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改正履歴
内翰
平成8年4月月23日
林業単軌条運搬機安全管理要綱(以下「要綱」という。)は平成8年4月23日付け、基発第261号によ
り示されたところであるが、要綱に係る指導等に当たっては下記の事項に留意されたい。
記
1 要綱本文関係
(1) 要綱の対象範囲
単軌条運搬機とは、支柱等により支持され空中に設けられた軌条と台車からなるもので、ラック
アンドピニオン方式、突起輪方式(ピンの付いた車輪のピンを、軌条に開けられた穴にかみ込ませ
て駆動力を伝えるもの)等により、車輪を軌条にかみ合わせる等の形で車輪が軌条を保持しながら
走行するものであること。
要綱は人員の運搬を目的とする単軌条運搬機を主な対象としているが、荷の運搬等のため、運転
者のみが搭乗するものも対象とするものであること。
人が全く搭乗しないものは本要綱の対象とはしていないが、無人のものであっても要綱に沿って
種々の措置を講ずることが望ましいものであること。
(2) 車両
イ 車両は次のように区分していること。
台車の区分
[1] 運転台車:運転者のみが搭乗するもの
[2] 乗用台車:人員を運搬するためのもの(運転者席が設けられたもの、一部に荷物を積載
できるようにしたものを含む。)
[3] 荷物台車:荷物のみを積載するもの
ロ 上記イの[2]に記載したように、機種によっては運転台車がなく、乗用台車の前方座席に運転
者が搭乗して運転操作を行う構造のものもあること。また、乗用台車は一部に荷を積載すること
が可能な構造としたものを含むこと。
(3) 使用について
イ 乗用台車には原則として作業に使用するチェーンソー等の工具、用具を除き荷を積載しないよ
うにすること。荷物の積載部分を有する構造の乗用台車であっても、木材等で重量のあるものを
積載した場合、急傾斜部や急停止時にそれが移動、落下し、搭乗者に危険を及ぼすおそれがある
ので、重量物の積載は行わないこと。
ロ 「安全作業マニュアル」には、単軌条運搬機を使用する際の手順、操作方法、合図の方法、留
意事項等を記載するものであること。
(4) 保守管理について
年次点検については機種により異なる部分が多いため、点検項目の例を示していないが、メーカ
ーの指示に従って点検を行うこととし、必要なときは、メーカー、販売業者等十分な知識のある者
に行わせることも考慮させるようにすること。
(5) 安全教育について
運転者等に対する安全教育に当たっては、メーカーの者等十分な知識を有する者を講師とするよ
うにさせること。
2 単軌条運搬機の構造等に関する安全指導基準関係
(1) 制動装置等について
イ 定速制動装置は、傾斜地において機体の速度が過度に上昇することを防止するためのものであ
り、遠心ブレーキといったものがあること。
ロ 駐停車制動装置について、最大積載重量が640キログラム以下のものの性能の要件を示してい
るが、これは最大積載重量が640キログラム以上のものの製造、使用を禁止する趣旨ではないこ
と。
なお、単軌条運搬機の性能基準については、今後開発、改良が進められる中で技術的見直しが
必要となることも考えられるものであること。
(2) 搭乗者の保護装置について
イ 搭乗者の保護のための囲い等には座席横に設けた扉、手すり等が含まれること。
ロ 特に傾斜の大きい場所に設置するものには座席の前後などに握り棒を設けることが望ましいこ
と。
(3) 支柱について
「雨水の溜りを防止する構造」としては、支柱上部にキャップを取り付けるものなどがあること。
3 単軌条運搬機の設置に関する安全指導基準関係
(1) 設置工事について
設置を行うに当たっては、メーカー等の専門家の指導の下に行うことが望ましいものであること。
特に、複雑な地形の場合、地盤強度が十分でない場合などには、専門家の指導が必要と考えられる
こと。
(2) 設置方法について
イ 軌条の支持方法として十分な強度が確保できないような場合には鉄骨で下部を構成する、補助
支柱等をより強度の大きいものとする等の方法によることが考えられること。
ロ 軌条の高さが1mを超える部分がある場合には、非常時等に高さ1m以上の箇所で停止したと
きに安全に降車できるよう縄はしごを備える等の措置を講ずることが必要であること。
ハ 機体の逸走を防止するため、軌条の端部の手前には自動停止機構を設け、端部に激突する前に
機体が自動的に停止する構造とすることが望ましいこと。
4 単軌条運搬機点検項目(例)関係
(1) ここに示した点検項目はあくまで例示であり、単軌条運搬機の機構、構造等に応じて点検項目を
定める必要があるものであること。
(2) 作業開始前点検項目のうち、軌条、支柱、支持地盤、軌条周囲の状態については、乗車し、運転
しながら点検することで差し支えないものであること。
なお、大雨、大風や地震の後など、立木の倒壊、支持地盤の緩み等のおそれがあるときは特に慎
重に点検を行う必要があること。