1.1 エンジン
検 査 項 目 |
検 査 方 法 |
判 定 基 準 |
|
1.1.1 潤滑系統 |
(1) オイルポンプ及びリリーフバルブ | [1] エンジンを暖機運転した後、エンジンオイルの圧力の異常の有無を調べる。 | [1] オイルポンプ及びリリーフバルブが正常に作動し、その各圧が適正であること。 |
[2] ポンプ及び潤滑油系統からの油漏れの有無を調べる。 | [2] 油漏れがないこと。 | ||
(2) オイルフィルタ | [1] フィルタケースのき裂、損傷及び油漏れの有無を調べる。 | [1] 油漏れ又は損傷がないこと。 | |
[2] フィルタエレメントの汚れ及び目詰まりの有無を調べる。 | [2] 著しい汚れがなく、付着がないこと。 | ||
[3] リリーフバルブに異物のかみ込み又はこう着がないかどうか調べる。 | [3] 異物のかみ込み又はこう着がなく、円滑に作動すること。 | ||
(3) エンジンオイル | [1] エンジンオイルの量を調べる。 | [1] HとLとの中間にあること。 | |
[2] エンジンオイルの汚れ等の有無を調べる。 | [2] 燃料油、水、金属粉等の混入がないこと。 | ||
(4) オイルパン | 油漏れ、損傷及び変形の有無を調べる。 | 油漏れ又は著しい損傷若しくは変形がないこと。 | |
1.1.2 燃料系統 |
(1) 燃料タンク | [1] 燃料タンクの打こん、き裂、燃料漏れ及び発錆の有無を調べる。 | [1] き裂若しくは燃料漏れ又は著しい打こん若しくは発錆がないこと。 |
[2] 燃料油の汚れを調べる。 | [2] 水分又は浮遊物がないこと。 | ||
(2) 燃料配置 | 燃料系統の各パイプ及びホースの外部の損傷、老化、腐食、き裂並びに燃料漏れ及び取付け部の緩みの有無を調べる。 | 老化、腐食、き裂、燃料漏れ、緩み、著しい外部損傷又は取付け部の緩みがないこと。 | |
(3) 燃料フィルタ | [1] フィルタケースからの燃料漏れの有無を調べる。 | [1] 燃料漏れがないこと。 | |
[2] フィルタエレメントの汚れ及び目詰まりの有無を調べる。 | [2] 著しい汚れがなく、目詰まりがないこと。 | ||
(4) 供給ポンプ、噴射ポンプ、噴射ノズル及びガバナ | [1] 供給ポンプ及び噴射ポンプの取付け状態及び作動状態の異常並びに燃料漏れの有無を調べる。 | [1] 取付け状態及び作動状態が良好で燃料漏れがないこと。 | |
[2] レベルゲージのある噴射ポンプは油量を調べる。 | [2] レベルゲージの2本の線の間にあること。 | ||
[3] 噴射ノズルからの燃料漏れ及び噴射状態を調べる。 | [3] 燃料漏れがなく、噴射圧は適正値で、噴射状態が良好であること。 | ||
[4] ガバナの作動状態を調べる。 | [4] 作動状態が良好であること。 | ||
[5] 駆動装置のがた及びタイミングの狂いを調べる。 | [5] 取付け部の緩み又は異音がなく、タイミングが正常であること。 | ||
1.1.3 電気系統 |
(1) スターティングモータ | ピニオンギヤーのからみ合い状態を調べる。 | ピニオンギヤーがスムーズにかみ合うこと。 |
(2) バッテリ | [1] 電解液の量を調べる。 | [1] 液面が極板上10〜15mmであること。 | |
[2] 電解液の比重を調べる。 | [2] 比重が20℃で1.25〜1.30であること。 | ||
[3] 各電槽の電圧を調べる。 | [3] 電圧が設定値以上であり、電圧に著しいバラツキがないこと。 | ||
[4] 端子の緩み、損傷、腐食及び汚れの有無を調べる。 | [4] 端子に緩みがなく、著しい汚れ、腐食又は損傷がないこと。 | ||
[5] 容器の損傷、汚れ及び液漏れの有無を調べる。 | [5] 損傷、汚れ又は液漏れがないこと。 | ||
(3) 発電機及びレギュレータ | [1] 発電機の取付け状態の良否を調べる。 | [1] 発電機は、確実に取付けられ、駆動用Vベルトの張りの強さが適正であること。 | |
[2] レギュレータの取付けにラバークッションを用いてある場合は、その損耗及び老化の状態を調べる。 | [2] 損耗又は老化が認められないこと。 | ||
[3] 作動状態の良否を調べる。 | [3] 作動が良好であること。 | ||
(4) 電気配線 | [1] 配線及びワイヤハーネスの損傷並びにクランプの緩みの有無を調べる。 | [1] 損傷又は緩みがないこと。 | |
[2] ターミナルブロック(ソケット)の接続部の緩み及び損傷の有無を調べる。 | [2] 緩み又は損傷がないこと。 | ||
(5) 予熱栓 | 予熱栓の作動状態及び断線の有無を調べる。 | 断線がなく、インジケータが20〜40秒で赤熱すること。 | |
1.1.4 吸排気系統 |
(1) エアクリーナ | [1] ケースのき裂及び変形の有無を調べる。 | [1] き裂又は著しい変形がないこと。 |
[2] ふた部、接続管等の合わせ目から空気漏れがないかどうかを調べる。 | [2] 空気漏れがないこと。 | ||
[3] エレメントを取り出し、損傷、汚れ及び目詰まりの有無を調べる。 | [3] 損傷、汚れ又は目詰まりがないこと。 | ||
[4] 油の量及び汚れの有無を調べる。 | [4] 油量が適正で、油に著しい汚れがないこと。 | ||
(2) 過給機 | [1] エンジンを回転し、機能の良否を調べる。 | [1] エンジンの回転及び排気色が良好で、異常振動、異音又はガス漏れがないこと。 | |
[2] 軸受部の給油の良否を調べる。 | [2] 給油が十分に行われていること。 | ||
[3] ルーツブロア式の軸受部シールから内部への油漏れの有無を調べる。 | [3] 油漏れがないこと。 | ||
(3) 弁すき間 | 弁すき間をシックネスゲージ等で調べる。 | 弁すき間がメーカーの指定する範囲内であること。 | |
(4)デコンプ装置 | デコンプの作動状態を調べる。 | 作動が正常であること。 | |
(5) エキゾーストマニホールド、パイプ及びマフラ | [1] 取付け部の緩みの有無を調べる。 | [1] 緩みがなく、ガス漏れがないこと。 | |
[2] 腐食、き裂及び焼損の有無を調べる。 | [2] き裂、焼損又は著しい腐食がないこと。 | ||
(6) 圧縮圧力 | 圧縮圧力でコンプレッションゲージ等で調べる。 | 適正な圧縮圧力があること。 | |
1.1.5 冷却系統 |
(1) ウォータポンプ | [1] 取付け状態及び水漏れの有無を調べる。 | [1] 取付けが確実で、水漏れ又は異音がないこと。 |
[2] 給油状態を調べる。 | [2] 給油が十分で適切に行なわれていること。 | ||
(2) 水ジャケット及び連結管 | 水ジャケット、連結管、ホース等の水漏れ、損傷及び変形の有無を調べる。 | 水漏れ又は著しい損傷若しくは変形がないこと。 | |
(3) ラジエータ | [1] 水量の適否及び水の汚れの有無を調べる。 | [1] 水が適量で、水の汚れ、油の混入等がないこと。 | |
[2] ラジエータの取付け状態、目詰まり、破損及び水漏れの有無を調べる。 | [2] 取付けが確実で、目詰まり、破損又は水漏れがないこと。 | ||
[3] ラジエータキャップの装置状態を調べる。 | [3] 確実に取付けられ、水漏れがないこと。 | ||
[4] 冷却水温度の異常上昇の有無を調べる。 | [4] 著しい水垢がなく、水温の異常上昇がないこと。 | ||
(4) サーモスタット | サーモスタットの開閉機能の良否を調べる。 | サーモスタットの作動温度がメーカーの規定する範囲内であること。 | |
(5) ファン、ファンカバー及びファンベルト | [1] ファン及びファンカバーのき裂及び変形の有無を調べる。 | [1] き裂又は著しい変形がないこと。 | |
[2] ファンベルトの損耗状態及び張りの強さを調べる。 | [2] 著しい損耗がなく、張り具合が適正であること。 | ||
[3] ファン及びファンカバーの取付け状態並びに回転時の異音及び振動の有無を調べる。 | [3] ファン及びファンカバーが確実に取付けられ、異音又は異常振動がないこと。 | ||
1.1.6 付属機器 |
(1) エンジン本体 | [1] シリンダヘッドの取付けボルトの緩み及びき裂の有無を調べる。 | [1] き裂又はボルトの緩みがなく、規定トルクで締付けられていること。 |
[2] エンジン各部の油漏れの有無を調べる。 | [2] 各カバー、タイミングギヤケースのガスケット部、クランク軸シール部等からの油漏れがないこと。 | ||
(2) エンジンマウント | [1] マウンティングブラケットのき裂、変形及び腐食の有無を調べる。 | [1] き裂、変形又は腐食がないこと。 | |
[2] 取付けボルト及びナットの緩み並びに脱落の有無を調べる。 | [2] 緩み又は脱落がないこと。 | ||
[3] 防振ゴムを有するものは、ゴムの損傷及びへたりの有無を調べる。 | [3] 損傷又はへたりがないこと。 | ||
(3) エアコンプレッサ | [1] コンプレッサの作動状態を調べる。 | [1] 異音又は異常振動がなく、作動が正常で、メーカーが設定した圧力があること。 | |
[2] コンプレッサの空気漏れ、油漏れ及び損傷の有無を調べる。 | [2] 空気漏れ、油漏れ、又は著しい損傷がないこと。 | ||
[3] プレッシャレギュレータ及びアンロードバルブの作動状態を調べる。 | [3] 作動が正常であること。 | ||
[4] エアクリーナーの目詰まり及びエアタンク内の凝水の有無を調べる。 | [4] エアクリーナーの目詰まり又はタンク内の凝水がないこと。 | ||
[5] エアタンク及び配管の取付け状態並びにき裂、空気漏れ及び損傷の有無を調べる。 | [5] 取付けが確実で、き裂、空気漏れ又は著しい損傷がないこと。 | ||
[6] 油量、油の汚れ及び油漏れの有無を調べる。 | [6] 油量が適正で、油漏れ又は著しい油の汚れがないこと。 | ||
[7] ベルトの摩耗、損傷及び張り具合を調べる。 | [7] 著しい摩耗又は損傷がなく、張り具合が適正であること。 | ||
(4) 計器類 | 水温計、油圧計、電流計、燃料計及び空気圧力計の作動状態を調べる。 | 各計器の破損がなく、計器の指度が適正であること。 | |
1.1.7 運転総合試験 |
(1) 始動性 | エンジンを始動し、かかり具合を調べる。 | 始動が容易であること。 |
(2) 異音及び振動 | 運転中の異音及び振動の有無を調べる。 | 異音又は異常振動がないこと。 | |
(3) 排 気 | 運転中の排気色、排気臭及び排気音を調べる。 | 排気色、排気臭又は排気音が正常であること。 | |
(4) エンジンの回転速度 | [1] エンジンの最高回転速度と最低回転速度を計測する。 | [1] 回転速度が適正であること。 | |
[2] 油圧式駆動にあっては、P.T.O.及び油圧ポンプを駆動し、各操作弁を中立の状態にし、最高回転速度を計測する。 | [2] 定格回転速度を100とした場合100〜110の範囲にあること。 | ||
(5) 温度平衡(ヒートバランステスト) | 暖機運転時の温度上昇状況を調べる。 | 昇温状況が正常であること。 |