1.2 動力伝達装置
検 査 項 目 |
検 査 方 法 |
判 定 基 準 |
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1.2.1 動力伝達装置 |
(1) 機械式クラッチ | [1] クラッチの入り、切れを調べる。 | [1] 機能が正常であること。 |
[2] ペダル及びレバーの遊び量の適否を調べる。 | [2] 遊び量が適正であること。 | ||
[3] クラッチ板及びレリーズベアリングの損傷、滑り、発熱及び異音の有無を調べる。 | [3] 損傷、滑り、異常発熱又は異音がないこと。 | ||
(2) 油圧式クラッチ | [1] 油圧シリンダ及びコントロール装置の作動状態を調べる。 | [1] 作動が良好であること。 | |
[2] 作動油の油量、汚れ及び劣化の有無を調べる。 | [2] 油量が適正で、著しい油の汚れがなく、劣化していないこと。 | ||
[3] クラッチの作動状態を調べる。 | [3] レバー及びペダルの応答性がよく、つれ回りがないこと。また、異音、発熱又は振動がないこと。 | ||
[4] クラッチ板、レリーズベアリングの損傷、滑り及び異音の有無を調べる。 | [4] 損傷、滑り又は異音がないこと。 | ||
(3) 流体継手及びトルクコンバータ | [1] 油量の適否を調べる。 | [1] 油量が適正であること。 | |
[2] 油を少量採取し、汚れ及び性状を調べる。 | [2] 著しい油の汚れがなく、性状に異常がないこと。 | ||
[3] 油漏れの有無を調べる。 | [3] 油漏れがないこと。 | ||
[4]
エンジンを回転させ、アイドリング及び最高回転における作動の異常の有無を調べる。 なお、トルクコンバータでは発生油圧を調べる。 |
[4]
異音、著しい発熱又は振動等がなく、作動が正常であること。 トルクコンバータでは、発生油圧が適正値であること。 |
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(4) チエーンケース及びポンプ | [1] 油量及び油の汚れの有無を調べる。 | [1] 油量が適正で、著しい油の汚れがないこと。 | |
[2] ストレーナの目詰まりの有無を調べる。 | [2] ストレーナに目詰まりがないこと。 | ||
[3] 点検窓をあけ、ポンプの吐出状態を調べる。 | [3] 吐出状態が良好であること。 | ||
[4] 回転状態における異常の有無を調べる。 | [4] 異音、著しい発熱等がないこと。 | ||
(5) チエーン及びスプロケット | [1] 取付け状態におけるたゆみ量を調べる。 | [1] たゆみ量が適正であること。 | |
[2] 伸び量を調べる。 | [2] 伸び量が基準ピッチの1%以内であること。 | ||
[3] き裂及び摩耗の有無並びにかしめ部分の異常の有無を調べる。 | [3] き裂、摩耗又はかしめ部分の異常がないこと。 | ||
[4] 給油状態を調べる。 | [4] 給油が十分で、適切に行われていること。 | ||
(6) ギヤ及びピニオン | [1] 異音及びき裂の有無並びにバックラッシュ及び給油状態を調べる。 | [1] 異音又はき裂がなく、バックラッシュ及び給油状態が適正であること。 | |
[2] 歯当たり及び噛み合いの状態を調べる。 | [2] 歯当たり及び噛み合い状態に異常がないこと。 | ||
(7) ギヤボックス、ギヤケース及びギヤカバー | [1] 変形、き裂等の異常の有無を調べる。 | [1] 変形、き裂等の異常がないこと。 | |
[2] 油量及び油の汚れの有無を調べる。 | [2] 油量が適正で、油に著しい汚れがないこと。 | ||
[3] 油漏れの有無を調べる。 | [3] 油漏れがないこと。 | ||
(8) 軸及び軸受 | [1] 無負荷及び負荷状態における異音、振動、発熱、き裂並びにがたを調べる。 | [1] 異音、異常振動、著しい発熱、き裂又はがたがないこと。 | |
[2] 給油状態を調べる。 | [2] 給油状態が十分で、適切に行われていること。 | ||
(9) ローラパス、ローラブラケット、ローラ及びピン | [1] ローラパス及びローラブラケット溶接部のき裂の有無を調べる。 | [1] き裂がないこと。 | |
[2] ローラブラケット取付けボルトの異常の有無を調べる。 | [2] ローラブラケットが確実に取り付けられ、締め付けられていること。 | ||
[3] ローラ及びローラパス面の汚れ並びに偏摩耗の有無を調べる。 | [3] 転動面に汚れ又は偏摩耗がないこと。 | ||
[4] 無負荷及び負荷状態で緩旋回を行い、ローラの回転状態を調べる。 | [4] ローラの回転が円滑で、上部旋回体の揺れがないこと。 | ||
[5] ローラとローラパスのすき間を90°間隔で4箇所測定し、すき間の適否を調べる。 | [5] ローラとローラパスとのすき間が0.5〜1.0mmの範囲内にあること。 | ||
(10) 旋回ボールレース及び旋回歯車 | [1] 旋回ボールレース取付けボルトの締付け状態を調べる。 | [1] ボルトが確実に取り付けられ、締め付けられていること。 | |
[2] 無負荷及び負荷状態で緩旋回をし、旋回ボールレースの回転状態を調べる。 | [2] 円滑に作動すること。 | ||
[3] 旋回歯車の摩耗及びき裂の有無を調べる。 | [3] 摩耗又はき裂がないこと。 | ||
[4] 旋回ボールレース及び旋回歯車の給油状態を調べる。 | [4] 給油が十分で、適切に行われていること。 | ||
(11) P.T.O. | [1] P.T.O.の作動の異常、異音及び発熱の有無を調べる。 | [1] 作動が正常で、異音又は著しい発熱がないこと。 | |
[2] 取付け状態を調べる。 | [2] 取付けボルト及びナットが適正に締付けられていること。 | ||
[3] 油漏れの有無を調べる。 | [3] 油漏れがないこと。 | ||
(12) プロペラシャフト | [1] プロペラシャフトを回転させ、曲り(振れ)の有無を調べる。 | [1] 著しい曲り(振れ)がないこと。 | |
[2] プロペラシャフトを低速回転させたときの異音の有無によってユニバーサルジョイント部及びスプライン部のがたの有無を調べる。 | [2] 著しいがたがないこと。 | ||
[3] 給油状態を調べる。 | [3] 給油が十分で、適切に行われていること。 | ||
1.2.2 クラッチ及びブレーキ |
(1) バンド、シュー、ライニング及びドライバ | [1] バンド、シュー及びドライバのき裂、変形等の異常の有無を調べる。 | [1] き裂、変形等の異常がないこと。 |
[2] ライニングの摩耗量を調べる。 | [2] 摩耗量は原形厚さの40%以内であること。 | ||
[3] ライニングとドラムの当たりに異常がないかどうかを調べる。 | [3]−1
ライニングが開いたときドラムに接触しないこと。 [3]−2 ライニングの当たりが均一で条こんがないこと。 |
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[4] [2]又は[3]によることができない場合についてはダクト系に設けられている測定孔において、水柱マノメーター又は静圧プローブ付き熱線風速計を調べる。 | [4] 当たり面にきず又は汚れがないこと。 | ||
[5] リベットの緩みの有無を調べる。 | [5] リベットの緩みがないこと。 | ||
(2) エアチャンバ | [1] 作動状態を調べる。 | [1] 円滑に作動すること。 | |
[2] 空気漏れの有無を調べる。 | [2] 空気漏れがないこと。 | ||
(3) ホイールシリンダ | [1] 作動状態を調べる。 | [1] 円滑に作動すること。 | |
[2] 油漏れの有無を調べる。 | [2] 油漏れがないこと。 | ||
[3] ブーツを外し、ブーツの老化及びピストン摺動部の発錆の有無を調べる。 | [3] ブーツにひび割れ等の老化がなく、摺動部に発錆がないこと。 | ||
(4) ホース | [1] 干渉、つぶれ、老化、き裂及びねじれの有無を調べる。 | [1] 干渉、つぶれ、老化、き裂又はねじれがないこと。 | |
[2] 継手部の漏れの有無を調べる。 | [2] 加圧状態において漏れがないこと。 | ||
(5)
回転ジョイント (スイベルジョイント) |
[1] 油漏れ及び空気漏れの有無を調べる。 | [1] 油漏れ又は空気漏れがないこと。 | |
[2] 回転状態における異常な振れの有無を調べる。 | [2] 機能を損うような振れがないこと。 | ||
(6) アキュムレータ | [1] ガス漏れの有無を調べる。 | [1] ガス漏れがないこと。 | |
[2] ガス封入圧力を調べる。 | [2] メーカーの指定する圧力以上であること。 | ||
(7) カムクラッチ | [1] 作動状態を調べる。 | [1] スリップ等がなく、作動が正常であること。 | |
[2] 給油状態を調べる。 | [2] 給油が十分で、適切に行われていること。 | ||
(8) ジブ降し装置 | [1] カバーを取り外し、ポールの変形、き裂、摩耗等の異常の有無を調べる。 | [1] 変形、き裂、摩耗等の異常がないこと。 | |
[2] ジブを起伏させ、ポールの作動に異動がないかどうかを調べる。 | [2] 円滑に作動すること。 | ||
[3] ベアリングの給油状態及び油の汚れの有無を調べる。 | [3] 油に著しい汚れがなく、給油が十分で、適切に行われていること。 | ||
1.2.3 油圧装置 |
(1) 作動油タンク | [1] タンクの取付け状態を調べる。 | [1] タンク取付けブラケットに確実に固定されていること。 |
[2] タンクの油漏れ及びき裂の有無を調べる。 | [2] 油漏れ又はき裂がないこと。 | ||
[3] 作動油の汚れ及び劣化の有無を調べる。 | [3] 油に著しい汚れがなく、劣化していないこと。 | ||
[4] 作動油の量を調べる。 | [4] 油量が適正であること。 | ||
(2) フィルタエレメント及びケース | [1] 汚れ及び損傷の有無を調べる。 | [1] 汚れ又は損傷がないこと。 | |
[2] ケース、フランジ及び継手部の油漏れを調べる。 | [2] 油漏れがないこと。 | ||
(3) サクションホース | [1] ホースの干渉、つぶれ、老化、き裂及びねじれの有無を調べる。 | [1] き裂又は機能に支障をきたす干渉、つぶれ、老化若しくはねじれがないこと。 | |
[2] ホースバンドの緩み及び接続部からの油漏れの有無を調べる。 | [2] ホースバンドの緩み又は油漏れがないこと。 | ||
(4) 高圧配管 | [1] 配管の支持状態を調べる。 | [1] 配管が確実に固定されていること。 | |
[2] 配管のつぶれ及び継手部の油漏れの有無を調べる。 | [2] 性能に影響するつぶれ又は油漏れがないこと。 | ||
(5) 油圧ホース | [1] 干渉、つぶれ、老化、き裂及びねじれの有無を調べる。 | [1] 干渉、つぶれ、老化、き裂又はねじれがないこと。 | |
[2] ホースバンドの緩み及び継手部の油漏れの有無を調べる。 | [2] ホースバンドの緩み又は加圧状態で油漏れがないこと。 | ||
(6) 油圧ポンプ | [1] 油圧ポンプを作動させ、無負荷及び負荷の状態における異音及び発熱の有無を調べる。 | [1] 異音又は著しい発熱がないこと。 | |
[2] 油圧ポンプの負荷時における吐出量を測定する。 | [2] 基準値×0.85以上であること。 | ||
[3] 接合部及びシール部の油漏れの有無を調べる。 | [3] 油漏れがないこと。 | ||
(7) 油圧モータ | [1] 油圧モータを作動させ、無負荷及び負荷時における異音及び発熱の有無を調べる。 | [1] 異音又は著しい発熱がないこと。 | |
[2] 油圧モータの負荷時において、所定の回転数が得られるかどうかを調べる。 | [2] 基準値×0.85以上であること。 | ||
[3] 接合部及びシール部の油漏れの有無を調べる。 | [3] 油漏れがないこと。 | ||
(8) 油圧シリンダ | [1] シリンダの外部油漏れ及び内部油漏れの有無を調べる。 | [1] 外部油漏れ又は内部油漏れがないこと。 | |
[2] 打こん及び変形の有無を調べる。 | [2] 打こん又は変形がないこと。 | ||
[3] 作動状態を調べる。 | [3] 円滑に作動し、異常がないこと。 | ||
(9) 圧力制御弁(リリーフバルブ) | [1] 圧力制御弁を作動させ、設定圧力が正常であるかどうかを調べる。 | [1] 基準値+0% -10% の範囲内にあること。 |
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[2] ブロック及びフランジの接続部の油漏れの有無を調べる。 | [2] 油漏れがないこと。 | ||
(10)
方向制御弁 (コントロールバルブ) |
[1] 方向制御弁を作動させ、円滑に作動するかどうかを調べる。 | [1] 円滑に作動すること。 | |
[2] ブロック及びフランジの接続部の油漏れの有無を調べる。 | [2] 油漏れがないこと。 | ||
[3] 方向制御弁の取付け状態を調べる。 | [3] 確実に取り付けられていること。 | ||
(11) 電磁弁 | [1] 電気系統の異常の有無を調べる。 | [1] 絶縁及びアースが確実にされていること。 | |
[2] 電磁弁を作動させ、異常の有無を調べる。 | [2] 確実に作動すること。 | ||
[3] 油漏れの有無を調べる。 | [3] 油漏れがないこと。 | ||
(12) 回転継手 | [1] 回転継手を回転させながら油圧を加え、油漏れの有無を調べる。 | [1] 円滑に回転し、油漏れがないこと。 | |
[2] スリップリングのあるものは、導通の良否を調べる。 | [2] 導通不良がないこと。 | ||
1.2.4 巻上げドラム |
(1) ドラム本体 | [1] ドラムのき裂、変形及び摩耗の有無を調べる。 | [1] き裂又は著しい変形若しくは摩耗がないこと。 |
[2] ドラムロック用のラチェット部に摩耗、欠損等の異常がないかどうかを調べる。 | [2] 摩耗、欠損等の異常がないこと。 | ||
(2) ドラム軸及び軸受 | [1] ドラムを回転させ、異音、発熱及びドラムの振れの有無を調べる。 | [1] 異音、著しい発熱又は振れがないこと。 | |
[2] 円滑に回転するかどうかを調べる。 | [2] 円滑に回転すること。 | ||
(3) 巻上げ減速機及び変速機 | [1] 無負荷及び負荷状態における異音、振動及び発熱の有無を調べる。 | [1] 異音、異常振動又は著しい発熱がないこと。 | |
[2] ケースのき裂及び変形の有無を調べる。 | [2] き裂又は著しい変形がないこと。 | ||
[3] 油漏れの有無を調べる。 | [3] 油漏れがないこと。 | ||
[4] 油量及び油の汚れの有無を調べる。 | [4] 油量が適正で、油が著しく汚れていないこと。 | ||
[5] ギヤのバックラッシュ及び給油状態を調べる。 | [5] バックラッシュ及び給油状態が適正であること。 |