東京電力福島第一原子力発電所の事故収束に向けた各種工事における労働災害防止対策の徹底について

基安発1124第2号
平成23年11月24日
福島労働局長 殿
厚生労働省労働基準局
安全衛生部長

東京電力福島第一原子力発電所の事故収束に向けた
各種工事における労働災害防止対策の徹底について

 東京電力福島第一原子力発電所の事故収束に向けた各種工事(以下「原発各種工事」という。)において
は、これまでに、電柱上でケーブル配線作業中に墜落する等により休業4日以上の労働災害(職業性疾病を
除く。)が6件発生していたところであるが、平成23年10月29日に原子炉建屋を覆う工作物の建設に使用さ
れた移動式クレーンの解体作業中、ワイヤロープが落下し、作業員2人が被災する災害が発生した。本災害
の発生原因等は現在調査中であるが、社会的関心を集める重篤な労働災害が発生したこと、また、年内に、
事故の収束に向けたロードマップのステップ2が終了し、新たな局面に展開することに伴い、今後様々な新
たな原発各種工事が開始されることが予想されることから、原発各種工事における労働災害防止対策の更
なる強化を図る必要がある。
 ついては、下記により、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)及び元方事業者に対して、原発
各種工事における労働災害防止対策の徹底について適切に指導されたい。
なお、別添のとおり東京電力本店に対して必要な指導、援助等を行うことを求めたところであるので申し
添える。
1 集団指導の実施   次により集団指導を実施することとする。 (1) 実施対象    集団指導の対象事業者は、東京電力が発注する原発各種工事を請け負った元方事業者とする。なお、   下記4により選任された原発各種工事安全施工管理者等東電福島第一原子力発電所の安全衛生に責任を   有する者にも参加を求めること。 (2) 実施主体    本省、福島労働局及び富岡労働基準監督署が実施するものとする。 (3) 実施事項    次の事項を重点として指導を実施する。    なお、東京電力及び元方事業者に対しては、本集団指導の際に下記2の自主点検結果を含む取組状況   の発表を求めることとする。   [1] 元方事業者による統括安全衛生管理の充実   [2] 労働災害発生状況等を踏まえた安全確保措置(再発防止対策を含む。)の徹底   [3] 新規参入者(異業種から新たに原発各種工事に従事することとなった者をいう。)の把握とその者に    対する教育の徹底   [4] 関係請負人が上記[2]及び[3]の事項を適切に実施するための発注者、元方事業者の協力 (4) 実施時期    平成23年内に実施することとする。 2 自主点検の実施   元方事業者に対して、上記1の(3)の[1]から[4]の事項について、これまでの取組を検証するとともに、 今後の改善策等を取りまとめる自主点検を実施させ、上記1の集団指導の日までに提出するよう指導する こと。 3 災害を発生させた企業に対する指導   平成23年11月1日以降、休業4日以上の労働災害であって安全管理に問題があるものを発生させた企業 の原則全てに対して、当該現場の工事を管理する本店、支店、営業所、現地事務所等(以下「店社等」と いう。)のいずれかのものに対する効果的な個別指導等を実施すること。 4 発注者の取組の強化   原発各種工事を発注する東京電力に対しては、原発各種工事の安全を担当する原発各種工事安全施工管 理者を選任させ、その者に原発各種工事の東京電力における担当者を統括させるとともに、特に危険な作 業の実施の場合には、工事担当者による工事監理の際等に、工事監理及び被ばく管理に加え、現場におけ る安全確保措置についても必要な指導を実施させること。   また、原発各種工事安全施工管理者に対しては、放射線管理部門、災害復旧担当部門だけでなく安全衛 生管理部門の担当者を全ての工事監理に積極的に関与させること。 5 関係事業者の自主的取組の強化   原発各種工事を請け負った建設事業者等が、個々の請負関係を超えて近接工事実施の際の情報共有及び 協力を推進させるための枠組として、上記4で選任された原発各種工事安全施工管理者の参加も得て、工 事エリア別協議組織(平成23年10月21日付け基安発1021第2号「東日本大震災復旧・復興工事関係者連絡 会議及び工事エリア別協議組織の設置について」により指示)に準じた協議組織を設置させる等により、 原発各種工事における安全確保措置の充実を図ることとする。 6 委託事業の活用   建設業労働災害防止協会に委託している東日本大震災復旧工事安全衛生確保支援事業において、建設業 労働災害防止協会福島県支部内に東日本大震災復旧・復興工事労災防止支援センターを設置し、専門家に よる[1]新規参入者教育の支援、[2]復旧工事計画の作成支援、[3]安全衛生相談の対応を実施していると ころである。   ついては、これら事業の積極的活用、特に新規参入者教育の活用を図ること。                                           (別添省略)
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