安全衛生情報センター
東北地方太平洋沖地震により、30万人規模の避難者が発生している旨の報道がなされているところです が、避難者の方々は、現在の避難先からいずれ元の居住地に戻って元の就業を再開することが可能な方も いる一方で、元の就業事業所が事業継続不可能な状態にあるなどのため、新たな就業先を確保することが 必要となる方が多いものと考えられ、また、これまで就業していなかった方の中にも、生活基盤を再建す るために新たに就業を開始する必要のある方も多いものと考えられます。 今後これらの方々の就業の促進を図るためには、これらの方々の就業ニーズを的確に把握した上で、そ れに応じた必要な求人を確保し、それを活用してその就業ニーズに応じたきめ細かな職業紹介を行ってい くことが必要ですが、その際、これらの方々の置かれた厳しい環境を踏まえ、避難所等への出張相談等を 行っていくことも必要になってくるものと考えられます。 このようなことを踏まえ、今後、避難者に係る現状把握と出張相談等を下記によって、行っていただく ようお願いいたします。 なお、避難先は、被災地のみならず全国にわたっているものと考えられるところであり、被災地以外の 労働局、公共職業安定所(以下「安定所」という。)においても、現状を十分把握した上で実態に応じた積 極的な対応を行うことが必要です。 震災において全国ネットワークを有する労働局・安定所が被災者のために十分な機能を果たし、被災者 の生活の再建に寄与することが重要であることに十分留意され、その運営に遺漏のないよう特段の御配意 をお願いいたします。
1. 避難者に係る現状把握 ア 避難者に係る実態把握に当たっては、労働局から都道府県の震災対策本部等に照会を行うとともに、 安定所から管内市区町村の震災対策本部等に照会を行う。照会の方法は電話によっても差し支えない が、可能であれば訪問によって行うことが望ましい。 なお、被災によって安定所の業務が停止している場合は、労働局又は近隣の安定所がこれを行う。 イ この照会によって把握すべき項目は次のとおりである。 [1] 受入施設の現状 いわゆる「避難所」等の、避難者を一時受け入れている地方自治体や民間等が設置する施設(以下 「受入施設」という。)の所在と受入れの実態を把握する。 また、「受入施設」の実態について、地方自治体以外からも、マスコミ報道や安定所利用者等な どあらゆる方法で把握する。なお、青森県・岩手県・宮城県・福島県・茨城県においては、既にGo ogleによって集約されているデータ(別紙1参照)を利用することとし、新たな把握は不要である。 [2] 地方自治体の要望 地方自治体が、避難所の避難者の就業に関して労働局・安定所に対してどんな要望をもっている か(例えば、出張職業相談の開催、求人情報その他各種情報の提供など)について把握する。 なお、平成23年3月24日付け大臣官房地方課長事務連絡「避難所等における被災者の状況把握等 について」の記1(1)(2)のとおり、労働局・安定所の所管事項以外の要望についても把握するとと もに、当該要望及びこれに対する対応については、同事務連絡の記の1(3)に基づき、各労働局の総 務部から本省に報告する。 [3] 避難者の就業ニーズ 地方自治体が避難所の避難者に接する中で、避難者の就業ニーズ(就業開始希望時期、就業希望地 域、住宅付き就業の希望など)などを把握していたならばそれを聴取する。 ウ 避難者からの就業ニーズの直接把握 避難者の就業ニーズについては、可能であれば、避難者に直接尋ねたりアンケートを行うことなど によって把握する。この把握は統計的調査を目的とするものではなく、開拓すべき求人の内容や行う べき職業相談の内容を見定めるために行うものであり、それに足りる程度の件数があれば十分である。 また、把握に当たっては、受入施設の管理者とも十分相談し、避難者の置かれている心理状態に十分 配慮しつつ、誤解、苦情、トラブル等にならないようにすることが重要であり、無理のないできる範 囲で行うものとして差し支えない。 なお、把握に当たっては、必要に応じて、別紙2のチェックリストを参考とする。 エ 以上ア〜ウによって把握された内容については、別紙3にまとめて、4月1日までに電子メールにて、 首席職業指導官室職業紹介係(メールアドレス:[email protected])あて報告する。その際メールの タイトルを「受入施設調査【都道府県名】」とする。 また、その報告以後に把握された内容についてもこの別紙3に追加で記録をとっておくものとする。 本省においては、各都道府県労働局からの報告について、必要に応じて、職業安定局内の関係課室と 共有することを予定しているので、新規学卒者や障害者に係る状況やニーズや雇用保険関係業務に関 するニーズ等がある場合には、それがわかるように記載する。 記録は受入施設別とし、新しい受入施設にかかるデータを把握した場合は新しい入力行を追加し、 登録済みの受入施設にかかる追加データを把握した場合は、当該行内にデータを適宜追加又は書き換 えるとともに、必要に応じて本省より報告を求めた際に、速やかに最新版を報告いただくようお願い する。 2. 出張相談 ア 出張相談の積程的な実施 1により把握した受入施設の規模、避難者の就業二一ズを踏まえ、一定の相談ニーズがあると判断さ れる場合には、受入施設を管理している地方自治体と調整の上、積極的に出張相談を実施する。 イ 出張相談における職業紹介業務の取扱い 出張相談等における職業紹介業務の取扱いについては、「東北地方太平洋沖地震被災者に係る職業 紹介の留意事項」(本日付け職首発0325第1号)に基づき、被災者の就業ニーズに応じた職業相談、求 人情報の提供を行う。 ウ 出張相談における雇用保険業務の取扱い 出張相談においては、安定所又は労働局の雇用保険担当より、別紙4のリーフレツトなどを活用する などにより、災害による雇用保険の特例措置などの周知を行うとともに、ニーズに応じて雇用保険(特 例措置含む)の相談を実施すること。また、地震、津波等の影響により多数の者が特定の避難所に避難 しているなどの避難状況、避難所から最寄りの安定所までの距離など、被災者の状況等を勘案し、必 要な場合には、受入施設内やその近隣の施設等での出張相談を活用して、離職票又は休業票等の手続 きや、給付関係手続きを行うこと。 エ 出張相談に当たっての留意事項 (1) 地方自治体、労働基準監督署との連携 被災前に就業していた避難者については、就業していた事業所の消失等による賃金の未払いや労災 保険給付等労働基準関係の相談を希望する者も多いと考えられるほか、就業に関する相談を希望する 者についても、住宅、子弟の教育、家族の介護等に関する相談を必要とする者も多いと考えられるこ とから、出張相談の実施に当たっては、受入施設を管理する地方自治体の部署はもとより、労働基準 監督署や当該地方自治体の福祉、教育関係部署とも連携を図り、できる限り関係機関が参集して各種 の相談に一度に対応できる体制をとることが望ましい。 なお、関係機関の参集がない場合であっても、安定所が取扱い相談事項以外の相談があった場合に は、関係機関の担当窓口を案内するなど関係機関に適切につなぐ。 また、新卒者の採用内定取消し等については、事業所管轄労働局・安定所と連携し、早急に必要な 指導等を行うこと(震災に伴う採用内定取消し等に係る指導方針については、若年者雇用対策室より別 途通知する。)。 (2) 対象となる避難者に対する適切な周知 出張相談等を実施することが決定した場合には、受入施設において、対象となる避難者に対して、 ポスター、チラシを掲示する、館内放送でアナウンスするなどにより、適切に周知する。また、必要 に応じて、マスコミに発表し、当該受入施設のみならず、近隣地域の受入施設の避難者に対しでも幅 広く周知する。 (3) 避難者の就業ニーズの把握 1ウによる就業ニーズの把握が困難であった場合においては、相談を通じて、避難者の就業ニーズを 把握し、これも参考にしつつ、その後の当該地域の避難者のニーズに応じたサービスの充実に結び付 ける。 (4) 携帯端末を活用した求人情報の提供 出張相談により外部に求人情報データを携帯する場合には、携帯端末(ハローワークシステム(職業 紹介システム)からダウンロードした求人情報を所定のプログラムをインストールしたノートパソコン によって求人票類似様式で表示・検索できるもの。詳細は別途通知する。)を活用できる場合には、こ れを積極的に活用する。その場合、携帯端末用の電源バッテリーについては、十分な容量のものを準 備するよう留意する。 なお、携帯端末については、インターネットへの接続ができず学卒求人の検索ができないことから、 別途求人一覧表等を持参すること。 (5) 出張相談以外の情報提供等の実施 出張相談を行うことが困難な受入施設の避難者に対しては、受入施設を管理する自治体に対して、 求人一覧表や安定所における各種施策のパンフレットを配布するほか、安定所の利用が可能な地域に おいては、安定所のガイドブックの配布やポスターの掲示により、安定所への誘導を図る。 3. 合同就職面接会の開催 避難者を積極的に雇い入れる求人や住居付き求人等避難者のニーズに応じた求人が確保された場合に は、合同就職面接会を積極的に開催する。 その際、新規学卒者や、障害者、母子家庭の母等の就職が特に困難な者を積極的に採用する求人も確 保するとともに、必要に応じて、関係機関等の相談窓口を設置するなど効果的な運営を図る。 4. 実施状況に係る報告 出張相談における相談、合同就職面接会の実施状況については、当面、毎週の状況を別紙5に取りまと め、翌週の月曜日(月曜日が休業日の場合は、次の営業日)までに電子メールにて、職業紹介係(syokai@ mhlw.go.jp)あて報告する。報告すべき内容がない場合は、報告は不要とする。)。その際、メールのタ イトルは「出張相談実施状況報告【都道府県名】」とする。 なお、第1回目の報告は、4月5日とする。 また、採用内定取消し等についての相談があった場合は、本報告に含めること。別紙1(PDF:38KB)