別添2(平成27年5月15日 基発0515第1号により廃止)
|
職場における喫煙対策のためのガイドラインの解説
|
1について
職場における喫煙に関して問題となるのは、非喫煙者の受動喫煙であり、労働者の健康の確保及び快適な職場環境の形成の促進の二つの観点からの労働衛生上の対策が求められているものである。
本ガイドラインは、職場における受動喫煙の防止のために講ずべき原則的な措置を定めたものである。また、職場の喫煙対策を進めるに当たっては、個々の事業場の実態に即して取り組むことが必要である。なお、快適な職場環境の形成については、労働安全衛生法第71条の3第1項の規定に基づき事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針(平成4年労働省告示第59号。以下「快適職場指針」という。)が公表されており、本ガイドラインは、快適職場指針に基づき、空気環境の快適化を図る一環として、職場での受動喫煙防止対策のために講ずべき具体的措置を示したものである。
職場における適切な喫煙対策の方法としては、全面禁煙及び空間分煙があり、このうち、空間分煙は、一般的には「喫煙可能場所を定め、他は禁煙とするという場所による分煙」と定義され、その実施に当たっては、喫煙室等から非喫煙場所にたばこの煙やにおいを漏らさず、かつ、喫煙室等にあっても、可能な限り空気環境を良好な状態に保つことが重要である。
|
2について
喫煙対策を実効のあるものにするには、経営首脳者や管理者が喫煙対策に関心を持って、それぞれの役割を果たすことに加え、労働者の積極的な参加が必要である。
|
3について
経営首脳者の指導の下に計画を実施することとしているのは、組織内で権限を持って行動できる者である経営首脳者の取組が不可欠であるからである。
|
4について
衛生委員会等とは、衛生委員会や安全衛生委員会をいうが、衛生委員会の設置が義務付けられていない事業場においては、労使懇談会等職場の衛生関係事項について話し合われる場をいう。また、喫煙対策の担当部課とは、総務課や健康管理を担当する部課が該当する。
また、喫煙行動基準として設けるべき事項には、次のようなものがある。
[1]喫煙室等における喫煙範囲の遵守
[2]喫煙許容人数
[3]灰皿、いす、テーブル等の取扱い
[4]吸い殻の取扱い
|
5について
有効な空間分煙の推進のためには施設・設備面の対策が必要であり、このための基本的な対策を示したものである。「喫煙室」とは、出入口以外には非喫煙場所に対する開口面がほとんどない独立した喫煙のための部屋のことであり、また、「喫煙コーナー」とは、天井から吊り下げた板等による壁、ついたて等によって区画された喫煙可能な区域である。これらは、基本的に喫煙室等から非喫煙場所へたばこの煙が及ばない措置が講じられているものであるが、より確実にたばこの煙やにおいの漏れを防止する観点から、喫煙室を選択する方が望ましい。
また、空気清浄装置はガス状成分を除去できないという問題点があることから、「たばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する喫煙対策機器」を推奨することとした。これらの機器には、局所排気装置、換気扇等がある。このような喫煙対策機器の設置によって受動喫煙を防止するためには、その喫煙室等及び喫煙の状況に適した型式及び能力を有する機器を選定する必要がある。
やむを得ない措置として、たばこの煙を除去して屋内に排出する方式である空気清浄装置を設置する場合には、たばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する喫煙対策機器の設置と同等の効果のある措置を講ずる必要がある。
機器の設置に当たっては、@非喫煙場所から喫煙室等への気流を確保すること、A喫煙コーナーを設置する場合は、天井から吊り下げた板等による壁、ついたて等により非喫煙場所に対する開口面を可能な限り小さくすること、B喫煙室等における喫煙範囲を明確にすること、C喫煙許容人数を設定・明示することが重要である。
建物に中央管理方式の空気調和設備等が設置されており、当該設備等によって室内の空気が一定程度還流している場合は、喫煙室等で発生したたばこの煙が換気口に吸い込まれ、当該設備を介して建物全体に拡散することとなるので、所要の対策が必要となる。
会議室等個々の場所については、それぞれ次の措置を講ずることにより、受動喫煙を防止する必要がある。 |
(1) |
会議室及び応接室
禁煙とすること。また、外来者に対しては、禁煙への協力を求めること。
|
(2) |
食堂、休憩室、リフレッシュルーム等
禁煙とすること。ただし、食堂、休憩室、リフレッシュルーム等において、 空間分煙の措置が講じられている場合には、この限りではない。 |
(3) |
廊下、エレベーターホール等の共同使用区域
禁煙とすること。
|
6について
たばこの煙には様々な物質が含まれているが、空気環境への影響を判定するものとしては浮遊粉じん、一酸化炭素が代表的なものであるので、これらについて測定するものとし、基準となる空気環境中の濃度を示した。また、たばこの煙の漏れを判定するものとしては、非喫煙場所から喫煙室等への気流の風速があり、これについて測定するものとし、基準となる風速を示した。
|
8について
喫煙室等の設置時及び使用開始後定期に、喫煙対策の担当部課等において、喫煙室の設置状況、喫煙行動基準の順守状況及び機器の保守管理の実施状況を評価するとともに、本ガイドラインに基づき非喫煙場所及び喫煙室等の内部並びに非喫煙場所と喫煙室等との境界において浮遊粉じんの濃度、一酸化炭素の濃度及び気流の風速が基準値を満たしていること等を確認することにより喫煙対策の効果を評価する必要がある。
分煙対策の効果が十分でない場合には、その原因を調査し、喫煙対策の担当部課等においてその対策を検討し、改善のための必要な提言を行うことが望ましい。
|
別紙について
一酸化炭素の濃度の測定に関して、「検知管と同等以上の性能を有する機器」としては、エレクトロケミカルセンサーを用いたもの及び定電位電解法によるものがある。 |