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改正履歴
基発第774号
平成9年12月25日
第二種圧力容器(車載圧力容器も含む。)、小型ボイラー及び小型圧力容器(以下「第二種圧力容器等」
という。)については、その使用時における安全の確保を図るため、労働安全衛生法(昭和47年法律第57
号)第44条第1項に基づき、製造・輸入段階において個々の容器ごとに個別検定代行機関等が行う検定
(以下「個別検定」という。)を受けることが義務付けられている。
個別検定代行機関等においては、この法令等に基づき、個々の容器ごとに構造規格に規定する全ての事
項について適合性の確認がなされてきたところである。
しかし、第二種圧力容器等の一部の製造者において、近年、品質管理等の水準に向上が見られること等
の状況を踏まえ、今般、下記のとおり一定の条件の下に個別検定の現行の運用を簡素化することとしたの
で、関係事業場に対して周知徹底を図るとともに、その適正な運用に遺憾なきを期されたい。
なお、本件については、規制緩和推進計画(平成9年3月28日閣議決定)に盛り込まれた事項である。
おって、第二種圧力容器等に係る個別検定代行機関に対しては、別添のとおり通知したので、了知され
たい。
記
T 個別検定の簡素化の対象とすべき設備の種類
個別検定の簡素化の対象とすべき設備の種類は、第二種圧力容器等とする。
U 個別検定の簡素化の対象とすべき生産システムの範囲
個別検定の簡素化の対象とすべき生産システムの範囲は、同一型式(第二種圧力容器等の明細書に記
載されている項目の内容が同一のものをいう。以下同じ。)の第二種圧力容器等が自動溶接、流れ作業
等の生産方法を用いて継続的に計画生産されている場合とする。
V 個別検定の簡素化の対象となる製造者が具備すべき要件
個別検定の簡素化の対象となる製造者が具備すべき要件は、品質管理、生産管理等が良好であり、か
つ、過去の個別検定の実施結果が良好であること等とし、その具体的な内容は、次のとおりとする。
1 品質管理
(1) 品質管理システム
[1] 製造者は、品質管理システムの手順書を作成(「改訂」も含む。以下同じ。)し、保管す
るとともに、品質管理の経験を3年以上有する品質管理責任者を選任し、当該品質管理責任
者に品質管理システムが手順書に従い的確に実施されるように管理させること。
また、製造者は、品質管理者の選任・解任記録を保管すること。
[2] 上記[1]の品質管理責任者は、次に掲げる業務を行うこと。
イ 品質管理計画(設計管理及び購買品管理を含む。)
ロ 製品の品質の評価
ハ 検査・試験の管理
ニ 不適合品に関する補修・廃棄措置及び対策の管理
ホ 品質管理に関する教育訓練の進行管理
(2) 検査・試験
製造者は、製品が構造規格に適合していることを確認するために、次の事項について管理する
こと。
[1] 材料検査、外観検査、水圧試験等の検査・試験の手順書を作成し、保管するとともに、こ
の手順書に基づく実施結果を記録し、保管すること。
[2] 検査・測定・試験の装置を構成する手順書を作成し、保管するとともに、この手順書に基
づく実施結果を記録し、保管すること。
[3] 次の事項に関する手順書を作成し、保管するとともに、この手順書に基づく実施結果を記
録し、保管すること。
イ 不適合品の識別、補修・廃棄措置の基準及び方法
ロ 不適合品発生の原因究明及び再発防止の方法
ハ 再検査の記録
ニ 不適合品の記録
ホ 不合格品及び条件付き合格品(以下「不合格品等」という。)の発生率の記録
(3) 教育・訓練
製造者は、品質に関連する業務に従事する者に対する教育・訓練の計画、資格認定等に関する
手順書を作成し、保管するとともに、この手順書に基づく実施結果を記録し、保管すること。
2 生産管理
製造者は、生産管理に関する事項のうち次のものについて手順書を作成し、保管するとともに、生
産管理が手順書に従い的確に実施されるように管理すること。
また、製造者は、この手順書に基づく実施結果を記録し、保管すること。
(1) 製缶、組立作業等
(2) 溶接作業
[1] 溶接施工法の選定
[2] 溶接作業に従事する者の資格等の事前確認の方法及び確認の記録
[3] 次の事項の作業開始前における点検
イ 溶接継手の開先角度、食違い、清浄度等
ロ 溶接機の作動状況
ハ 溶接施行法
[4] 次の事項の作業終了後における確認
イ 溶接部の余盛りの高さ
ロ 溶接部のピンホール、アンダカット、オーバーラップ等欠陥の有無
3 個別検定の実施結果
過去延べ3年間における不合格品等の発生率が0.5%以下であること。
ただし、品質管理等の改善により、過去1年間における不合格品等の発生率0.5%以下であった場
合は、この限りではないものであること。
4 その他
製造者が過去3年間、個別検定に係る労働安全衛生関係法令に違反していないこと。
W 個別検定の簡素化の内容
Vの2の認定を受けた製造事業場に対する個別検定の簡素化の内容は、次のとおりとする。
1 初回の個別検定
個別検定代行機関等には、同一型式の初回の個別検定時には、申請書、明細書、図面、強度計算書、
ミルシート等の書類審査及び材料検査、外観検査、水圧試験、附属品の検査等の実地検査を行うこと。
2 2回目以降の個別検定
2回目以降の個別検定時は、原則として、書類審査のうち明細書を除く添付書類(図面、強度計算
書、ミルシート等)の審査及び実地検査のうち水圧試験(濡れ等を確認するための溶接部等の外観検
査を含む。)を除く検査項目(材料検査、外観検査、附属品の検査等)を省略することができること。
ただし、個別検定代行機関等は、必要に応じ、省略した項目について書類検査又は実地調査を行う
ことができること。
X 個別検定の簡素化の手続き
個別検定の簡素化の手続きに関する事項は、次のとおりとする。
1 申請
個別検定の簡素化の適用を受けようとする製造者は、製造事業場ごとに申請書及びIからIIIの要件
に適合することを明らかにする添付資料(以下「申請書類」という。)を個別検定代行機関等に提出
すること。
2 審査及び結果通知
個別検定代行機関等は、申請者から提出された申請書類の内容を審査した上、IからIIIの要件の適
合性を判定(以下「認定」という。)し、その結果を申請者に通知すること。
3 認定の有効期間
認定の有効期間は、3年間とすること。
4 認定の変更手続き
認定を受けた者は、軽微な変更の場合を除き、申請書類の内容に変更が生じる場合、事前に個別検
定代行機関等による認定を受けること。
なお、軽微な変更の場合は、個別検定代行機関等に当該変更内容を報告すること。
5 設定の更新手続き
設定の有効期間の更新を受けようとする者は、TからVの要件に適合することを明らかにする申請
書類を個別検定代行機関等に提出すること。
ただし、前回の認定申請内容に変更がない事項については、その旨記載することにより当該事項の
添付資料を省略することができること。
6 その他必要な事項
その他申請書の様式、添付資料の種類等認定手続きの細目については、個別検定代行機関等が別途
定めるものであること。
Y その他
1 個別検定代行機関等の留意事項
個別検定代行機関等は、個別検定の受検によって製造事業場の生産ラインが過度に停滞することを
できるだけ避けるため、個別検定実施体制の整備、日程調整の円滑化に努めるものとする。
2 個別検定受検者の留意事項
個別検定の受検者は、生産ラインの製造能力に応じて水圧試験を同時に多数実施できる設備を設置
することや計画的な生産管理の下に十分な時間的余裕を持って個別検定の申請、受検日の日程調整を
行うことが望ましい。
別添
基発第774号の2
平成9年12月25日
(社)日本ボイラ協会会長 殿
(社)日本ボイラ・クレーン安全協会会長 殿
労働省労働基準局長
第二種圧力容器等に係る個別検定の簡素化について
労働災害の防止をはじめとする労働基準行政の推進につきましては、平素から多大な御支援と御協力を
賜り厚く御礼申し上げます。
また、第二種圧力容器、小型ボイラー及び小型圧力容器(以下「第二種圧力容器等」という。)の個別
検定については、個別検定代行機関としてその適正な実施に御尽力いただきまして併せて感謝申し上げま
す。
さて、第二種圧力容器等の一部の製造者において、近年、品質管理等の水準に向上が見られること等の
状況を踏まえ、下記のとおり一定の条件の下に個別検定の運用を簡素化することとしました。
つきましては、この趣旨を踏まえ、個別検定代行機関においても労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)
第54条において準用する同法第48条第1項後段に基づき、第二種圧力容器等の個別検定に係る業務規程の
変更許可申請を行うとともに、その適正な運用に万全を期されるようお願い申し上げます。
また、本件の概要を機関誌に掲載されるとともに、本件の内容及び手続きをわかりやすくとりまとめた
手引き書を作成され、本件の対象となる第二種圧力容器等の製造事業場に対して配布、説明される等その
周知に努めていただきますよう併せてお願い申し上げます。