静電気帯電防止作業服及び静電気帯電防止用作業靴の性能、試験方法等の
基準について |
改正履歴
基発第557号
平成8年9月6日
平成7年1月26日の労働安全衛生規則の一部改正(平成7年労働省令第3号)により、事業者は、爆発
の危険のおそれがある場所において作業を行うときは、労働者に静電気帯電防止作業服及び静電気帯電防
止用作業靴(以下「帯電防止作業服等」という。)を着用させる等労働者の身体、作業服等に帯電する静
電気を除去するための措置を講じなければならないとされたところである。
また、平成7年2月20日付け基発第76号「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び労働安全衛
生規則及び特定化学物質等障害予防規則の一部を改正する省令の施行について」により、帯電防止作業服
等は、日本工業規格T8118(静電気帯電防止作業服)及び日本工業規格T8103(静電気帯電防止用安全・作
業靴)にそれぞれ適合するもの又はこれと同等以上の性能を有するものをいうものであることとしたとこ
ろである。
今般、上記日本工業規格に定められていない布製等の静電気帯電防止用作業靴について、日本工業規格
に適合するものと同等以上の性能を有するものの具体的な基準を明確にするとともに、帯電防止作業服等
について、試験を行うための施設、試験の実施体制等について望ましい基準を定めるため、別添のとおり
標記基準を策定したところである。
ついては、本基準について、関係者への周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされた
い。
なお、関係団体に対し別紙により、通知したので申し添える。
別添
静電気帯電防止作業服及び静電気帯電防止用作業靴の性能、試験方法等の基準
1 趣旨
平成7年2月20日付け基発第76号「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び労働安全衛生規
則及び特定化学物質等障害予防規則の一部を改正する省令の施行について」の記の第2のIIの4におい
て、静電気帯電防止作業服及び静電気帯電防止用作業靴は、それぞれ日本工業規格T8118(静電気帯電
防止作業服)(以下「日本工業規格T8118」という。)及び日本工業規格T8103(静電気帯電防止用安全・
作業靴)(以下「日本工業規格T8103」という。)に適合するもの又はこれと同等以上の性能を有する
ものをいうものであることとなっている。
本基準は、静電気帯電防止作業服及び静電気帯電防止用作業靴について、日本工業規格に適合するも
のと同等以上の性能を有するものの基準及び試験を行う施設、試験の実施体制等についての望ましい基
準について定めたものである。
2 革製及び総ゴム製以外の布製等の静電気帯電防止用作業靴
革製及び総ゴム製以外の布製等の静電気帯電防止用作業靴(以下「布製等静電気帯電防止用作業靴」
という。)にあっては、次に定める性能等及び試験方法に適合するものを日本工業規格T8103に適合す
るものと同等以上の性能を有するものとする。
(1) 性能等
布製等静電気帯電防止用作業靴の性能は、日本工業規格T8103によることとし、構造及び材料は、
労働省産業安全研究所用品構造基準(以下「用品基準」という。)の帯電防止用作業靴に定めると
ころによること。
(2) 試験方法
イ 性能
性能の試験方法は、日本工業規格T8103に定める第1試験方法によること。
ロ 構造及び材料
構造及び材料の確認は、目視及び構造、材料の概要を示す資料、図面等により行うこと。
3 試験のための試料、試験を行う施設及び設備等
静電気帯電防止作業服及び静電気帯電防止用作業靴については、日本工業規格に適合するもの又はこ
れと同等以上の性能を有するものにあっても、性能等の試験のための試料、試験を行う施設及び設備、
試験の実施体制等については、次により整備することが望ましいものであること。
(1) 静電気帯電防止作業服
イ 生地
生地については、用品基準の導電性繊維入り帯電防止織編物・不織布に定めるところによるこ
と。
ロ 性能等の試験のための試料
性能等の試験は、型式試験とし、試験試料は、同一型式のものの中から適切な抜取り法によっ
て、試験試料とその点数を定めること。
なお、同一型式とは、静電気帯電防止作業服の性能に関係する要因が同一のものをいうこと。
ハ 試験を行う施設及び設備
(イ) 施設
[1] 試験室
試験室は、性能等の試験の適正な実施を確保するため適切な広さ及び構造を有し、か
つ、設備の点検及び整備を容易に行うことのできる配置が可能であること。
[2] 試験品等の保管施設
試験品、試験片、標準布(以下「試験品等」という。)の保管施設は、これらを適切
な状態で保管できる機能を有すること。
(ロ) 設備
[1] 帯電電荷量測定装置
コンデンサの電位を測定する回路には、コンデンサ短絡用のスイッチを設けること。
また、本装置に使用される絶縁材料、コンデンサ、スイッチ、リード線等は、測定電
位の精度が減少しない特性のものとし、電位計のケーブルは、絶縁性能、シールド性能
の優れた専用の同軸ケーブルとすること。
[2] 標準布
標準布は、ドラム回転式摩擦装置のドラム内張り又は試験片摩擦装置の摩擦棒及び敷
台に取り付ける摩擦布として使用するもので、日本工業規格L1094(織物及び編物の帯
電防性試験方法)による仕様を有するアクリル布及びナイロン布とすること。
[3] 試験品等の除電装置
試験品等の除電装置は、摩擦装置等へ投入する前の試験品等の静電気を除電する装置
であり、試験品等の除電が十分にできる電圧印加式除電器等とすること。
[4] 摩擦装置用除電装置
摩擦装置用除電装置は、摩擦試験前に摩擦装置に取り付けた標準布を除電する装置で
あり、除電が十分にできる送風型電圧印加式除電器等とすること。
[5] 帯電電位測定器
帯電電位測定器は、摩擦試験前に除電した試験品等又は摩擦装置に取り付けられた標
準布等の除電状態又は帯電状態を、電位によって確認するために使用するものであり、
帯電電位の測定に十分な精度及び感度が得られる非接触型の表面電位計(静電気測定
器)等とすること。
[6] ブランク試験品等
ブランク試験品等は、摩擦帯電試験の信頼性を試験するために使用する帯電防止され
ていない模擬試験品等であり、安定した所定の摩擦帯電量が得られる寸法・材質の試験
品等とすること。
ニ 試験の実施体制
(イ) 試験機関の体制
静電気帯電防止作業服の性能等の試験機関は、必要な施設、設備等が整備され、かつ、信
頼性のある試験を実施するために、運営管理者、試験実施責任者及び信頼性保証責任者から
なる管理体制が整備されていること。
(ロ) 運営管理者等の業務
[1] 運営管理者
運営管理者は、試験実施責任者を指名するとともに、試験施設等の整備、試験業務の
管理、試験技術の向上等、試験に係る業務の全般的な把握とその運営管理を行うこと。
[2] 試験実施責任者
試験実施責任者は、試験技術に関する十分な専門知識を有し、かつ、試験業務に1年
以上の経験を有する者から選任し、試験の実施計画、試験の実施、試験結果の技術的評
価、試験結果書の作成、試験施設等の維持管理、試験実施手順書の作成、試験担当者の
指導等を行うこと。
なお、試験実施責任者は、試験技術を習熟するため、専門講習等を受けることが望ま
しいこと。
[3] 信頼性保証責任者
信頼性保証責任者は、試験品の保管、試験結果書の保管、試験に関する記録、試験結
果の信頼性検討等の試験に関する信頼性保証業務を行うこと。
なお、信頼性保証責任者は、運営管理者及び試験実施責任者と兼務することができな
いこと。
(2) 静電気帯電防止用作業靴
イ 性能等の試験のための試料
性能等の試験は、型式試験とし、試験試料は、同一型式のものの中から適切な抜取り法によっ
て、試験試料とその点数を定めること。
なお、同一型式とは、静電気帯電防止用作業靴の性能に関係する要因が同一のものをいうこと。
ロ 試験を行う施設及び設備
(イ) 施設
[1] 試験室
試験室は、性能等の試験の適正な実施を確保するため適切な広さ及び構造を有し、か
つ、設備の点検及び整備を容易に行うことのできる配置が可能であること。
また、日本工業規格T8103に定める温度、湿度の調整ができること。
[2] 試験品の保管施設
試験品の保管施設は、これらを適切な状態で保管できる機能を有すること。
(ロ) 設備
[1] 恒温槽
恒温槽は、靴底の電気抵抗の試験を行うため、試験環境の温度を調整する装置であり、
靴底に抵抗測定電極を取り付けた試験品(左足用又は右足用の靴完成品)を十分に収納
する広さを有し、所定の条件で温度調整ができる送風式恒温槽で、その外部に配置した
抵抗測定装置と適切な接続ができるケーブル孔を有すること。
なお、恒温槽には、槽内の温度・湿度を精度よく測定できる温度計・湿度計が装備さ
れていること。
[2] 靴底抵抗測定用電極
靴の底面と接する金属板電極は、恒温槽から十分に高い絶縁抵抗で絶縁されているこ
と。
[3] 電気抵抗測定装置
直流電源は、安定度が優れ、リップルの少ない所定の電圧を供給できる直流安定化電
源とすること。
直流電圧計は、印加電圧を精度良く測定できる電子式直流電圧測定器等とすると。
直流電流計は、電気抵抗を精度良く測定できる電流測定範囲を有するエレクトロメー
タ等とすること。
記録計は、時間変化による直流電圧計の読みを正しく読み取れるペンレコーダとする
こと。
接続用のリード線、入力ケーブルは、ノイズの影響を受けず、かつ、電流の漏えいの
ないような材料を使用し、配線すること。
ハ 試験の実施体制
(イ) 試験機関の体制
静電気帯電防止用作業靴の性能等の試験機関は、必要な施設、設備等が整備され、かつ、
信頼性のある試験を実施するために、運営管理者、試験実施責任者及び信頼性保証責任者か
らなる管理体制が整備されていること。
(ロ) 運営管理者等の業務
[1] 運営管理者
運営管理者は、試験実施責任者を指名するとともに、試験施設等の整備、試験業務の
管理、試験技術の向上等、試験に係る業務の全般的な把握とその運営管理を行うこと。
[2] 試験実施責任者
試験実施責任者は、試験技術に関する十分な専門知識を有し、かつ、試験業務に1年
以上の経験を有する者から選任し、試験の実施計画、試験の実施、試験結果の技術的評
価、試験結果書の作成、試験施設等の維持管理、試験実施手順書の作成、試験担当者の
指導等を行うこと。
なお、試験実施責任者は、試験技術を習熟するため、専門講習等を受けることが望ま
しいこと。
[3] 信頼性保証責任者
信頼性保証責任者は、試験品の保管、試験結果書の保管、試験に関する記録、試験結
果の信頼性検討等の試験に関する信頼性保証業務を行うこと。
なお、信頼性保証責任者は、運営管理者及び試験実施責任者と兼務することができな
いこと。
別紙
基発第557号の2
平成8年9月6日
日本繊維産業連盟会長
(社)繊維検査協議会理事長
日本被服工業組合連合会理事長
日本安全靴工業会理事長
(社)産業安全技術協会会長 殿
労働省労働基準局長
静電気帯電防止作業服及び静電気帯電防止用作業靴の性能、試験方法等の基準について
平成7年1月26日の労働安全衛生規則の一部改正(平成7年労働省令第3号)により、爆発の危険のお
それがある場所において作業を行うときは、労働者に静電気帯電防止作業服及び静電気帯電防止用作業靴
(以下「帯電防止作業服等」という。)を着用させる等労働者の身体、作業服等に帯電する静電気を除去
するための措置を講ずることとされたところであります。
また、帯電防止作業服等については、日本工業規格T8118(静電気帯電防止作業服)及び日本工業規格
T8103(静電気帯電防止用安全・作業靴)に適合するもの又はこれと同等以上の性能を有するものをいう
ものであるとしたところであります。
今般、上記日本工業規格に定められていない布製等の静電気帯電防止用作業靴について、日本工業規格
に適合するものと同等以上の性能を有するものの具体的な基準について明確にするとともに、帯電防止作
業服等について、試験を行うための施設、試験の実施体制等についての望まし基準を定めるため、別添の
とおり標記基準を策定したところであります。
つきましては、本基準の趣旨、内容等について理解され、会員への周知、徹底方をお願い申し上げます。
(別添省略)