別紙1
空気中の粉じん濃度等の測定方法
1 試料空気の採取
粉じん作業を行う坑内作業場の切羽に近接する場所の空気中の粉じんの濃度等の測定における試料空
気の採取は、次に定めるところによること。
(1) 試料空気の採取は、次のいずれかの方法によること。この場合、次の方法のうち、2以上の方法
を同時に実施しても差し支えないこと。また、定期的に行う測定ごとに異なる方法による測定を行
うことも差し支えないこと。
ア 定置式の試料採取機器を用いる方法
イ 作業に従事する労働者の身体に装着する試料採取機器を用いる方法
ウ 車両系機械(動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できる機械をいう。以下同じ。)に装着さ
れている試料採取機器を用いる方法
(2) 定置式の試料採取機器を用いる試料空気の採取
ア 試料採取機器は、ずい道等の切羽からおおむね10メートル、30メートル及び50メートルの地点
において、当該ずい道等の両側にそれぞれ設置すること。
ただし、ずい道等建設工事のうち発破、機械掘削及びずり積み作業を行う場合は、測定を実施
する労働者の安全確保の観点から、ずい道等の切羽からおおむね20メートル、35メートル及び50
メートルの地点に設置することができること。
イ 試料採取機器をずい道等の両側に設置する方法には、トンネル壁面に沿って設置した三脚に試
料採取機器を固定する方法に加え、トンネルの壁面にアンカーを打ち、当該アンカーに試料採取
機器を固定する方法及びトンネル壁面沿いの配管や支保工等に試料採取機器を固定する方法が含
まれること。設置の際には、試料採取機器が換気装置による気流を直接受けないように留意する
こと。
ウ 試料採取機器の採取口の高さは、床上50センチメートル以上150センチメートル以下の高さと
し、それぞれおおむね同じ高さとすること。
(3) 作業に従事する労働者の身体に装着する試料採取機器を用いる試料空気の採取
ア 試料採取機器の装着は、ずい道等の切羽に近接する場所において作業に従事する適切な数(2以
上に限る。)の労働者に対して行うこと。
イ 作業工程ごとに労働者が入れ替わる場合は、それぞれの作業工程において切羽に近接する場所
で作業に従事する労働者を2人以上選び、それぞれに試料採取機器を装着する必要があること。
装着する試料採取機器は、作業に支障がないものとすること。
ウ ずい道等の切羽に近接する場所において作業に従事する労働者が1人しかいない場合は、当該
労働者に対して、必要最小限の間隔をおいた2以上の作業日において試料採取機器を装着する方
法により試料空気の採取を行うことができること。
(4) 車両系機械に装着されている試料採取機器を用いる試料空気の採取
ア 試料採取機器の装着は、ずい道等の切羽に近接する場所において作業に使用されている適切な
数(2以上に限る。)の車両系機械に対して行うこと。
イ 作業工程ごとに車両系機械が入れ替わる場合は、切羽に近接する場所で作業する車両系機械を
2台以上選び、それぞれに試料採取機器を装着する必要があること。また、ずり出しに使用する
トラックは、切羽から坑外へ頻繁に移動することから、測定には使用しないこと。
ウ ずい道等の切羽に近接する場所において作業に使用されている車両系機械が1台しかない場合
は、当該車両系機械において適切な間隔をおいた箇所に装着されている2以上の試料採取機器に
より試料空気の採取を行うことができること。この場合、当該2以上の試料採取機器の間隔を可
能な限り広くすること。
エ 試料採取機器を装着する箇所は、落下物による試料採取機器の損傷を防止できる等の適切な箇
所とすること。また、空気中の粉じんの濃度を適切に測定する必要があることから、運転用キャ
ビン等外部環境から隔離されている箇所に試料採取機器を装着しないこと。
(5) 試料空気の採取の時間
ア 試料空気の採取の時間は、作業に従事する労働者が同一の作業日のうち坑内作業場におけるず
い道等建設工事の一連の作業(掘削作業、ずり積み作業、コンクリート等吹付作業及びロックボ
ルト取付け作業等)に従事する全時間とし、これら一連の作業を反復する場合は、そのうちの1回
の全時間とすること。
イ 発破の作業を行う場合においては、労働災害の防止及び試料採取機器の損傷を防ぐ趣旨から、
発破の作業を行った時から当該発破による粉じんが適当に薄められるまでの間は労働者及び試料
採取機器を安全な場所に退避させ、作業を再開するときに、試料採取機器を再度設置して測定を
再開すること。
2 空気中の粉じんの濃度の測定
(1) 空気中の粉じんの濃度の測定の方法
ア 次のいずれかの方法によること。
① ろ過捕集方法及び重量分析方法
② 相対濃度指示方法
イ アの測定には、分粒装置(試料空気中の粉じんの分粒のため、試料採取機器に接続する装置を
いう。以下同じ。)を装着した測定機器を使用すること。分粒装置は、レスピラブル(吸入性)粉
じん(分粒特性が4マイクロメートル50%カットである粉じん)を適切に分粒できることが製造者
又は輸入者により明らかにされているものであること。
(2) 相対濃度指示方法で使用する測定機器等
ア 相対濃度指示方法で使用する測定機器は、ポンプの流量が分粒装置を適切に機能させることが
できるものであり、かつ、1年以内ごとに1回、定期に、粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令
第18号)第26条第3項の厚生労働大臣の登録を受けた者が行う較正を受けたものであること。
イ 相対濃度指示方法で使用する質量濃度変換係数は、併行測定(試料空気の採取において2(1)ア
①及び②に掲げる方法を同時に行うこと)によって得られた数値を使用すること。なお、同一の
坑内作業場において複数回の測定の結果、当該係数が安定していることが確認できた場合は、当
該係数をその後の測定における質量濃度変換係数として使用することができること。
ウ 次の表に掲げる測定機器については、当該測定機器の種類に応じ、次の表に定める質量濃度変
換係数の値を、「粉じん作業を行う坑内作業場に係る粉じん濃度の測定及び評価の方法等」(令
和2年厚生労働省告示第265号)第1条第1項第6号ロに規定する「厚生労働省労働基準局長が示す数
値」として使用することができること。
測定機器 |
質量濃度変換係数 |
LD-5R |
0.002 (mg/m3/cpm) |
LD-6N2 |
0.002 (mg/m3/cpm) |
3 粉じん中の遊離けい酸の含有率の測定
(1) 粉じん中の遊離けい酸の含有率の測定は、エックス線回折分析方法又は重量分析方法によること。
これら分析方法に用いる試料は、1に定める方法に従って採取された試料を用いること。ただし、採
取する試料の数は1つで差し支えないこと。
(2) 工事前のボーリング調査等によってあらかじめ坑内作業場の主たる鉱物等の種類が明らかになって
いる場合には、当該鉱物等の種類に応じて文献等から統計的に求められる標準的な遊離けい酸の含有
率として、次の表に定める値を使用することができること。
ただし、二酸化けい素を多量に含む変成岩である珪岩の遊離けい酸含有率は、非常に高いことが推
定されるため、(1)による測定を行うこと。
なお、火成岩(塩基性岩又は超塩基性岩に限る。)の遊離けい酸含有率は、文献から、次の表に掲げ
る鉱物等の種類に応じた遊離けい酸含有率の値よりも低いことが推定されるため、坑内作業場の主た
る鉱物等の種類が火成岩(塩基性岩又は超塩基性岩に限る。)の場合は、安全側の推計値として、当該
鉱物等に係る遊離けい酸含有率を20%とみなして差し支えないこと。
鉱物等の種類 |
遊離けい酸含有率 |
火成岩(酸性岩に限る。)、堆積岩及び変成岩(珪岩を除く。) |
20% |
火成岩(中性岩に限る。) |
20% |
4 風速等の測定
(1) 風速の測定
風速の測定は、熱線風速計を用いて行うこと。
(2) 換気装置等の風量の測定
換気装置等の風量は、次式により計算すること。
換気装置等の風量(m3/min)=風速(m/sec)×0.8×60×送気口又は吸気口の断面積(m2)
(3) 気流の方向の測定
スモークテスター等により気流の方向の確認を行うこと。
測定機器質量濃度変換係数