安全衛生情報センター
1 原理 尿中コプロホルフイリン及びコプロポルフイリノーゲンは酢酸を含むエーテル層に最初にうつし、水 洗後ヨードで酸化して、コプロポルフイリンを塩酸で抽出した後、再びpH3.5としてこれをエーテル層 にうつし、1N塩酸で抽出して吸光度を計測する。 2 器具と試薬 (1) 器具 イ 分液ロートロ(300ml) ロ 分光光度計 ハ 蒸留装置 ニ 目盛付共栓試験管(10ml)(検定済) (2) 試薬 イ 精製エーテル(試薬特級) 過酸化物をふくむときは、エーテル4lにFeSO4・7H2O 40g 1N・NaOH20mlを加えて蒸留し、えら れた精製エーテルは冷暗所にたくわえる。 ロ 氷酢酸(試薬特級) ハ 塩酸 1.5N塩酸(試薬特級塩酸133mlを留水でうすめて1lとする)及び1N塩酸 ニ ヨード液 Stockとして1gのヨードを100mlの精製エタノールに溶かし、留水でうすめて全量を200mlとする。 冷蔵庫内に褐色瓶にいれて貯える。 使用に際して、これを精水で0.005%ヨード液とする。 ホ 飽和酢酸ソーダ液 ヘ 食塩 ト 精製エタノール チ 蒸留水 3 測定法 分液ロート(約300ml)に新鮮尿を25mlとり、これに氷酢酸2.5mlを加える。(注1)ついで精製エーテ ル50mlを加え、30秒間よく振とうして放置する。水層を分離し、精製エーテル25mlで再抽出する。次 に蒸留水で2〜3回軽く静かにエーテル層を洗う。水層を捨てる。あまり強く振ると、コプロポルフイリ ンが水層にうつるおそれがある。 残つたエーテル層に0.005%ヨード液5〜10mlを加え、コプロポルフイリノーゲンをコプロポルフイ リンに酸化する。 最後に1N塩酸で、5ml、2ml、2mlずつ3回エーテル層のコプロポルフイリンを抽出し、目盛付共栓試 験管にうつし、精製アルコールで10mlとし、混和して1cmの厚さのセルを用いて、光度計380mμ、401 mμ、430mμの吸光度をしらべ、次式によつて計算する。 {2×OD401−(OD430+OD380)}×837×v/V=μg・コプロポルフイリン/l (V=尿量、v=抽出塩酸量) 〔注〕 (1) 稀薄なポルフイリン液は、pH3.5で最もよくエーテルにうつる。移りにくい場合は必ず水層のpHを しらべなくてはならない。pH3.5でも移らないときは、尿中にウロポルフイリンが存在している可能 性がある。 (2) エムルジオンになつて2層の分離が悪いときは、更に精製エーテルを加え、食塩又は精製エタノー ルを加えるとエムルジオンはたいてい消失する。 どうしてもエムルジオンが消失しないときは、遠心分離して上澄液を用いる。 (3) 分光光度計によつて、コプロポルフイリンの吸光度が異なることがあるので、分光光度計をチエツ クすることが必要である。 (4) コプロポルフイリンV、テトラメチルエステルが市販されている。これを用いて標準液を作成する 場合には、分解が起つている場合があるので、それを確認し、必要ならば精製しなければならない。