安全衛生情報センター
1 総則 (1) 目的 この基準は、ボイラー設置場所以外の場所に設置された監視室(以下「遠隔監視室」という。)に おいて監視及び制御が行われるボイラーについて、その運転上の安全を確保することを目的とす る。 (2) 適用 ア この基準は、遠隔監視室において間接的に監視及び制御が行われるボイラー(以下別添1にお いて「ボイラー」という。)について適用する。 イ 遠隔監視室においてボイラーの監視及び制御を行う場合は、法令により定められたところに よるほか、この基準によるものとする。 2 構造等 (1) ボイラー ア ボイラーの起動装置は、ボイラー設置場所又は遠隔監視室以外に設けないこと。 イ ボイラーには、手動で行うことができる構造のボイラー停止装置をボイラー設置場所に設け ること。 ウ ボイラーには、ボイラーの常用圧力を維持する機能を有する自動圧力制御装置を設けること。 エ ボイラーには、ボイラー設置場所において圧力を監視できるようにするほか、遠隔監視室に おいても圧力を監視することができる機能を有する伝達装置を設けること。 オ ボイラーには、ボイラーの常用水位を維持する機能を有する自動水位制御装置を設けること。 カ ボイラーには、ボイラー設置場所において、水位を監視できるようにするほか、遠隔監視室 においても水位を監視することができる機能を有する伝達装置を設けること。 キ ボイラーには、低水位を検出することができる水位検出装置をそれぞれ独立して2個以上設 けること。この場合において、そのうちの1個については、当該装置の水位検出部分を水位 制御装置の水位検出部分と兼ねることができること。 ク ボイラーには、ボイラー設置場所において、炉内における火炎の有無を監視することができ るのぞき窓を設けるほか、遠隔監視室においても火炎の有無を監視することができる機能を 有する伝達装置をそれぞれ独立して2個以上設けること。この場合において、そのうちの1個 は、燃焼安全装置の火炎検出装置とすることができること。 ケ ボイラーには、ボイラーの水位が安全低水面以下になった場合等ボイラーに異常が発生した 場合に、ボイラー設置場所に表示灯が点灯し、かつ、明確に聞きとることができる警報音を 発する機能を有する装置を設けるとともに、遠隔監視室にそれを知らせる機能を有する伝達 装置を設けること。この場合において、表示灯は異常が回復するまでは点灯の状態を維持す るものでなければならないが、警報音を発する機能を有する装置は異常箇所を確認した後手 動で停止させることができるものであっても差し支えないこと。 コ ボイラーには、ボイラーの圧力が最高設定圧力を超えた場合、ボイラーの水位が設定低水位 以下となった場合等ボイラーに異常が発生した場合に、直ちにバーナへの燃料の供給を確実 に、かつ、自動的に阻止することができる機能を有する安全遮断弁を燃料供給管路に直列に 2個以上設けること。この場合、軽質油を使用するボイラーで、燃料ポンプを使用するもの については、できる限り、燃料ポンプを自動的に停止させる構造のものとすること。 サ パイロットバーナには、安全遮断弁を燃料供給管路に直列に2個以上設けること。 シ ボイラーには、遠隔監視室においてばい煙の排出状態を監視することができる機能を有する 伝達装置を設けること。 ス ボイラーには、必要に応じ、遠隔監視室においてボイラーの排ガスの成分、温度等を監視す ることができる機能を有する伝達装置を設けること。 セ ボイラーには、必要に応じ、遠隔監視室において押込み通風機出口のドラフト圧等を監視す ることができる機能を有する伝達装置を設けること。 ソ ボイラーには、遠隔監視室において炉内ドラフトの状態を監視することができる機能を有す る伝達装置を設けること。 タ ボイラーには、遠隔監視室において、給水装置の状態、給水タンクの水位、給水ポンプの吸 込み口の水温度及び給水流量が正常であるかどうかを監視することができる機能を有する伝 達装置を設けること。 チ 油だきボイラーにあっては、遠隔監視室において燃料加熱源、油流量、油温度、油圧力及び 噴霧媒体圧力が正常であるかどうかを監視することができる機能を有する伝達装置を設ける ほか、サービスタンクの油面の位置が正常であるかどうかを監視することができる機能を有 する伝達装置を設けること。 ツ ガスだきボイラーにあっては、遠隔監視室において、ガス配管系統のガス圧力、ガス温度及 びガス流量が正常であるかどうかを監視することができる機能を有する伝達装置を設けるこ と。 テ ガスだきボイラーにあっては、必要に応じ、ボイラー設置場所にガス漏れが生じた場合に表 示灯が点灯し、かつ、明確に聞きとることができる警報音を発する機能を有する装置を設け るとともに、遠隔監視室にそれを知らせる機能を有する伝達装置を設けること。 この場合において、表示灯はガス漏れが補修されるまでは点灯の状態を維持するものでなけ ればならないが、警報音を発する機能を有する装置はガス漏れ箇所を確認した後手動で停止 させることができるものであっても差し支えないこと。 ト バイオマスボイラーにあっては、遠隔監視室において、燃焼状態を監視することができる機 能を有する伝達装置を設けること。 (2) 燃焼安全装置 ボイラーには、あらかじめ定められた順序によって、起動し、その後正常な運転ができるよう次 に掲げる機能を有する燃焼安全装置を設けること。 ア ボイラーの水位が正常でなければボイラーを起動することができないようにするインターロ ックを設けること。 イ 点火前にボイラーの燃焼室内燃焼ガス側空間の容積の4倍以上の空気量でプレパージを行う ことができる機能を有すること。 ウ バーナへの点火失敗、ボイラー圧力の異常上昇、ボイラー水位の異常低下、断火、操作用動 力源の消失等によって、ボイラーの運転に異常が発生した場合に、直ちにバーナ及びパイロ ットバーナの安全遮断弁を閉止させる等のインターロックを設けること。 エ 燃焼安全装置の安全遮断弁を閉止させる等のインターロックのリセットは、ボイラー設置場 所で手動により行う場合に限り行うことができること。 オ 燃焼安全装置のインターロックは、その効力を封じることができるものでないこと。ただし、 保守のためやむを得ない部位については、一時的にその効力を封じることができるものであ っても差し支えないこと。 カ 燃焼安全装置の安全遮断弁は、バイパス装置を設けたものでないこと。 キ 必要ある場合は、燃料温度、燃料圧力、通風圧力、低燃焼位置、煙道ダンパの開度等が正常 でなければボイラーを起動することができないようにするインターロックを行うことができ ること。 ク 必要ある場合は、通風機の異常停止、通風圧力の異常低下、煙道ダンパの異常閉そく、燃料 圧力の異常上昇、燃料圧力の異常低下等によって、ボイラーの運転に異常が発生した場合に、 直ちにバーナ及びパイロットバーナの安全遮断弁を閉止させる等のインターロックを設ける こと。 ケ バイオマスボイラーには、逆火を防止することができる装置を設けること。 (3) ボイラー設置場所 ア ボイラー設置場所には、見やすい箇所に遠隔監視室における監視が行われるボイラーである 旨を掲示すること。 イ ボイラー室には、ボイラー室に火災が発生した場合に、明確に聞きとることのできる火災専 用の警報音を発する機能を有する装置を設けるほか、遠隔監視室にそれを知らせる機能を有 する伝達装置を設けること。ただし、集中火災警報装置が設けられている場合にはこの限り ではないこと。 (4) 遠隔監視室 ア 遠隔監視室には、ボイラーの停止を遠隔操作することができる機能を有する装置を設けるこ と。 イ 遠隔監視室には、燃焼安全装置のインターロックの効力を封じることができる機能を有する 装置を設けてはならないこと。 ウ 遠隔監視室には、ボイラーの圧力を指示することができる機能を有する装置を設けること。 エ ウの装置には、ボイラーの最高設定圧力及び最高使用圧力を表示すること。 オ 遠隔監視室には、ボイラーの水位を監視することができる機能を有する装置を設けること。 カ オの装置には、ボイラーの設定低水位及び常用水位を表示すること。 キ 遠隔監視室には、ボイラーの火炎の有無を監視することができる機能を有する装置を設ける こと。 ク 遠隔監視室には、ボイラーの圧力、水位、火炎等について異常が発生した場合に表示灯が点 灯し、かつ、明確に聞きとることができる警報音を発する機能を有する装置を設けること。 この場合において、表示灯は異常が回復するまでは点灯の状態を維持するものでなければな らないが、警報音を発する機能を有する装置については、確認した後、手動で停止させるこ とができるものであっても差し支えないこと。 ケ 遠隔監視室には、ばい煙の排出状態を監視することができる機能を有する装置を設けること。 コ 遠隔監視室には、必要に応じ、ボイラーの排ガスの成分、温度等を監視することができる機 能を有する装置を設けること。 サ 遠隔監視室には、必要に応じ、押込み通風機出口のドラフト圧等を監視することができる機 能を有する装置を設けること。 シ 遠隔監視室には、炉内ドラフトの状態を監視することができる機能を有する装置を設けるこ と。 ス 遠隔監視室には、給水装置の状態、給水タンクの水位、給水ポンプ吸込み口の水温度及び給 水流量が正常であるかどうかを監視することができる機能を有する装置を設けること。 セ 油だきボイラーの遠隔監視室には、燃料加熱熱源、油流量、油温度、油圧力及び噴霧媒体圧 力が正常であるかどうかを監視することができる機能を有する装置を設けるほか、サービス タンクの油面が異常低下又は上昇した場合は表示灯が点灯し、かつ、明確に聞きとることが できる警報音を発する機能を有する装置を設けること。この場合において、表示灯は異常が 回復するまでは点灯の状態が維持されているものでなければならないが、警報音を発する機 能を有する装置については、異常箇所を確認した後手動で停止させることができるものであ っても差し支えないこと。 ソ ガスだきボイラーの遠隔監視室には、ガス配管系統のガス圧力、ガス温度及びガス流量が正 常であるかどうかを監視することができる機能を有する装置を設けること。 タ ガスだきボイラーの遠隔監視室には、必要に応じ、ボイラー設置場所にガス漏れが生じた場 合に、表示灯が点灯し、かつ、明確に聞きとることができる警報音を発する機能を有する装 置を設けること。この場合において表示灯は、ガス漏れが補修されるまでは点灯の状態が維 持されているものでなければならないが、警報音を発する機能を有する装置については、ガ ス漏れ箇所を確認した後手動で停止させることができるものであっても差し支えないこと。 チ バイオマスボイラーの遠隔監視室には、燃料の搬送が正常に行われていることを監視するこ とができる機能を有する装置を設けるほか、燃焼状態を監視することができる機能を有する 装置を設けること。 ツ 遠隔監視室には、ボイラー室に火災が発生した場合に、明確に聞きとることができる火災専 用の警報音を発する機能を有する装置を設けること。ただし、集中火災警報装置が設けられ ている場合には、この限りでないこと。 3 取扱い (1) 取扱い一般 ア ボイラーの取扱いは、作業基準に基づいて行うこと。 イ ボイラーの圧力が大気圧まで低下し、かつ温度が周辺の温度まで低下したボイラーを起動す る前には、必要に応じて、次に掲げる装置が正常であるかどうかを確認すること。 (ア) 燃焼安全装置 (イ) 自動圧力制御装置 (ウ) 自動水位制御装置 (エ) 警報装置 ウ イの起動前には、次に掲げる系統等が正常であるかどうかを確認すること。 (ア) ボイラー付属品 (イ) 燃料系統 (ウ) 通風系統 (エ) 給水系統 (オ) 操作用動力源 エ ボイラーの起動は、ボイラー設置場所又は遠隔監視室で行うこと。 オ イの起動後は、速やかに燃焼状態及び燃焼装置、給水装置、通風装置等の附属設備が正常で あり、ウの系統に異常がないかどうかをボイラー設置場所で確認すること。 カ 遠隔監視室では、ボイラーの圧力、水位及び燃焼状態並びに炉内ドラフトが正常であること を確認するとともに、次に掲げる系統が安全に作動していることを監視すること。 (ア) 燃料系統 (イ) 給水系統 (ウ) 排気系統 キ 遠隔監視室では、必要に応じ次に掲げる事項を監視し、ボイラーの状態を判断すること。 (ア) 給水の流量及び温度並びに給水タンクの水位 (イ) 燃料の流量及び温度 (ウ) 燃料ガスの温度及び圧力 (エ) 押込通風機出口、ボイラー出口等のドラフト圧 (オ) 排ガス中のCO2、O2等の濃度 ク ボイラーの下部から間欠的にボイラー水を吹き出す操作は、ボイラー設置場所で行うこと。 ケ ボイラーの定常停止は、ボイラー設置場所又は遠隔監視室で行うこと。 コ 遠隔監視室でボイラーの異常を認めた場合は、直ちに燃料をしゃ断すること。 サ 燃料の緊急遮断が行われたときは、速やかに、ボイラー設置場所に赴き、バーナの元弁を閉 じ、その後主蒸気弁を閉じる等の適切な措置を行うこと。 シ 燃料の緊急遮断が行われたときは、その原因を除去し、かつ、ボイラー設置場所で安全を確 認した後でなければ安全装置を復帰させないこと。 (2) 点検 ア ボイラー並びに遠隔監視室に設けられた遠隔監視装置及び遠隔制御装置については、設備の 種類に応じ、項目と周期を定めて点検し、その結果を記録すること。 イ ボイラーの運転中は、常時遠隔監視室における監視を行うとともに、ボイラー設置場所でボ イラーの状態(特に圧力、水位及び燃焼状態)が正常であるかどうかを1日に1回以上点検する こと。 ウ 遠隔監視装置については、ボイラー設置場所に設けられた装置(特に圧力計、水面計、火炎 の状態等)と比較し、その機能が正常であるかどうかを1日に1回以上点検すること。 エ 次に掲げる装置は、その機能が確実であるかどうかを、原則として1週間に1回以上点検する こと。 (ア) 燃料遮断装置 (イ) 逆火防止機能 (ウ) 圧力スイッチ (エ) 低水位しゃ断装置 (オ) 火炎検出装置 (カ) 点火装置 (キ) タイマー (ク) 自動圧力制御装置 (ケ) 自動水位制御装置 (コ) 警報装置 オ 次に掲げる事項については、1年に1回以上点検整備を行うこと。 (ア) 検出部及び検出配管の漏れ、汚損、閉そく、異物の混入等 (イ) 調節計、指示計のゼロ点及びスパン等 (ウ) 空気式計装機器については、制御空気の漏れ、油、ドレンによる内部の汚損、閉そく 等 (エ) 電気式計装機器については、電気回路の短絡、端子の緩み、接点の接触不良、絶縁の 低下等 (オ) 油圧式計装機器については、作動油の漏れ、劣化、異物の混入、閉そく等 (カ) リンク等の機械部分については、各点の緩み、がた等 (キ) 調節弁、しゃ断弁、電磁弁の弁座の漏れ、作動の円滑さ、機械部分の緩み、がた等 (ク) 火炎警報装置及びガス漏れ警報装置の作動 (3) 遠隔監視室の管理 ア 遠隔監視室には見やすい箇所に、関係者以外の者がみだりに立ち入ることを禁止する旨を掲 示すること。 イ 遠隔監視室には、見やすい箇所にボイラー検査証の写し並びにボイラー取扱作業主任者の資 格及び氏名を掲示すること。 ウ 遠隔監視室には、必要がある場合のほか、引火しやすいものを持ち込まないこと。 エ 遠隔監視室には、必要な予備品及び修繕用工具類を備えておくこと。