メンタルヘルス対策における事業場外資源との連携の促進について
基安労発第0619001号
平成20年6月19日
都道府県労働局
労働基準部長 殿
厚生労働省労働基準局
安全衛生部労働衛生課長
メンタルヘルス対策における事業場外資源との連携の促進について
職場におけるメンタルヘルス対策については、平成20年度を初年度とする労働災害防止計画においても
「過重労働による健康障害防止対策を講じた上で、労働者一人ひとりの気づきを促すための教育、研修等
の実施、事業場内外の相談体制の整備、職場復帰対策等を推進すること」を重点として対策を推進してい
るところである。
とりわけ、メンタルヘルス不調の早期発見と適切な対応はメンタルヘルス対策上、重要であるため、メ
ンタルヘルス不調を感じた労働者がいつでも相談できる相談体制の整備とともに、相談時においてメンタ
ルヘルス不調を把握した場合には、迅速に医療機関等に取り次ぎできる仕組みの構築が必要である。
このようなことから、事業場に対してメンタルヘルスの相談担当者の配置や事業場外資源の有効な活用
についての啓発指導を行うとともに、事業場外資源のうちメンタルヘルス相談の専門機関(以下「相談機
関」という。)に関し、一定の要件を満たしたものについて登録・公表することにより、メンタルヘルス
に係る優良な事業場外資源の確保を図り、その利用を促進することとしているところである。
今般、上記相談機関の登録基準を別紙1のとおり定めるとともに、平成20年度にあっては「メンタルヘ
ルス不調者等の労働者に対する相談機関による相談促進事業」を別紙2のとおり独立行政法人労働者健康
福祉機構に委託して実施することとした。
ついては、下記事項に留意の上、本事業の効果的かつ円滑な推進に遺憾なきを期されたい。
なお、本職より別添のとおり関係団体あて協力依頼をしたので、了知されたい。
記
1 本事業の積極的な周知・広報について
(1)各都道府県に設置されることとなるメンタルヘルス対策支援センターと連携し、事業場及び対象と
なる相談機関に対して本事業の周知を図ること。
また、相談機関から本事業に関する問い合わせ、照会等に対応するとともに、必要に応じ、登録基
準を周知し、登録の推奨を図ること。
なお、今般、登録基準を定めた背景には、現在の相談機関は、
・ 同種サービス内容であっても、サービスを提供する相談機関によってその水準に大きな差が
あること
・ 相談機関の案内に記載している専門職が、実際には実務に就いていない、いわゆる「名義貸
し」も散見されること
等の問題のあることが専門家から指摘されており、これらを踏まえ、事業場が相談機関の能力をより
一層活用してメンタルヘルス対策を推進するためには、相談機関の相談体制、サービスの内容等を透
明化し、事業場がそれらを把握できるようにするとともに、相談機関の提供するサービスの質を確保
することが必要となっている。ついては、相談機関のサービスの質の確保・向上を図る観点から、本
事業の登録予定の有無等に関わらず、相談機関に対しては登録基準の周知を図ることが肝要であるこ
と。
(2)平成20年度にあっては、本事業を独立行政法人労働者健康福祉機構に委託したことから、メンタル
ヘルス対策支援センターは都道府県産業保健推進センターに設置されることとなること。
2 事業場内の体制整備について
事業場が相談機関を有効に活用するには、相談機関との連絡調整を行う体制の整備や事業場内におけ
る相談体制の整備を始めとするメンタルヘルス対策の推進が不可欠である。
このため、上記役割を担う者として、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(平成18年3月31
日健康保持増進のための指針公示第3号)5(3)に基づき、衛生管理者、衛生推進者等の事業場内産業保
健スタッフ等の中から事業場内メンタルヘルス推進担当者を選任するよう啓発指導を行うこと。
3 地域における事業場外資源のネットワークについて
本事業は、事業者と契約を結び有料で面接によるメンタルヘルスに関する相談を実施する医療法上の
医療提供施設以外の相談機関を対象としているところであるが、本事業とは別に、地域の実情に応じ、
各地域において医師会、精神科病院協会、精神神経科診療所協会、産業保健推進センター等が協力し、
医療機関等の情報を事業場に提供する取組を行っているものについて、この取組を妨げるものではない
こと。