安全衛生情報センター
一 受理 (一) じん肺管理区分決定のために提出されたエツクス線写真、じん肺健康診断結果証明書(規則様 式第三号)等の資料を点検して次に掲げる措置を講じた上で受理すること。 イ 各検査項目が新法に定めるところにより実施されているかどうかを点検し、検査項目が不足し ているときは直ちに追加検査を指示すること。 ロ 添付物件が満たされているかどうかを確認すること。 ハ 各資料に前記イ及びロ以外の記載もれ等があるときには訂正又は追加記入等をさせること。 二 特に、じん肺健康診断結果証明書の「じん肺の経過」及び「粉じん作業職歴」の欄が正確に記 入されているかどうかを点検すること。 (二) 新法第一五条第一項に基づく申請については、じん肺管理区分決定申請書(規則様式第六号)中 の事業者(常時粉じん作業に従事する労働者であつた者の場合は、粉じん作業に従事した最終事業 場の事業者)の粉じん作業従事証明の有無を確認すること。当該証明がない場合は、次に掲げる措 置を講ずること。 イ 申請を一応受理して差し支えないが、申請者に対し、事業者の証明がなければ新法に基づくじ ん肺管理区分の決定ができない旨教示し、事業者証明を得てくるよう求めること。 ロ 事業場の廃止、事業者の死亡、行方不明、その他やむを得ない理由により事業者の証明を得る ことができない場合は、当時の上司又は同僚であつた者の証明等その者が常時粉じん作業に従事 していた事実について客観的に確認しうる資料によつて事業者証明にかえて差し支えないこと。 ハ 申請者が、事業者証明を得ることができず、かつ、ロに記載した資料も得ることが困難である と認められる場合は、行政庁において当該申請者の粉じん作業従事の有無を調査し、これを確認 の上、じん肺管理区の決定を行うこと。 この場合は、当該申請者の最終粉じん事業場が他の都道府県労働基準局の管内にある場合には、 当該都道府県労働基準局長に粉じん作業従事の有無に関する調査を依頼すること。 ニ イからハに掲げる措置を講じても申請者が粉じん作業に従事したことを明らかにし得ない場合 は、次の(三)に掲げる処理に準じた措置を行うこと。 (三) 労働者又は労働者であつた者以外の一人親方等から新法第一五条第一項の申請がなされた場合 は、法の対象ではないので適法な申請としては受理できない旨説明すること。 なお、このような者についても事情により地方じん肺診査医の診査を行い、その結果を通知して 差し支えないが、この場合じん肺管理区分決定通知書(規則様式第四号)ではなく、別途の用紙を用 いて行うこと。 (四) 常時粉じん作業に従事する労働者であつた者(当該事業場で作業転換した者を除く。)の新法第 一五条第一項による申請は、その者の住所を管轄する都道府県労働基準局長に対して行われるべき こととなつているので、誤つて他の都道府県労働基準局長へ申請がなされたときは、その者の住所 を管轄する都道府県労働基準局長へ申請するよう指導すること。 (五) 新法第一二条、第一五条第一項、第一六条第一項及び第一六条の二第一項による提出又は申請 が誤まつて労働基準監督署へなされたときは、都道府県労働基準局長へ提出し、又は申請するよう 指導されたいこと。 (六) 前記により受理したときは、じん肺診査経過処理簿(別紙様式一)に所要事項を記入し、提出さ れたエツクス線写真その他の物件を整理しておくこと。 二 診査 (一) 地方じん肺診査医が二名以上いる都道府県労働基準局にあつては、複数の診査医による診査を 行うことが望ましいこと。 (二) 診査に際しては、じん肺診査報告書(別紙様式二)により対象者ごとの診査結果を記録し、診査 終了後地方じん肺診査医の署名又は記名押印を受けること。 (三) 提出された資料だけでは、じん肺管理区分の決定ができないため再・追加検査又は物件の提出 を必要とする場合は、再・追加検査実施・物件提出命令書(別紙様式三)を関係者に交付すること。 なお、この場合、既に提出されている資料は保管しておくこととするが、督促にもかかわらず、 前記命令書に示した提出期限の日から六カ月を経過しても指定した資料の提出がないときは、既提 出資料を提出者に返還し、決定不能として取り扱つて差し支えないこと。 三 じん肺管理区分の決定 (一) じん肺管理区分は、粉じん作業従事労働者の健康管理を行うための基礎となるものであるから、 一により受理したときはできる限り速やかに決定を行うこと。 (二) じん肺管理区分の決定に当たつて疑義がある場合の本省に対する照会は、別紙様式四により必 要な関係資料を添付して行うこと。 (三) じん肺管理区分決定通知書を次により作成すること。 イ 様式中の該当する事項を○印で囲むこと。 ロ 診査の結果、合併症にかかつているとされた者については、合併症の欄にかかつている疾病名 を記入し、かつ、療養の要否の欄の「要」を○印で囲むこと。 (四) じん肺健康管理台帳に所要事項を記入すること。なお、その様式については追つて指示するの で、それまでの間は従前のものを使用すること。 (五) じん肺管理区分が管理四と決定された者については、そのじん肺健康診断結果証明書の写しを 作成し、その写しの余白に左記事項を記入した上、都道府県労働基準局に保管しておくこと。 ① 地方じん肺診査医の氏名 ② エツクス線写真像の区分 ③ じん肺管理区分決定通知年月日 ④ 症状確認日 なお、症状確認日は、当該決定の根拠となつた資料が、エツクス線写真であるときはその撮影の 日、肺機能検査の結果であるときはその検査実施日、両方で確認できるものについてはそのうちい ずれか前の日を記入すること。 〔症状確認日とは、じん肺健康診断の結果提出された資料で確認し得る最初の日のことであり、必 ずしも発症日とは同一のものではないこと。〕 (六) じん肺管理区分の決定は、労使の権利、義務等に与える影響が大きく、ともすれば労使間の紛 争のもととなる場合もあるので、各地方じん肺診査医の診査結果について部外への直接の意見表明、 資料発表等については、十分慎重を期すこと。 四 作業転換 じん肺管理区分が管理三である労働者の作業転換を推進するため、次の措置を講ずるものとするこ と。 ただし、零細企業の鋳物業、採石業等作業転換すべき非粉じん作業の職場が当該事業場にないこと が明らかな場合であつて他に適当な転職先がないとき、又は当該労働者が高年齢、定年直前等作業転 換の効果が期待できない場合については、これらの措置を行わないこと。 (一) 作業転換勧奨書の交付 現に常時粉じん作業に従事している労働者で、じん肺管理区分が管理三イと決定されたもののう ち、じん肺による肺機能の障害があると認められる者(F(十)の者。以下同じ。)については、当該 労働者を使用する事業者に対し、じん肺管理区分決定通知書の交付と併わせ、作業転換勧奨書(別 紙様式五)を交付すること。 また、作業転換勧奨書の交付に基づき作業転換した場合に事業者が都道府県労働基準局長に提出 すべき書面は、作業転換実施通知書(別紙様式六)によるよう指導すること。 (二) 作業転換促進書(乙)の交付 現に常時粉じん作業に従事している労働者でじん肺管理区分が管理三ロと決定されたもののうち、 (三)の作業転換促進書(甲)の交付の対象とならない者については、当該労働者を使用する事業者に 対し、じん肺管理区分決定通知書の交付と併わせ、作業転換促進書(乙)(別紙様式七(一))を交付す ること。 また、作業転換促進書(乙)の交付に基づき作業転換した場合に事業者が都道府県労働基準局長に 提出すべき書面は、作業転換実施通知書(別紙様式七(二))によるよう指導すること。 (三) 作業転換促進書(甲)の交付 現に常時粉じん作業に従事している労働者でじん肺管理区分が管理三ロと決定されたもののうち、 左記の医学的要件に該当するものについて、地方じん肺診査医により早急に作業転換を行う必要が あると判定されたものについて当該労働者を使用する事業者に対し、じん肺管理区分決定通知書の 交付と併わせ、作業転換促進書(甲)(別紙様式八)を交付すること。 (作業転換促進書(甲)を交付すべき一般的医学要件) イ エツクス線写真の像が第三型又は第四型(A)(大陰影の大きさが一センチメートルを超え、五セ ンチメートルを超えないものをいう。)でじん肺による相当程度の肺機能の障害があると認めら れるもの ロ エツクス線写真の像が第四型(B)(大陰影の大きさが五センチメートルを超え、一側の肺野の三 分の一の大きさを超えないものをいう。)であると認められるもの (四) 作業転換指示書の交付 (三)の作業転換促進書(甲)を交付した事業者から作業転換の実施について関係労使が合意に達し た旨の連絡を受けたときは、当該事業者に対し、作業転換指示書(別紙様式九)を交付すること。 (五) 作業転換記録簿 前記作業転換の事務処理に関し、作業転換記録簿(別紙様式一〇)を作成し、保存しておくこと。 五 通知 (一) じん肺管理区分の決定を行つたときは、速やかに、提出又は申請を行つた提出者又は申請者に じん肺管理区分決定通知書を交付するとともに、提出されたエツクス線写真等の資料を返還するこ と。 (二) じん肺管理区分決定通知書の写しを所轄労働基準監督署長あて(新法第一五条第一項による申 請で申請者の最終粉じん事業場が他の都道府県労働基準局の管内にある場合には、当該都道府県労 働基準局長あて)送付すること。 (三) じん肺管理区分決定通知書には、所要事項以外のものを記入しないこと。なお、管理四と決定 された者及び合併症にかかつていると認められた者については、(二)により所轄労働基準監督署長 に送付する写しに、その症状確認日等を記入することとするが、当該提出者又は申請者あて送付す る通知書には記入しないこと。 六 不服申立て (一) じん肺管理区分の決定に対する不服申立ての審査請求における審査請求書の様式は、別紙様式 一一によるよう指導すること。 (二) 審査請求は、審査庁(労働大臣)に対して直接に、又は処分庁(都道府県労働基準局長)を経由し て行うこととされている(行政不服審査法第三条第二項及び第一七条第一項)ので、誤つて労働基準 監督署長等に対し審査請求が行われた場合には、労働大臣に対して直接に、又は都道府県労働基準 局長を経由して行うよう指導すること。 (三) 都道府県労働基準局長を経由して審査請求が行われた場合は、当該審査請求が適法になされて いるか否かを確認し、手続に欠けたものがあるときはこれを補正させた後、速やかに当該審査請求 書の正本及び新法第一八条第二項の物件を本省へ送付すること。この場合、次に掲げる書面又は物 件を添付すること。 イ 審査請求に係るじん肺管理区分決定通知書の写し ロ その他参考になると思われる書面及び物件様式1