安全衛生情報センター
1 趣旨 被災地においては、地域によって進捗状況に差はあるものの、復旧・復興工事が進められているとこ ろであるが、今後、「まちづくり」の本格化に伴い、一定のエリア内で複数の工事が近接・密集して行 われること等が予想されることから労働災害の発生が懸念されるところである。 このため、複数の工事が近接・密集して行われる「工事エリア」ごとに、「元方事業者」、「発注機 関」等の関係者から構成される協議組織(以下「エリア別協議組織」という。)を構築し、[1]安全衛生に 関する統一ルールの下での工事の施工、[2]安全衛生教育の共同実施等に「工事エリア」が一丸となって 取り組むことにより、輻輳して行われる復旧・復興工事における労働災害の防止を図ることとする。 また、上記の「エリア別協議組織」の円滑な構築・運営に資するため、岩手、宮城、福島の3県におい て、「県単位」の「東日本大震災復旧・復興工事関係者連絡会議」(以下「連絡会議」という。)を設置 するとともに、各県の実情に応じ「地区単位」等の連絡会議を設置することとする。 2 連絡会議 (1) 構成レベル(別紙1参照) ア 「県単位」のものに加え、「監督署の管轄」、「建災防分会」、「市町村」などの「地区単位」 等のものを各県における実情に応じて設置すること。 イ 会議の開催に当たっては、「○○県発注機関連絡会議」や「○○分会労働災害防止連絡協議会」 等既存の枠組みを積極的に活用する。 (2) 構成員 ア 「県単位」に設置する連絡会議 各県内で実施される復旧・復興工事の発注状況等を踏まえ、次に掲げる者から適切に選定する。な お、「地区単位」等に連絡会議を設置する場合においては、(エ)の選定に当たり、可能な限り、当該 連絡会議の主要メンバーを充てること。 (ア) 特に被害の大きかった自治体の公共工事担当部署 (イ) 県の公共工事担当部署 (ウ) 国の発注機関 (エ) 建設業関係団体(大手ゼネコンの団体、地場ゼネコンの団体) (オ) 建災防支部 (カ) 労働局(事務局) イ 「地区単位」等に設置する連絡会議 各地区の範囲内で実施される復旧・復興工事の発注状況等を踏まえ、次に掲げる者から適切に選定 する。なお、(ウ)の選定に当たっては、可能な限り、地区内で行われる主要工事に係る「エリア別協 議組織」の幹事等各エリアで実施される工事の全体像を把握している者を充てること。 (ア) 関係自治体の公共工事担当部署 (イ) 国の発注機関の関係出先機関 (ウ) 建設業関係団体(大手ゼネコンの団体、地場ゼネコンの団体) (エ) 建災防分会 (オ) 労働基準監督署・警察等(必要に応じ助言・指導) (3) 事務局 ア 「県単位」に設置する連絡会議の事務局は、各労働局労働基準部健康安全主務課が務める。 イ 「地区単位」等に設置する連絡会議の事務局は、各県における実情や既存の会議等の設置状況に応 じ、「県単位」に設置する連絡会議において定める。 (4) 検討事項等 各連絡会議における検討事項については、概ね、次のとおりとするが、各県における実情に応じ、 「県単位」、「地区単位」等に設置する連絡会議において柔軟に分担を変更して差し支えないものとす る。 ア 「県単位」に設置する連絡会議 (ア) 県内で実施される復旧・復興工事に関する情報の共有 (イ) 「東日本大震災復旧・復興工事安全推進本部」において検討された事項についての周知及び推進 に関する事項 (ウ) 県内で実施される復旧・復興工事における安全衛生に関する基本的なルールの統一 (エ) 「地区単位」等に設置する連絡会議の構成及び協議事項等 (オ) その他、「地区単位」等に設置する連絡会議又は「エリア別協議組織」の円滑な構築・運営に必 要な事項 イ 「地区単位」等に設置する連絡会議 (ア) 管内で実施される復旧・復興工事に関する情報の共有 (イ) 「県単位」で設置された連絡会議において検討された事項についての周知及び推進に関する事項 (ウ) 管内で実施する復旧・復興工事における安全衛生に関する基本的なルールの周知 (エ) 管内における安全衛生に関する基本的なルールの統一(「県単位」に設置する連絡会議より、安 全衛生に関する基本的なルールの統一を委任された場合) (オ) 「エリア別協議組織」の構成及び協議事項等 (カ) その他、「エリア別協議組織」の円滑な構築・運営に必要な事項 3 エリア別協議組織 (1) 構成単位 別紙2のタイプ分けを参考として、「分割発注にて実施される大規模開発工事の際に設置される協議 会」など、既存の枠組みを活用しつつ、各工事エリアの状況に応じた「エリア別協議組織」を近接、密 集する工事エリアごとに設置すること。 なお、「エリア別協議組織」の設置については、事業者の主体的な取組により実施することが適当で あるが、異なる発注の工事が近接、密集して同一エリア内で行われているにも関わらず、「エリア別協 議組織」が設置されていない場合等、輻輳作業による労働災害の発生が懸念される場合には、署は関係 事業者に対し、エリア別協議組織の設置や、関係事業者間の連絡調整の実施について助言・指導を行う こと。 (2) 構成員 近接、密集する工事エリア内で施工される工事の元方事業者及び発注者を構成員とすること。 なお、署は、「エリア別協議組織」が労働災害防止上有益なものとなるよう、各工事の実態や、輻輳 の度合いを踏まえ、必要に応じ、以下(3)に掲げる幹事の選定や(4)に掲げる検討事項等についても併せ て助言・指導を行うこと。 (3) 幹事 「エリア別協議組織」の幹事は、発注者に指名された元方事業者を基本とし、発注者が複数存在する 場合には、発注者相互の協議により選定する。 なお、発注者は、当該エリアで行われる工事の全体工程や工事内容を勘案し、工事に最も影響を及ぼ す元方事業者の中から幹事を選定する。 (4) 検討事項等 「エリア別協議組織」において独自の事項を設定することも差し支えないものとするが、近接、密集 して工事が行われることによる労働災害を防止するための事項として、次のような事項を検討するこ とが適当であると考えられる。 ア 工程情報の共有 イ 隣接工区・現場で行われる作業の連絡調整 ウ 資材搬入経路の統一 エ 安全衛生に関する標識等の統一 オ 安全衛生教育の共同実施 カ 再発防止検討会の合同開催 キ 安全衛生パトロールの合同開催別紙1(PDF:210KB)