安全衛生情報センター
1 目的 本ガイドラインは、労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「令」という。)第2条第3号に 掲げる業種に属する事業場において、安全の担当者(以下「安全推進者」という。)を配置することによ り、当該事業場の安全管理体制を充実し、これらの事業場における労働災害防止活動の実効を高め、労 働災害の減少に資することを目的とする。 2 対象事業場 令第2条第3号に掲げる業種の事業場であって、常時10人以上の労働者を使用するものを対象とする。 なお、第12次労働災害防止計画において労働災害削減の数値目標を掲げた重点業種である以下に掲げ る業種の事業場については、特に重点的に本ガイドラインに基づく安全推進者の配置に取り組むものと する。 ・小売業(令第2条第2号に含まれる各種商品小売業、家具等小売業及び燃料小売業を除く。) ・社会福祉施設 ・飲食店 3 安全推進者の配置等 (1) 安全推進者の要件 安全推進者は、職場内の整理整頓(4S活動)、交通事故防止等、業種の別に関わりなく事業所内で一 般的に取り組まれている安全活動に従事した経験を有する者のうちから配置するものとする。 なお、常時使用する労働者が50人を超える事業場や労働災害を繰り返し発生させた事業場について は、安全に対する知見を少しでも多く有する者を配置する観点から、以下の者を配置することが望ま しい。 ア 安全衛生推進者の資格を有する者(安全衛生推進者養成講習修了者、大学を卒業後1年以上安全衛 生の実務を経験した者、5年以上安全衛生の実務を経験した者等) イ アと同等以上の能力を有すると認められる者(労働安全コンサルタントの資格を有する者、安全管 理士の資格を有する者又は安全管理者の資格を有する者) (2) 安全推進者の配置 原則として、事業場ごとに1名以上配置するものとする。ただし、安全推進者の職務を遂行しうる範 囲内において、一定区域内の複数の事業場で1名の安全推進者を配置することとしても差し支えないも のとする。 (3) 安全推進者の氏名の周知 事業者は、安全推進者を配置したときは、その氏名を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関 係労働者に周知するものとする。 4 安全推進者の職務 本ガイドラインの対象業種でみられる災害の多くは、転倒災害、荷物の運搬等による腰痛、階段等か らの墜落・転落や交通労働災害など日常生活でも起こりうる性質のものであり、その防止のためには、 職場環境や作業方法の改善、安全衛生教育の実施といった安全活動の必要性についての認識を事業者、 労働者ともども高める必要がある。 こうした現状を踏まえ、安全推進者は、事業の実施を総括管理する者を補佐して、以下の職務を行う ものとする。 なお、事業者は、こうした安全推進者の活動を実効あるものとするために、安全推進者に対して必要 な権限を与えるとともに、知識の付与や能力の向上にも配意するものとする。 (1) 職場環境及び作業方法の改善に関すること (例:職場内の整理整頓(4S活動)の推進、床の凸凹面の解消等職場内の危険箇所の改善、刃物や台車等 道具の安全な使用に関するマニュアルの整備 等) (2) 労働者の安全意識の啓発及び安全教育に関すること (例:朝礼等の場を活用した労働災害防止に係る意義の周知・啓発、荷物の運搬等の作業に係る安全な 作業手順についての教育・研修の実施 等) (3) 関係行政機関に対する安全に係る各種報告、届出等に関すること (例:労働災害を発生させた場合における労働者死傷病報告の作成及び労働基準監督署長への提出 等)