安全衛生情報センター
平成23年東北地方太平洋沖地震による災害に対しては、平成二十三年東北地方太平洋沖地震による災害 についての特定非常災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令(平成23年政令第19号。以下 「政令」という。)が別添1のとおり平成23年3月13日に公布され、同日より施行されたことにより、特定 非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置法に関する法律(平成8年法律第85号。以下 「法」という。)(別添2)の規定の一部が適用されることとなったところである。 政令は、平成23年東北地方太平洋沖地震による災害を法第2条第1項の特定非常災害に指定し、その被害 者について、行政上の権利利益に係る満了日の延長、法令上の義務であって期限内に履行されなかった義 務の履行に係る免責等に関して所要の措置を講ずるものである。主な内容等は下記のとおりであるので、 適切な運用が図られるよう遺漏なきを期されたい。
1 行政上の権利利益に係る満了日の延長に関する措置関係(法第3条) (1) 今般の平成23年東北地方太平洋沖地震による災害により、行政庁の処分により付与された権利その 他の利益や、法令に基づき行政機関に何らかの利益を付与する処分その他の行為を求めることができ る権利の中には、有効期間の更新や権利の行使等のための所要の手続をとることが困難な場合がある。 このため、このような権利利益のうち、その存続期聞が平成23年3月11日(特定非常災害発生日)以後 に満了するものについては、法第3条第1項及び政令第3条の規定により、その満了日を平成23年8月31 日を限度として延長することができることとしたこと。 (2) また、法第3条第2項においては、個別の確認行為を経ずに地域を単位として一括して延長措置をと ることが適当なものに関して、厚生労働大臣等国の行政機関の長等が告示を行うことにより当該延長 措置を行うことができ、同条第3項においては、同条第2項の規定による延長措置のほか、被害者の申 請に基づき、個別に都道府県労働局長、労働基準監督署長等の行政機関や行政庁(法令において処分権 限が与えられた法人等)が延長を行うことができるが、労働基準法等関係法令については、同条第2項 に基づく告示は行わず、同条第3項に基づく個別の延長措置を、都道府県労働局長、労働基準監督署長 等が個別の判断において行うものとすること。 なお、当該延長措置が講じられた場合には、その時点で既に失効している権利利益(平成23年3月11 日以後に存続期間が満了するものに限る。)についても回復されることとなること。 (3) 法第3条第1項第1号及び政令第2条によって規定される「法令に基づく行政庁の処分により付与され た権利その他の利益であって、その存続期間が平成23年3月11日以後に満了するもの」には、例えば、 普通ボイラー溶接土免許のように都道府県労働局長の処分により付与されたもののほか、ボイラー検 査証など登録性能検査機関の処分により付与された権利等も含まれるものであること。 同じく、法第3条第1項第2号及び政令第2条によって規定される「法令に基づき何らかの利益を付与 する処分その他の行為を当該行為に係る権限を有する行政機関に求めることができる権利であって、 その存続期聞が平成23年3月11日以後に満了するもの」には、例えば、賃金の支払の確保等に関する法 律施行規則(昭和51年労働省令第26号)第9条に基づく認定を労働基準監督署長に求める権利等が含まれ るものであること。(参照:参考1) (4) 法第3条第1項及び政令第1条によって規定される「平成23年東北地方太平洋沖地震による災害の被害 者」とは、特定非常災害により身体上、財産上の直接の被害を受けた自然人・法人のほか、間接の被 害を受けた者も含み、個々の事案がこれに該当するか否かについては、その事情に応じて判断すべき ものであること。 (5) 法第3条第3項に係る満了日の延長の申出に用いる書面の様式は定められておらず、任意の様式で差 し支えないこと。当該申出に対して行う権利利益等の存続期間の満了日の延長についても、延長期日 (平成23年8月31日)までの範囲で個々の事案の事情により期日を指定するることとして差し支えない こと。 2 期限内に履行されなかった義務に係る免責に関する措置関係(法第4条) (1) 法令に規定されている義務のうち、平成23年3月11日から平成23年6月29日までの聞に履行期限が到 来するものであって、特定非常災害により当該履行期限までに履行されなかったことにより、法令義 務違反として、罰金等の刑事上、行政上の責任が関われる場合において、平成23年6月30日までに義務 が履行されたときには、免責することとしたこと。 (2) 法第4条第1項の「法令に規定されている」とは、法令に基づき直接課せられる義務を対象とするもの であり、例えば、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第98条第1項に基づき「変更措置」を命じる場 合のように法令に基づく処分であって初めて具体的な義務が課せられることとなるもの等は含まない ものであること。(参照:参考2) (3) 法第4条第1項及政令第1項によって規定される「平成23年東北地方太平洋沖地震による災害により当 該履行期限が到来するまでに履行されなかった」とは、履行義務者ごとに個別に判断することとなるが、 一般的には、直接・間接を問わず特定非常災害を理由として、履行義務者が当該義務を履行すること についてのいわゆる期待可能性がなくなった場合であること。 (4) 当該措置の対象となるのは、「行政上及び刑事上の責任」であるので、民事上の責任についてほ免 責の対象とならないものであること。別添1(PDF:51KB)