ボイラー及び第一種圧力容器の運転時検査に関する認定について
(平成14年3月29日基発第0329018号により廃止) |
改正履歴
ボイラー及び圧力容器安全規則の一部を改正する省令(平成8年労働省令第2号)による改正後のボイ
ラー及び圧力容器安全規則(以下「ボイラー則」という。)第40条第1項ただし書及び第75条第1項ただ
し書の規定により、「所轄労働基準監督署長が認めたボイラー又は第一種圧力容器(以下「ボイラー等」
という。)については、冷却及び掃除をしない状態で性能検査を受けることができることとしたところで
あり、この結果、ボイラー等の運転時に性能検査を受けることができることとなった。(以下、この所轄
労働基準監督署長が認めたボイラー等について運転時に行う性能検査を「運転時検査」という。)
この点について、平成8年3月22日付け基発第141号「ボイラー及び圧力容器安全規則の一部を改正す
る省令の施行について」では、労働基準監督署長の認定に係る判断基準等を別途指示するとしているとこ
ろであるが、その判断基準として別添のとおり運転時検査認定要領を作成したので、下記に留意の上、そ
の運用に遺憾のないようにされたい。
なお、昭和60年12月18日付け基発第700号「ボイラー及び第一種圧力容器の検査証の有効期間の取扱い
について」は平成8年4月1日をもって廃止する。ただし、当該通達に基づき検査証の有効期間が定めら
れているボイラー等であって、平成8年4月1日において検査証の有効期間が存するボイラー等について
は、その有効期限までは、同通達を適用することとする。
記
1 ボイラー等が運転時検査認定要領に基づき所轄労働基準監督署長により認定され、かつ、当該ボイラ
ー等について過去1年以内に実施された前回の性能検査が、冷却及び掃除をした状態で行われた場合に
限り、運転時検査が実施できることとすること。
2 運転時検査は、性能検査代行機関が実施するものとすること。
別添
運転時検査認定要領
1 認定の申請
(1) ボイラー及び圧力容器安全規則(以下「ボイラー則」という。)第40条第1項ただし書及び第75
条第1項ただし書の規定に基づく労働基準監督署長の認定(以下「認定」という。)の申請は、認
定を受けようとするボイラー又は第一種圧力容器(以下「ボイラー等」という。)を設置している
事業場ごとに行うものとする。
(2) 認定の申請を行おうとする者(以下「認定申請者」という。)は、様式第1号の運転時検査認定
申請書正本1通及び副本1通に、後述する2の事前審査の結果を添付し、認定に係る事業場の所在
地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)に提出するものとする。
(3) (1)の申請には、正本及び副本のそれぞれに、後述する4の(3)の審査項目について説明した書類
を添付しなければならない。
2 事前審査
(1) 認定の事前審査を受けようとする者は、認定の申請を行おうとするボイラー等を設置している事
業場ごとに、性能検査代行機関に申請するものとする。
(2) 事前審査は、性能検査代行機関内に設置する審査委員会(学識経験者及び性能検査代行機関で構
成されるもの(以下「事前審査委員会」という。))において、後述する4の(3)に係る技術的な
事項について書類審査及び現地調査に基づいて行うものとする。
(3) 事前審査の申請を受けた性能検査代行機関は、事前審査の結果を当該申請者に通知しなければな
らない。
(4) 労働省は性能検査代行機関に対し、事前審査に関する必要な指導等を行うものとする。
3 認定申請者の要件
認定の申請を行うことができる者は、認定に係るボイラー等及び事業場について、以下の要件をすべ
て満たす者とする。
(1) 認定を受けようとするボイラー等について、直近3回(新品の場合は2回)の性能検査に完全合
格(性能検査の結果、修繕、取替えその他の措置を必要とする旨の指示が検査証に記入されていな
いものをいう。)していること。ただし、次の条件のすべてを満たすボイラー等を新設した場合は
この限りではない。
イ 新設したボイラー等が新品であり、交換前のボイラー等と同種同形式で、かつ、材料、性能が
同等程度であるもの
ロ 交換前のボイラー等と当該ボイラー等の使用条件が同等程度であるもの
ハ 交換前のボイラー等が直近3階の性能検査に完全合格し、有効期間中に廃止されたもの
ニ 当該ボイラー等が工場のプラントに組み込まれ、その運転を廃止すると当該プラント全体の運
転を停止しなければならないもの
(2) 当該事業場が過去3年間に次のいずれかの場合にも該当していないこと。
イ 重大災害(当該事業場の安全管理と関係が希薄なものを除く。)又は社会的に問題となった事
故を起こしたことがあるとき。
ロ 労働安全衛生規則第96条第1項第2号又は第3号に規定する事故を起こしたことがあるとき。
ハ ボイラー則等関係法令が確実に遵守されていないと認められるとき。
ニ 労働安全衛生関係法令の重大な違反が認められるとき。
(3) 当該事業場が後述する8に基づく認定の取消しを受けた場合にあっては、当該取消しの日から3
年以上経過していること。
4 認定申請の審査
(1) 所轄労働基準監督署長は、事前審査委員会における事前審査の結果を勘案し、認定の可否を決定
する。
(2) 所轄労働基準監督署長は、認定の可否について、様式第2号の運転時検査認定通知書又は
様式第3号の運転時検査審査結果通知書により、当該認定の申請に係る事業場及び事前審査を行
った性能検査代行機関に通知するものとする。
(3) 認定申請の審査は、次に掲げる項目について行うものとする。
イ 認定申請者の要件
ロ 安全管理体制
ハ 運転管理体制
ニ 保全管理体制
ホ 自動制御装置等
(4) (3)の審査は、別紙1の「運転時検査審査基準」により行うものとする。
(5) 所轄労働基準監督署長は、様式第7号の運転時検査認定審査処理簿により審査の処理の記録を行
い、保存するものとする。
5 認定の有効期間
認定の有効期間は、認定の日から5年間とする。
6 変更の認定
(1) 認定を受けた者は、4の(3)のロからホまでの審査項目について変更する場合には、当該変更につ
いて所轄労働基準監督署長の認定を受けなければならない。ただし、軽微な変更についてはこの限
りでない。
(2) 変更の認定の申請を行おうとする者は、様式第4号の運転時検査変更認定申請書の正本1通及び
副本1通に事前審査委員会における当該変更の認定に係る事前審査の結果を添付して、所轄労働基
準監督署長に提出するもとする。
(3) (2)申請書には、4の(3)のロからホの審査項目のうちの変更部分を説明した書類を添付しなけれ
ばならない。
(4) 変更の認定の事前審査及び審査については、2及び4の規定を準用するものとする。ただし、事
前審査及び審査は前回の認定又は変更の認定以降の変更部分について行うものとする。
7 認定の更新
(1) 認定の有効期間の更新(以下「認定更新」という。)を受けようとする者は、5の有効期間ごと
に様式第5号の認定更新申請書に事前審査委員会における当該認定更新に係る事前審査の結果を添
付し、所轄労働基準監督署長に提出するものとする。
(2) (1)の申請書には、認定更新時における4の(3)の審査項目について説明した書類を添付しなけれ
ばならない。
(3) 認定更新の事前審査及び審査については、2及び4の規定を準用するものとする。
8 認定の取消し
(1) 所轄労働基準監督署長は、認定に係るボイラー等を設置している事業場について次に掲げる事由
のいずれかに該当するに至った場合は、当該事業場の全てのボイラー等の認定を取り消すことがで
きる。
イ 3に掲げる要件に適合しなくなったとき。
ロ 4の(3)の審査項目について運転時検査審査基準を満たさなくなったとき。
ハ 6の(1)の変更の認定を受けずに4の(3)のロからホまでの審査項目について変更したとき。
ニ 認定後に行われる性能検査において、当該ボイラー等が不合格又は条件付合格(性能検査の結
果、修繕、取替えその他の措置が取られることを条件に合格とするものであり、その条件が検査
証に記入されているものをいう。)となったとき。
(2) 所轄労働基準監督署長は、認定を取り消すに当たっては、(1)の取消事由の発生の事実を確認する
ため、認定に係るボイラー等を設置している事業場から事情を聴取するとともに、必要に応じ、事
前審査委員会の意見を聴くものとする。
(3) 所轄労働基準監督署長は、認定を取り消した場合は、当該事業場及び運転時検査の実施を予定し
ている性能検査代行機関に通知するものとする。
9 性能検査代行機関の報告
性能検査代行機関は、認定後に行われる性能検査において取消事由に該当する事実を認めた場合は、
様式第6号の運転時検査取消事由報告書により、所轄労働基準監督署長に報告するものとする。
別紙1
運転時検査審査基準
申請内容が、次の審査項目ごとに示されている基準をすべて満たすものであること。
1 認定申請者の要件
運転時検査認定要領の3に示されている項目の要件がすべて満たされていること。
2 安全管理体制
(1) 組織
イ 事業場に安全管理組織が定められていること。
ロ 事業場の最高責任者が総括安全衛生管理者に選任されている等安全管理を総括していること。
ハ 事業場の安全管理、ボイラー等の運転管理及び保全管理に関してそれぞれ専門の組織が確立さ
れ、各組織の職務分担が明確にされており、その相互間の連絡調整がとれる機能を有する体制と
なっていること。
ニ 本社等に各事業場の安全管理を総括管理(監査、指導、支援等)する専門の組織があり、事業
場に対する監査、指導及び支援等を行っていること。
(2) 安全部門
イ 事業場全体の安全管理を担当する独立した専門の組織(例 安全課)があること。
ロ 安全部門の責任者は、安全に対する十分な知識及び経験を有する者であること。
(3) 安全管理活動
イ 事業場における安全管理計画が年度ごとに定められ、実施されていること。
ロ 平素から安全活動が事業場において的確に行われていること。
3 運転管理体制
(1) 組織
イ ボイラー等の運転管理のための専門の組織(例 動力課)が確立されていること。
ロ ボイラー等の運転の指揮命令系統が明確にされていること。
ハ ボイラー技士等必要な有資格者がいて、運転等のために配置されていること。
(2) 運転操作
ボイラー等の運転等に関して、別紙2の「運転操作基準」に適合した基準が確立されており、か
つ、ボイラー等の運転等が当該基準にしたがって実施されていること。
(3) 水管理
イ ボイラーについて自社内又は専門業者において水質分析・監視がなされていること。
ロ 水質管理の項目及び基準値は、JIS B8223又はボイラー製造業者の定めるところによることと
し、監視のための分析頻度はボイラーの運転条件により定められていること。
(4) 日常点検
別紙3の「日常点検基準」に適合した基準が定められ、当該基準による日常点検が実施されてい
ること。
(5) 緊急時措置
イ ボイラー等の異常発生時の報告体制、指示系統及び責任の所在が明確であること。
ロ ボイラー等の設備の異常、運転に関する異常等に対処するための方法が定められていること。
ハ ボイラー等に関する緊急時の措置のうち重要事項については、操作室、ボイラー設置場所等の
見やすい場所に掲示することなどにより、周知徹底を図っていること。
ニ 関係者に対し、ボイラー等に関する緊急時の措置を教育訓練により十分習熟されていること。
ホ ボイラー等の異常発生時の、関係機関への連絡のルールが確立させていること。
(6) 安全教育
イ 安全に関する教育を担当する組織(例 安全課)があり、ボイラー等の安全教育についても実
施されていること。
ロ ボイラー等の安全教育が安全教育計画に基づき実施され、かつ、実地訓練がなされていること。
ハ ボイラー等の安全教育の実施結果として実施年月日、教育項目、教育方法、教育教材、講師名
及び受講者が記録されていること。
(7) 安全装置等の維持管理
イ 安全弁等の安全装置、各種警報装置、インターロックシステム、補機類の予備機、自動起動シ
ステム及び計装用の予備電源システムの機能等について、その維持管理基準が明確にされている
こと。
ロ ボイラー等の自動制御装置について、疑似信号による作動試験等機能を確認する方法が明確に
され、作動試験等が定期的に実施されていること。ただし、安全確保と関係がない装置について
はこの限りではない。
(8) 記録
ボイラー等について、次の記録が整備され、所定の期間保存されていること。
イ 運転の記録(例 運転データ、日誌等) 3年
ロ 水管理の記録(ボイラーに限る。) 3年
ハ 日常点検の記録 1年
ニ 異常発生及びその際に講じた措置の記録 設置期間中
ホ 安全装置等の作動機能テストの記録 3年
4 保全管理体制
(1) 組織
保全に関する専門の組織(例 保全課、営繕課)が確立されていること。
(2) 保全管理基準
ボイラー等について、次の事項についての基準が定められて実施されていること。
イ 定期点検等の点検について、点検項目、点検方法、点検周期等の基準
ロ 点検の結果に基づく整備等の基準
ハ ボイラー等の損耗、腐食及びき裂の経年変化のデータを定量的に把握し、評価する基準
ニ ボイラー等を停止又は休止している期間の長さに応じた保全基準
ホ 2年間の連続運転のために特に講じた措置
(3) 予備品管理基準
イ 予備品台帳が整備されていること。
ロ 予備品の適正な在庫量についての基準が定められていること。
ハ 予備品を管理する責任者が選任されており、適切な管理が行われていること。
(4) 経歴管理基準
イ 経歴管理の対象は、本体、燃焼装置(ボイラーに限る。)、自動制御装置及び付属品とするこ
と。
ロ 経歴管理の対象及び項目ごとに点検方法、点検結果、補修した場合におけるその方法及び結果
並びに点検(補修を含む。)の責任者名を記録していること。
ハ 経歴管理及び検査結果により運転管理計画及び保全管理計画が作成されていること。
(5) データ等の活用
イ 各種検査の結果、保全データ等を総合的に解析し、当該データの解析評価結果をボイラー等の
運転、保全、運転時検査等において活用できる体制が整備されていること。
ロ 運転記録、保全記録等がボイラー等の修理の要否の判断、寿命の推定に有効に活用されている
こと。
5 自動制御置等
認定を受けようとするボイラー等の自動制御装置等が、別紙4の「自動制御装置等基準」を満たして
いること。
別紙 2
別紙 3
日常点検基準
イ ボイラー (表)
ロ 第一種圧力容器 (表)
別紙 4
自動制御装置等基準
(1) ボイラー (表)
(2) 第一種圧力容器 (表)
参考