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光線式起動装置を取り付けたプレス機械の災害防止について

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                                                                                    内翰
                                                                          平成9年5月15日

  標記について、関係団体に対して、別添のとおり指導を行ったので、了知するとともに、関係団体、関
係事業場から問い合わせ等があった場合には、本事務連絡の趣旨に沿った指導を行われたい。

別添

平成9年5月15日

社団法人  日本金属プレス工業協会  会長
社団法人  日本鍛圧機械工業会  会長
日本プレス安全装置工業会  会長      あて

労働省労働基準局安全衛生部  安全課長

光線式起動装置を取り付けたプレス機械の災害防止について

  プレス災害の防止につきましては、平素からご協力いただき厚く御礼申し上げます。
  さて、先般、岡山県内の事業場において、プレス作業従事者が作業中に光線式起動装置を取り付けたプ
レス機械の金型に右手指を挟まれ、右手の指3本を挫滅という災害が発生いたしました。(別紙参照)
  プレス機械の光線式起動装置につきましては、一定の要件のもとに安全装置として認めること等の必要
な安全基準を本年度中に策定するため、現在、労働省から(社)産業安全技術協会に対して検討を依頼して
いるところですが、当該起動装置については、プレス機械の起動に際して、スイッチを押す等の作業者の
明確な意思による行為がなくても起動するという点で他の起動装置と異なる危険性を有するものであり、
安全基準が策定されるまでの間に同種災害が発生するという事態も懸念されるところです。
  つきましては、貴協会におかれましては、光線式起動装置の安全基準が策定されるまでの間、下記の事
項に留意の上、プレス作業時の安全確保について再度検討を行い、同種災害の発生防止に万全を期するよ
う、会員事業場に対する周知徹底方よろしくお願い申しあげます。
記
1  プレス機械の光線式起動装置を開発・導入するに当たっては、機械装置及び作業の安全性について事
  前に十分な検討を行うこと。
    なお、現状においては、プレス機械の光線式起動装置については、労働安全衛生法施行令第13条第1
  号に規定する「プレス機械の安全装置」に該当しないので、プレス機械に光線式起動装置を設置した場
  合であっても、光線式安全装置などの有効な安全装置を設置する必要があるので注意すること。
2  作業者の意思に反して、光線式起動装置の有効範囲から作業者の腕、手、指等の身体の一部が外れ、
  プレス機械が起動することのないよう、プレス機械の光線式起動装置の有効範囲の上面、下面、側面等
  にガード、囲い、テーブル等を設置する等の措置を講ずること。
3  光線式起動装置を取り付けたプレス機械を使用して行うプレス作業に係る作業標準を作成すること。
4  光線式起動装置を取り付けたプレス機械を使用して行うプレス作業の従事者に対する安全衛生教育を
  十分に実施すること。

別紙

光線式起動装置を取り付けたプレス機械による災害の概要

1  被害
    右手人差し指第一関節挫滅
    右手薬指第一関節挫滅
    右手小指先挫滅
2  災害の概要
    制御機能付き光線式起動装置(Presence Sensing Device Initiation  略称PSDI)を取り付けた
  プレス機械による自動車部品の加工作業中において、曲げ加工を行った製品を左手で取りコンベヤーに
  載せる際に、製品を床に落としたため、左手でそれを取ろうとしたが、右手を引いて光線式起動装置の
  有効範囲から外すと、プレス機械を空打ちさせ、カウンターの数と部品数が異なることになるため、右
  手をプレス機械の金型内に入れた状態でしゃがんだところ、右腕が下がり光線式起動装置の有効範囲の
  下方へ右手が外れたため、プレス機械が起動し、右手の指3本がはさまれ挫滅した。
    なお、プレス機械に取り付けられていた制御機能付き光線式起動装置は、二列の光線の光軸の遮光過
  程を遮光過程判断回路により判断するようになっており、材料を金型にセットし、プレス加工後、製品
  を取り出す作業者の手の動きを、手の進入、後退の順序で判断して、適正であれば起動するものであっ
  た。
3  災害発生原因
  (1)  プレス機械の光線式起動装置の開発・導入に当たり、機械装置及び作業の安全性について事前に
      十分な検討を行わなかったこと。
  (2)  プレス機械の光線式起動装置の有効範囲の下面にガード、テーブル等を設置する等により、作業
      者の意思に反して、光線式起動装置の有効範囲から腕、手、指等の身体の一部が外れないような措
      置を講じていなかったこと。
  (3)  プレス作業に係る作業標準を作成していなかったこと。
  (4)  プレス作業の従事者に対する安全衛生教育が不十分であったこと。