油炊きボイラー及びガス炊きボイラーの燃焼設備の構造及び
管理に関する技術上の指針 |
改正履歴
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第28条第1項に基づき、油炊きボイラー及びガス炊きボイ
ラーの燃焼設備の構造及び管理に関する技術上の指針を次のとおり公表する。
油炊きボイラー及びガス炊きボイラーの燃焼設備の構造及び管理に関する技術上の指針
1 総則
1−1 趣旨
この指針は、重油、軽油、燈油等の燃焼油を使用する油炊きボイラー及び都市ガス、液化石油ガス、
天然ガス等の燃料ガスを使用するガス炊きボイラーによる爆発、火災等の災害を防止するため、燃焼
設備の構造及び管理に関する留意事項について規定したものである。
2 油炊きボイラー
2−1 構造
2−1−1 貯蔵タンク
(1) 燃料油を貯蔵する主タンク及び供給タンク(以下「貯蔵タンク」という。)は、ボイラーの
運転に支障をきたすことのない容量のものとすること。
(2) 貯蔵タンクには、見やすい位置に油面計を設けること。
(3) 貯蔵タンクには、タンク内の油量が増え過ぎ、又は不足した場合に警音を発する警報装置を
設けることが望ましいこと。
(4) 貯蔵タンクは、その底部にたまる水、スラッジ等の異物を排出できる構造のものとすること。
(5) 貯蔵タンクの油取出し口は、貯蔵タンクの底部の異物が混入しない位置とすること。
(6) 貯蔵タンクに加熱装置を設ける場合は、次によること。
イ 燃料油の温度を調節することのできるものとすること。
ロ 熱源には、蒸気又は温水を使用することが望ましいこと。
ハ 電熱式加熱装置にあっては、間接式又はシーズ式の構造とし、必要に応じて、過熱防止の措
置を講ずること。
ニ 温水、蒸気等の熱媒体が、冬期等に凍結するおそれのある場合は、凍結を防止する措置を講
ずること。
ホ 貯蔵タンクの油取出し口等に温度計を設けること。
ヘ 供給タンクに設ける場合にあっては、その加熱装置は、点検及び保守が容易にできる構造の
ものとすること。
2−1−2 油配管
(1) 油配管系(油配管及びその附属装置並びに油移送ポンプをいい、燃焼装置に係るものを除く。
以下同じ。)は、過熱又は引火のおそれのない箇所に設置すること。
(2) 油配管系は、最大供給圧力及び使用温度に耐え、かつ、燃料油の特性及び使用状態に適合し
たものとすること。
(3) 油配管系には、燃料油が漏れることを防止するため、腐食防止の措置等を講ずること。
(4) 管の接続部は、フランジ継手、溶接継手、ねじ継手又はこれらと同等の性能を有する継手と
すること。
(5) 油配管系は、すべての部分の点検及び保守ができる構造のものとすることが望ましいこと。
(6) 油配管系は、できる限り空気ポケットが生じないよう曲折を少なくすること。空気ポケット
が生ずるおそれのある場合は、空気抜きを設けること。
(7) 油配管系には、燃料油の膨張等による圧力の過度の上昇を防止するため、逃し弁等を設ける
こと。
(8) 油配管系には、手動止め弁及び油こし器を適所に設けること。
(9) 油こし器は、必要に応じて、燃焼中にも掃除ができる構造のものとし、又は並列に設けるこ
と。
(10) 油配管には、必要に応じて、その低部にドレン抜きを設けること。
(11) 油配管系に油流量計を設ける場合は、その箇所にバイパスを設けること。
(12) 油配管系には、必要に応じて、油加熱器、水分離器、空気分離器及び逆流防止器を設けるこ
と。
(13) 油配管系に油加熱器を設ける場合は、次によること。
イ 油加熱器には、温度計及び燃料油の自動温度調節のできる装置を設けること。また、必要に
応じて、過熱防止の措置を講ずること。
ロ 油加熱器には、必要に応じて、空気抜き及びドレン抜きを設けること。
ハ 油加熱器は、点検及び保守が容易にできる構造のものとすること。
ニ 油加熱器に用いる温水、蒸気等の熱媒体が、冬期等に凍結するおそれのある場合は、凍結を
防止する措置を講ずること。
(14) 油配管系には、粘度の特に高い燃料油を使用する場合又は冬期等において燃料油の粘度が高
くなり過ぎるおそれのある場合は、温水管、蒸気管その他の加熱装置を設けること。なお、加
熱装置には、必要に応じて、過熱防止の措置を講ずること。
2−1−3 燃焼装置
(1) 燃焼装置は、低燃焼から高燃焼に至るすべての範囲で安定した燃焼ができ、かつ、火炎の長
さ及び幅が燃焼室の形状に適合したものとすること。
(2) 燃焼装置は、着火が確実にでき、かつ、空燃比の調節が容易に行えるものとすること。
(3) 燃焼装置は、使用する燃料油の特性に適合したものとすること。
(4) 燃焼装置は、必要に応じて、低燃焼位置による点火ができる構造のものとすること。
(5) 燃焼装置は、燃焼が停止した後に、燃料油ができる限り燃焼室内に流入しない構造のものと
すること。
(6) 燃焼装置は、点検及び保守が容易にできる構造のものとすること。
(7) 同一燃焼室に2以上の主バーナを設けて並列で燃焼させる場合は、それらの主バーナは、そ
の特性を考慮し、相互に燃焼を妨げることのないように設けること。
(8) 主バーナ又はその直前の油配管には、必要に応じて、手動止め弁を設けること。
(9) 主バーナ又はその直前の油配管には、必要に応じて、燃料油の温度計及び圧力計を設けるこ
と。
(10) 燃焼装置には、燃料油の膨張等による圧力の過度の上昇を防止するため、逃し弁等を設ける
こと。
(11) 燃焼装置の油配管及びその附属装置並びに噴燃ポンプには、必要に応じて、空気抜き及びド
レン抜きを設けること。
(12) 燃焼装置の油配管及びその附属装置並びに噴燃ポンプは、工具を使用しなければ取り外すこ
とのできないものとすること。
(13) 主バーナの燃料噴射部が燃焼室外部に取り出せる構造の主バーナにあっては、工具を使用し
なければそれを取り出すことができず、又は主バーナが燃焼室内の正常な位置になければ、主
バーナの燃焼ができない構造のものとすること。
(14) 燃焼装置には、粘度の高い燃料油を使用する場合は、必要に応じて、燃料油が設定された粘
度又はそれに対応する温度に達しなければ、主バーナの燃焼ができないようにする装置を設け
ること。
(15) 圧縮空気、蒸気等の噴霧用媒体を使用する主バーナにあっては、噴霧用媒体の配管の適所に
ドレン抜きを設けること。
(16) 噴霧用媒体を使用する主バーナにあっては、噴霧用媒体の配管内に燃料油が逆流し、又は油
配管内に噴霧用媒体が逆流することのない構造のものとすること。
(17) 噴霧用媒体の配管には、必要に応じて、圧力計又は温度計を設けること。
(18) 燃焼装置には、必要に応じて、噴霧用媒体の供給が停止した場合に、主バーナへの燃料油の
供給を自動的にしゃ断する装置を設けること。
2−1−4 通風装置
(1) ボイラー内の燃焼ガス側空間(煙道を含む。)をプレパージするための通風装置を設けるこ
と。
なお、その通風量(単位時間当たりの空気量をいう。3−1−3(1)において同じ。)は大
きいほうが望ましいこと。
(2) 排ガス通路にダンパーを有するものにあっては、プレパージのため十分なダンパー開度を維
持できる構造のものとすること。
(3) 燃焼用空気を供給する通風装置にあっては、次によること。
イ 通風ファンが異常停止した場合は、主バーナへの燃料油の供給を直ちにしゃ断する機能を有
するものとすること。なお、通風の状態の異常を検出して燃料油をしゃ断する装置を設けるこ
とが望ましい。
ロ 消火の場合に、燃料油をしゃ断しなければ、燃焼用空気の供給を停止できない構造のものと
すること。
ハ 燃焼量を自動制御するボイラーにあっては、燃焼量が変化する場合においても、できる限り、
空気不足の燃焼が生じない構造のものとすること。
2−1−5 点火装置
(1) 点火装置は、主バーナに確実に点火するため、適正な熱エネルギーを発生するものとし、か
つ、適切な位置に取り付けること。
(2) 点火燃料を使用する点火装置は、安定した燃焼ができるものとすること。
(3) 自動的に点火のための作動をするボイラーの点火装置で、点火燃料を使用するものは、主バ
ーナの燃焼油が噴射する前に点火し、かつ、主バーナの燃焼が安定した後には、原則として停
止するものとすること。なお、点火装置だけが作動している時間は、原則として短くすること。
(4) 主バーナに点火した後、点火電極又は点火バーナを抜き出す構造の点火装置にあっては、そ
れが正常な点火位置になければ点火のための作動ができない構造のものとすること。
(5) 前(1)から(4)までによるほか、点火燃料を使用する点火装置で、燃料ガスを使用ものにあっ
ては3−1−1及び3−1−2((1)、(2)及び(4)を除く。)に、燃料油を使用するものにあっ
ては、2−1−2及び2−1−3((1)、(2)、(4)、(7)及び(13)から(18)までを除く。)によ
ること。
2−1−6 燃焼安全装置
(1) 燃焼装置には、火炎検出器、主安全制御器、燃料しゃ断弁等で構成される信頼性のすぐれた
燃焼安全装置を設けること。
(2) 燃焼安全装置は、異常消火時には、主バーナへの燃料油の供給を直ちにしゃ断し、かつ、手
動による操作をしない限り再起動できない機能を有するものとすること。
(3) 燃焼安全装置の機能を失わせてボイラーの運転ができる切替えスイッチ等を設けないこと。
(4) 燃焼安全装置の機器類は、制限温度以上に加熱されるおそれのない場所に設けること。
(5) 火炎検出器は、使用する燃料油の火炎を検出するのに適合する種類のものとし、かつ、検出
すべき火炎を確実に監視することのできる位置に設けること。
(6) 主安全制御器は、火炎検出器その他からの信号を受けて、確実に燃焼の制御のための指令を
発するものとすること。
(7) 主安全制御器は、主バーナを燃焼させようとする都度、その燃焼に先立って、自動的に火炎
の誤検出の有無等を点検する機能を有し、かつ、火炎の誤検出がある場合は主バーナの燃焼が
できない機能を有するものとすること。
(8) 主安全制御器は、主バーナの燃焼中に、火炎検出器の内部が断線し、又は火炎検出器への結
線が断たれた場合は、主バーナの燃焼を自動的に停止させる機能を有するものとすること。
(9) 燃焼安全装置の燃料油をしゃ断する機構は、燃料しゃ断弁又はこれと同等の機能を有するも
のとすること。
(10) 燃料しゃ断弁は、使用する燃料油の特性及び使用状態に適合したものとすること。
(11) 燃料しゃ断弁は、その作動用動力源が断たれた場合は、直ちに燃料油をしゃ断するものであ
って、かつ、その作動用動力源が断たれている間は、手動による操作でしゃ断された弁を開く
ことのできない構造のものとすること。
(12) 燃料しゃ断弁には、バイパスを設けないこと。
(13) 燃料もどし弁(主バーナからのもどり油配管に設けられる弁で、それが開くことによって主
バーナからの燃料油の噴射を停止させるものをいう。以下同じ。)を設ける場合は、その作動
用動力源が断たれた場合は、直ちに弁が開く機構のものであって、かつ、その作動用動力源が
断たれている間は、手動による操作で弁を閉じることのできない構造のものとすること。
(14) 燃料もどし弁と直列に弁又はコックを設けないこと。
(15) 燈油等の軽質燃料油を使用するボイラーには、燃料油をしゃ断する機構を二重に設けること
が望ましいこと。
(16) 自動的に点火のための作動をするボイラーにあっては、プレパージの終了後、故障その他の
原因で点火することができず、又は火炎を検出することができない場合に、主バーナへの燃料
油の供給を一定時間以内に自動的にしゃ断する機能を有する安全スイッチを設けること。
(17) 安全スイッチが作動した場合は、手動による操作をしない限り再起動できない機能を有する
ものとすること。
(18) 安全スイッチは、作動機構の不良、外力の影響等が生じた場合でも、安全が損なわれること
のない構造のものとすること。
(19) 蒸気ボイラー(燃焼量を比例制御するボイラーを除く。)には、設定圧力に達した場合に燃焼
を停止させ、かつ、手動による操作をしない限り再起動できない機能を有する蒸気圧力制限器
を設けることが望ましいこと。
(20) 温水ボイラー(燃焼量を比例制御するボイラーを除く。)には、設定温度に達した場合に燃
焼を停止させ、かつ、手動による操作をしない限り再起動できない機能を有する温水温度制限
器を設けることが望ましいこと。
2−1−7 ボイラー室等
(1) ボイラー室には、燃焼に必要な空気量が十分得られるよう、適切な措置を講ずること。
(2) ボイラー室内の換気を行うための排気口は、ボイラー室の上部に設けること。なお、動力に
より排気を行う場合は、ボイラー室内が負圧にならないような措置を講ずること。
(3) ボイラー室の吸排気装置には、必要に応じて、それが故障した場合に主バーナの燃焼を停止
させることのできる措置を講ずること。
(4) 燃焼用空気の風道は、空気の流れを確保するため、その損壊、地下水の浸入等が生じない構
造のものとすること。
(5) 燃焼室、煙室、煙道、煙突等の燃焼ガス又は排ガスの通路は、ガスの漏出、地下水の浸入等
を防止するため、必要に応じて、気密の構造のものとすること。
(6) 煙道、煙突等の排ガス通路は、必要に応じて、耐食構造のものとすること。
(7) 煙道及び煙突は、未燃ガスの停滞しやすい部分がないものとすること。
(8) 煙道又は煙突には、排ガスを分析するため、その直線部分にガス採取穴を設けること。
(9) 煙道及び煙突には、適所に掃除口を設けること。
(10) 煙道及び煙突は、雨水の浸入、雪の堆(たい)積等により、燃焼が悪影響を受けることのない
ものとすること。
(11) 煙突の排出口は、必要に応じて、風により燃焼が悪影響を受けることのない高さ、位置又は
形状のものとすること。
(12) 2以上のボイラー又はボイラーと他の燃焼炉等に共用されている煙道又は煙突は、それぞれ
の燃焼に悪影響を及ぼすことのないよう、排ガス通路の大きさ、合流箇所の形状等を適切なも
のとすること。
(13) ボイラーには、主バーナの火炎を監視できるのぞき穴等を設け、かつ、必要に応じて、点火
装置の作動を監視できるのぞき穴等を設けること。
(14) のぞき穴等には、必要に応じて、保護ガラス等を取り付けること。
2−1−8 表示
(1) ボイラーには、見やすい箇所に次の事項が表示されていること。
イ 燃焼装置の型式
ロ 燃料油の種類
ハ 最大燃焼量
ニ その他必要な事項
(2) 配管には、誤操作等を防止するため、その内部を通る物質の種類を示す色分け及び色分け以
外の方法による表示並びに流れの方向を示す表示をすること。
2−1−9 その他
(1) 異種の燃料油又は燃料油に添加剤等を混合する装置は、混合比が変化し、又は混合した燃料
油が燃焼に悪影響を与えるような分離若しくはスラッジの発生を起すことのないものとするこ
と。
(2) 異種の燃料に切り換え、又はそれらを併用して燃焼させる燃焼設備は、それぞれの燃料を使
用する場合についてのこの指針の示すところによるものとし、かつ、燃焼量、空燃比、安全性
等に異状をきたすことのないものとすること。
(3) ボイラーを監視する場所には、燃焼設備に異状が生じた場合に点燈する表示燈及び警音を発
する警報装置を設けることが望ましいこと。
2−2 管理
2−2−1 貯蔵タンク
(1) 貯蔵タンクの燃料油があふれ、又は少なくなり過ぎることのないように注意すること。
(2) 貯蔵タンクの底部の水、スラッジ等の異物の有無を随時点検し、これらがたまっている場合
は抜き取ること。
(3) 貯蔵タンクの燃料油を加熱する場合は、必要以上の温度とならないようにすること。
(4) 貯蔵タンクの本体及びこれに附属する油面計、警報装置、加熱装置、通気管、弁等並びに貯
蔵タンクの基礎を定期的に点検すること。
2−2−2 油配管系
(1) ボイラーを起動し、又は停止する際には、油配管系の手動止め弁の開閉状態を確認すること。
(2) 油配管系の内部にたまった空気等を随時空気抜きから排出すること。
(3) 油加熱器の油弁を開かずにその熱媒体の供給を開始し、又は、その熱媒体の供給を停止せず
に油加熱器の油弁を閉じないこと。
(4) 油加熱器の出口における燃料油の温度が必要以上に高くならないように調節すること。
(5) 燃料油が漏れた場合は、直ちにこれをぬぐいとり、漏れの生じた部分を補修すること。
(6) 補修等のため油配管系の一部の燃料油を抜き取る場合は、それを容器に受け、かつ、火気に
十分注意すること。
(7) 弁、フランジ及び油配管は、定期的に漏れの有無を点検すること。
(8) 油配管系の機器類は、定期的に点検し、かつ、掃除すること。
2−2−3 燃焼装置及び通風装置
(1) ボイラーの起動前に、必要に応じて、燃焼室内を点検し、油その他の異物がある場合は除去
すること。
(2) 点検の前に、主バーナの装着及び油圧、油温等が適正であることを確認すること。
(3) 点火の前に、通風装置により、ボイラー内の燃焼ガス側空間(煙道を含む。)を十分な空気
量でプレパージすること。
(4) 排ガス通路にダンパーを有するものにあっては、プレパージのため十分なダンパー開度を維
持すること。
(5) 点火の前に、燃焼装置が着火のため適正な燃焼量となる状態に設定されていることを確認す
ること。
(6) 点火棒を使用して点火する場合は、逆火に注意し、火種を主バーナの先端下部に十分接近さ
せた後でなければ油弁を開かないこと。
(7) 同一燃焼室に2以上の主バーナが設けられている場合は、下段又は炉心側にある主バーナか
ら点火すること。また、使用しない主バーナの噴射口等が過熱されないようにすること。
(8) 燃焼量を増減できる燃焼装置は、空気不足の燃焼にならないようにすること。2以上の主バ
ーナを使用する場合において、主バーナの使用数を増減するときも、同様とすること。
(9) 燃焼量を急激に増減することは、原則としてしないこと。特に初起動の場合は、これに留意
すること。
(10) 噴霧用媒体を使用する燃焼装置にあっては、噴霧用媒体が正常に供給されるようにすること。
(11) 噴霧用媒体を使用する燃焼装置にあっては、噴霧用媒体の種類を変更する場合に、燃焼に支
障をきたさないようにすること。なお、原則として、燃焼中に変更しないこと。
(12) 主バーナへ点火する場合において、1回で着火しないときは、直ちに燃料油をしゃ断し、そ
の原因を調査して必要な措置を講じた後でなければ、再点火しないこと。
(13) 異常消火した場合は、ボイラーの運転を止め、その原因を調査して必要な措置を講じた後で
なければ、再点火しないこと。
(14) 再点火の場合は、原則として、初めて点火するときと同様の方法によること。
(15) 逆火や不安定燃焼が生ずる場合は、その原因を調査し、必要な措置を講ずること。
(16) 停電した場合は、必要に応じて、電源の元スイッチを切り、かつ、燃料油の元弁を閉じるこ
と。
(17) 消火する場合は、燃料油の供給を止めた後、通風を止めること。
(18) 燃料油を供給を止めた後、手動止め弁を確実に閉じる等により、燃料油が燃焼室に漏れない
ようにすること。
(19) 主バーナの噴射口は、燃料油の霧化が不良にならないよう、定期的に点検し、かつ、分解掃
除をすること。
(20) 弁、フランジ及び油配管は、定期的に漏れの有無を点検すること。
(21) 燃焼量を自動制御するボイラーにあっては、定期的にその自動制御の機構を点検すること。
2−2−4 点火装置
(1) 点火装置は、初めて使用するとき、変更したとき等に確実に点火できることを確認しておく
こと。
(2) 点火炎を検出することができる点火装置は、初めて使用するとき、変更したとき等に、必要
に応じて、点火炎を検出することができなくなるまで点火炎を小さくした場合でも、主バーナ
に確実に点火できることを確認しておくこと。
(3) 主バーナへの点火の前に、必要に応じて、点火燃料の供給及び点火装置の燃焼が正常である
ことを確認すること。
(4) 点火バーナ、点火電極及び絶縁がいしは、定期的に点検し、かつ、掃除すること。
(5) 前(1)から(4)までによるほか、点火燃料を使用する点火装置で、燃料ガスを使用するものに
あっては3−2−1に、燃料油を使用するものにあっては2−2−2によること。
2−2−5 燃焼安全装置
(1) 燃焼安全装置は、ボイラーの運転を行うときは、その機能を失わせてはならないこと。また、
燃焼安全装置が故障した場合は、これを補修するまでボイラーを運転しないこと。
(2) 燃焼安全装置の接点、絶縁物等は、定期的に点検し、かつ、掃除すること。
(3) 火炎検出器で、火炎からの光線を受光することによって火炎の有無を検出するものは、定期
的に採光ガラスを掃除し、かつ、検出機能を点検すること。
(4) 火炎検出器で、直接火炎に接して火炎の有無を検出するものは、定期的に検出部の汚損、焼
損等の有無及び検出機能を点検すること。
(5) 主安全制御器は、定期的にその機能を点検すること。
(6) 燃料しゃ断弁等の燃料油をしゃ断する機構は、定期的にその機能並びに漏れ及び異物の有無
を点検し、かつ、掃除すること。
(7) 蒸気圧力制限器は、安全弁の調整圧力より低い圧力で作動するように調節し、かつ、定期的
に点検すること。
(8) 温水温度制限器は、設定温度で作動するように調節し、かつ、定期的に点検すること。
2−2−6 ボイラー室等
(1) 常に燃焼室内の燃焼状態を監視し、適切な空燃比を維持すること。
(2) ボイラーの燃焼用空気の取入口及びボイラー室の換気を行うための吸排気口の周辺には、空
気の流れを阻害するものを置かないこと。
(3) 燃焼ガス及び排ガスの通路は、定期的に掃除すること。
(4) 燃焼室及び煙道の内部を点検し、又は掃除するときは、次によること。
イ 十分に換気すること。
ロ ボイラーの電源を切ること。
ハ 有害物質その他に対する防護措置を講ずること。
2−2−7 点検及びその記録
(1) 点検及び保守のための実施基準を作成しておくこと。
(2) 定期点検を行った場合は、その結果を記録しておくこと。
2−2−8 その他
(1) 燃焼設備の機器類について、適正に取り付けられていること及び制限温度以上に過熱されな
いことを確認しておくこと。
(2) 各種のモーターは、過負荷にならないように注意すること。
(3) 電気機器、配線等の接続端子の緩み並びに絶縁及び接地の状態を定期的に点検すること。
(4) 燃焼装置及び燃焼安全装置には、必要に応じて、取替え用の機器又は部品を備えておくこと。
3 ガス炊きボイラー
3−1 構造
3−1−1 ガス配管系
(1) ガス配管系(ガス配管及びその附属装置をいい、燃焼装置に係るものを除く。以下同じ。)
は、著しく過熱し、又は引火するおそれのない箇所に設置すること。
(2) ガス配管系は、最大供給圧力に耐え、かつ、燃料ガスの特性及び使用状態に適合したものと
すること。
(3) ガス配管系には、燃焼ガスが漏れることを防止するため、腐食防止の措置等を講ずること。
(4) 管の接続部は、フランジ継手、溶接継手、ねじ継手又はこれらと同等の性能を有する継手と
すること。
(5) 弁は、弁の開きが容易に知り得る構造とし、かつ、必要に応じて、目盛りを備えること。
(6) ガス配管系は、点検及び保守が容易にできる構造のものとすること。
(7) ガス配管系には、必要に応じて、ろ過器、水分離器、逆流防止器及びガス圧監視装置を設け
ること。
(8) 通常の運転において液化するおそれのあるガスを燃料に使用する場合は、液化を防止するた
め、加熱装置等を設けること。
3−1−2 燃焼装置
(1) 燃焼装置は、低燃焼から高燃焼に至るすべての範囲で安定した燃焼ができ、かつ、火炎の長
さ及び幅が燃焼室の形状に適合したものとすること。
(2) 燃焼装置は、着火が確実にでき、かつ、空燃比の調節が容易に行えるものとすること。
(3) 燃焼装置は、使用する燃料ガスの特性に適合したものとすること。
(4) 燃焼装置は、必要に応じて、低燃焼位置による点火ができる構造のものとすること。
(5) 燃焼装置は、点検及び保守が容易にできる構造のものとすること。
(6) 主バーナの直前のガス配管には、必要に応じて、手動止め弁を設けること。
(7) 主バーナ又はその直前のガス配管には、必要に応じて、燃料ガスの温度計及び圧力計を設け
ること。
(8) 燃焼装置のガス配管及びその附属装置は、工具を使用しなければ取り外すことのできないも
のとすること。
3−1−3 通風装置
(1) ボイラー内の燃焼ガス側空間(煙道を含む。)をプレパージするための通風装置を設けるこ
と。
なお、その通風量は、大きいほうが望ましいこと。
(2) 排ガス通路にダンパーを有するものにあっては、プレパージのため十分なダンパー開度を維
持できる構造のものとすること。
(3) 燃焼用空気を供給する通風装置にあっては、次によること。
イ 通風ファンが異常停止した場合は、主バーナへの燃料ガスの供給を直ちにしゃ断する機能を
有するものとすること。なお、通風の状態の異常を検出した燃料ガスをしゃ断する装置を設け
ることが望ましいこと。
ロ 消火の場合に、燃料ガスをしゃ断しなければ燃焼用空気の供給が停止できない構造のものと
すること。
ハ 燃焼量を自動制御するボイラーにあっては、燃焼量が変化する場合においても、できる限り、
空気不足の燃焼が生じない構造のものとすること。
3−1−4 点火装置
(1) 点火装置は、主バーナに確実に点火するため、適正な熱エネルギーを発生するものとし、か
つ、適切な位置に取り付けること。
(2) 点火燃料を使用する点火装置は、安定した燃焼ができるものとすること。
(3) 自動的に点火のための作動をするボイラーの点火装置で、点火燃料を使用するものは、主バ
ーナの燃料ガスが噴射する前に点火するものとすること。
(4) 燃料ガスを使用する点火装置にあっては、前1から3までによるほか、3−1−1及び3−
1−2((1)、(2)及び(4)を除く。)によること。
3−1−5 燃焼安全装置
(1) 燃焼安全装置の燃料ガスをしゃ断する機構は、燃料しゃ断弁とすること。
(2) 燃料しゃ断弁は、できる限り、主バーナに近い位置に設けること。
(3) 燃料しゃ断弁は、二重に設けることが望ましいこと。
(4) 燃焼装置には、必要に応じて、ガス圧が上限又は下限を超えた場合に、主バーナへの燃料ガ
スの供給を直ちにしゃ断し、かつ、手動による操作をしない限り再起動できない機能を有する
圧力制限器を設けること。
(5) ガス炊きボイラーの燃焼安全装置の構造については、前(1)から(4)までによるほか、2−1
−6((9)、(13)、(14)及び(15)を除く。)によること。
3−1−6 表示
(1) ボイラーには、見やすい箇所に次の事項が表示されていること。
イ 燃焼装置の型式
ロ 燃料ガスの種類及び供給圧力
ハ 最大燃焼量
ニ その他必要な事
(2) 配管には、誤操作等を防止するため、その内部を通る物質の種類を示す色分け及び色分け以
外の方法による表示並びに流れの方向を示す表示をすること。
3−1−7 その他
ガス炊きボイラーの燃焼設備の構造については3−1−1から3−1−6までによるほか、2−
1−7及び2−1−9((1)を除く。)によること。
3−2 管理
3−2−1 ガス配管系
(1) ボイラーを起動し、又は停止する際には、ガス配管系の手動止め弁の開閉状態を確認するこ
と。
(2) 弁、フランジ及びガス配管は、定期的に漏れの有無を点検すること。
(3) ガス配管系の機器類は、定期的に点検し、かつ、掃除すること。
3−2−2 燃焼装置及び通風装置
(1) ボイラーの起動前に、必要に応じて、燃焼室内を点検し、異物がある場合は除去すること。
(2) 点火の前に、通風装置により、ボイラー内の燃焼ガス側空間(煙道を含む。)を十分な空気
量でプレパージすること。
(3) 排ガス通路にダンパーを有するものにあっては、プレパージのため十分なダンパー開度を維
持すること。
(4) 点火の前に、燃焼装置が着火のため適正な燃焼量となる状態に設定されていることを確認す
ること。
(5) 燃焼量を増減できる燃焼装置は、空気不足の燃焼にならないようにすること。2以上の主バ
ーナを使用する場合において、主バーナの使用数を増減するときも、同様とすること。
(6) 燃焼量を急激に増減することは、原則としてしないこと。特に初起動の場合は、これに留意
すること。
(7) 主バーナへ点火する場合において、1回で着火しないときは、直ちに燃料ガスをしゃ断し、
その原因を調査して必要な措置を講じた後でなければ、再点火しないこと。
(8) 異常消火した場合は、ボイラーの運転を止め、その原因を調査して必要な措置を講じた後で
なければ、再点火しないこと。
(9) 再点火の場合は、原則として、初めて点火するときと同様の方法によること。
(10) 逆火や不安定燃焼が生ずる場合は、その原因を調査し、必要な措置を講ずること。
(11) 停電した場合は、必要に応じて、電源の元スイッチを切り、かつ、燃料ガスの元弁を閉じる
こと。
(12) 消火する場合は、燃料ガスの供給を止めた後、通風を止めること。
(13) 主バーナは、焼損等の有無について定期的に点検し、かつ、掃除すること。
(14) 弁、フランジ及びガス配管は、定期的に漏れの有無を点検すること。
(15) 燃焼量を自動制御するボイラーにあっては、定期的にその自動制御の機構を点検すること。
3−2−3 点火装置
(1) 点火装置は、初めて使用するとき、変更したとき等に確実に点火できることを確認しておく
こと。
(2) 点火燃料を使用する点火装置は、初めて使用するとき、変更したとき等に点火炎を検出する
ことができなくなるまで点火炎を小さくした場合でも、主バーナに確実に点火できることを確
認しておくこと。
(3) 点火の前に、点火バーナに使用する燃料ガスの圧力が適正であることを確認すること。
(4) 点火バーナ、点火電極及び絶縁がいしは、定期的に点検し、かつ、掃除すること。
(5) 燃料ガスを使用する点火装置にあっては、前(1)から(4)までによるほか、3−2−1による
こと。
3−2−4 その他
ガス炊きボイラーの燃焼設備の管理については、3−2−1から3−2−3までによるほか、2
−2−5から2−2−8までによること。