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改正履歴
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第28条第1項の規定に基づき、プレス機械の金型の安全基準に
関する技術上の指針を次のとおり公表する。
プレス機械の金型の安全基準に関する技術上の指針
1 総則
1−1 趣旨
この指針は、プレス機械の金型(以下「金型」という。)による災害を防止するため、金型に関す
る留意事項について規定したものである。
1−2 発注時における安全に関する条件の明示
事業者は、金型の発注等に当たっては、次に掲げる事項について配慮すること。
(1) 金型の外表面(機能に関係のある部分を除く。)には、鋭い角、突起部等危険な部分がないこと。
(2) スライド及びボルスターに適合する形状及び寸法のものとすること。
(3) 必要な強度及び剛性を有すること。
(4) 人間工学的な配慮により作業の安全性を確保すること。
2 金型による危険の防止
2−1 金型に身体の一部をはさまれる危険の防止
(1) 金型に身体の一部をはさまれる危険を防止するため、次のいずれかの措置を講ずること。
イ 金型の間に身体の一部が入らないように安全囲いを設けること。
ロ 次の部分の透き間が8mm以下となるように金型を取り付けること。
(イ) 上死点における上型と下型(ストリッパーを用いる場合にあっては、上死点における上
型及び下型とストリッパー)との透き間
(ロ) ガイドポストとブッシュとの透き間
ハ 金型の間に手を入れる必要がないように次の措置を講ずること。
(イ) 材料を自動的に又は危険限界外で送給するためのロールフィーダー、スライディングダ
イ等を設けること。
(ロ) 加工物及びスクラップ(以下「加工物等」という。)が金型に付着することを防止する
ためのストリッパー、ノックアウト等を設けること。
(ハ) 加工物等を自動的に又は危険限界外で取り出すためのエヤー噴射装置、シュート等を設
けること。
(2) 材料の送給及び加工物等の取出しを行う場合において(1)の措置が困難なときは、次によること。
イ 材料の位置決めを確実に行うため、次の措置を講ずること。
(イ) 位置決めブロック等を使用すること。
(ロ) 高い精度が要求される位置決めを行う場合に使用するパイロットピン等は、確実に固定
し、かつ、抜け止めを施すこと。
ロ 上型と下型との接触部分のうち手を近づけるおそれのある箇所には、逃げを設けること。
ハ ガイドポスト、組立型の止め金具等は、原則として作業位置の反対側に設けること。
ニ ガイドポストは、下型に設けること。
2−2 組立て式等の金型の破損による危険の防止
(1) 部品の組立ては、次によること。
イ ダウエルピンは圧入とすること。
ロ インサート部品は、原則としてフランジ付き又はテーパー付きのものとすること。
ハ クッションピンは、フランジ付き又はねじ付きのものを用いること。
ニ シャンク及びガイドポストは確実に固定すること。
(2) 金型の組立てに用いるボルト及びナットは、スプリングワッシャー、ロックナット等により緩み
止めを施すこと。
(3) 金型は、その荷重中心が、原則としてプレス機械の荷重中心に合ったものとすること。
(4) カムその他衝撃が繰り返し加わる部品には、緩衝装置を設けること。
(5) 金型内の運動部品には、当該部品が運動する範囲を制限するため、必要な強度を有するスプール
リテーナー、リテーナーボルト、ストリッパーボルト等を設けること。
(6) 上型内の運動部品には、上型ホルダーから当該部品が落下することを防止するため、必要な強度
を有するスプールリテーナー、サイドセーフティピン等を設けること。
(7) 金型に使用するスプリングは、圧縮型とすること。
(8) スプリング等の破損により部品が飛び出すおそれのある箇所には、覆い等を設けること。
(9) 圧縮して使用するスプリング、ゴム等は、これらが飛び出すおそれのないようにバーを使用し、
座ぐりの中に入れる等の措置を講ずること。
2−3 金型の脱落及び運搬による危険の防止
(1) プレス機械に取り付けるために金型に設けるみぞは、次によること。
イ 取り付けるプレス機械のT溝(みぞ)に適合する形状のものであること。
ロ 取付けボルトの直径の2倍以上の奥行のものであること。
(2) 金型の運搬に当たっては、型ずれを防止するため、ストラップ、セーフティピン等を使用するこ
と。
3 雑則
金型の見やすい箇所に、次の事項を表示する等により、金型を適正に管理すること。
(1) 使用できるプレス機械の圧力能力(単位 t)
(2) 長さ(左右、前後及びダイハイト)(単位 mm)
(3) 総重量(単位 kg)
(4) 上型重量(単位 kg)