資するテキスト、周知啓発資料等の提供 D 転倒災害の防止に有益な保護具等の普及促進 5 実施者の実施事項 (1) 重点取組期間に実施する事項 @ 2月の実施事項 ア 安全管理者や安全衛生推進者が参画する場(安全委員会等)における転倒災害防止に係る現状と対 策の調査審議 イ チェックリストを活用した安全委員会等による職場巡視、職場環境の改善や労働者の意識啓発 A 6月の実施事項 職場巡視等により、転倒災害防止対策の実施(定着)状況の確認 (2) 一般的な転倒災害防止対策 @ 作業通路における段差や凹凸、突起物、継ぎ目等の解消 A 4S(整理、整頓、清掃、清潔)の徹底による床面の水濡れ、油汚れ等のほか台車等の障害物の除去 B 照度の確保、手すりや滑り止めの設置 C 危険箇所の表示等の危険の「見える化」の推進 D 転倒災害防止のための安全な歩き方、作業方法の推進 E 作業内容に適した防滑靴やプロテクター等の着用の推進 F 定期的な職場点検、巡視の実施 G 転倒予防体操の励行 (3) 冬季における転倒災害防止対策 @ 気象情報の活用によるリスク低減の実施 ア 大雪、低温に関する気象情報を迅速に把握する体制の構築 イ 警報・注意報発令時等の対応マニュアルの作成、関係者への周知 ウ 気象状況に応じた出張、作業計画等の見直し A 通路、作業床の凍結等による危険防止の徹底 ア 屋外通路や駐車場における除雪、融雪剤の散布による安全通路の確保 イ 事務所への入室時における靴裏の雪、水分の除去、凍結のおそれのある屋内の通路、作業場への 温風機の設置等による凍結防止策の実施 ウ 屋外通路や駐車場における転倒災害のリスクに応じた「危険マップ」の作成、関係者への周知 エ 凍結した路面、除雪機械通過後の路面等における荷物の運搬方法、作業方法の見直し