アーチ型の橋梁(りょう)建設工事における橋げた等の倒壊防止に関する安全
総点検について |
改正履歴
基発第455号の3
平成5年7月15日
労働災害の防止については、従来から行政の最重点課題として各種の対策を推進してきたところである
が、7月7日、秋田県内のアーチ型の橋梁建設工事において、アーチ部が倒壊し、4名が死亡、5名が負
傷するという重大災害が発生したことは誠に遺憾である。
現在、所轄の局署において災害原因の究明と再発防止対策について鋭意調査、検討中であるが、本災害
以外にもアーチ型の橋梁建設工事において、昨年末以降、橋げた等の倒壊災害が相次いで発生している状
況にある。このような事態の重大性にかんがみ、標記について別紙により関係業界団体に対し要請を行っ
たところである。
ついては、各局においても、計画届等を通じて把握している関係事業場に対して、標記安全総点検が的
確に行われるよう適切な指導を行い、同種災害の再発防止の徹底を図られたい。
基発第455号
平成5年7月15日
建設業労働災害防止協会
(社)日本建設業団体連合会
(社)日本土木工業協会
(社)全国建設業協会 会長 殿
労働省労働基準局長
アーチ型の橋梁(りよう)建設工事における橋げた等の倒壊防止に関する安全総点検について
労働災害の防止については、従来から行政の最重点課題として各種の対策を推進してきたところであり
ますが、去る7月7日、秋田県内のアーチ型の橋梁(りよう)建設工事において、アーチ部が倒壊し、4名
が死亡、5名が負傷するという重大災害が発生したことは、誠に遺憾に堪えないところであります。労働
省においては、現在、災害原因の究明と再発防止対策の樹立のため、鋭意調査、検討を進めているところ
でありますが、本災害以外にもアーチ型の橋梁(りよう)建設工事において、昨年末以降、橋げた等の倒壊
災害が相次いで発生している状況にあります。
このような事態の重大性にかんがみ、貴団体におかれましては、会員企業に対し、計画中及び施工中の
アーチ型の橋梁(りよう)建設工事について、下記事項に重点を置いた橋げた等の倒壊防止に関する安全総
点検の実施及び点検の結果、問題のあった事項についての確実な改善の実施について徹底されるよう要請
します。
記
1 工事の計画段階における安全の確保
(1) 鋼橋又はプレストレスト・コンクリート橋架設工事に係るセーフティ・アセスメント指針による
工事の安全性の事前評価の実施
(2) 架設中の各段階における構造物及び架設用設備の強度、安定性等の事前検討の実施
(3) 作業の方法及び順序並びに部材の落下・倒壊を防止するための方法等を示した作業計画の作成
2 工事の施工中における安全の確保
(1) 上記1の(3)の作業計画に基づく適切な工事の実施
(2) 架設中の各段階における構造物の支持条件、荷重条件等が設計時の条件と合致していることの確
認
(3) 設計条件と異なる状況がみられるため、施工計画に予定されていない構造物の修正作業等を行う
場合の構造物の強度、安定性の確認
(4) ワイヤーロープ及びワイヤークリップ等の架設用設備の適切な使用及び保守点検
(5) 足場、型枠等の架設機材の保守点検
(6) 部材の落下又は倒壊のおそれのある場合の適切な控えの設置、部材の座屈・変形防止のための補
強材の取付け
(7) アーチ構造の橋梁(りよう)建設工事に十分な知識・経験を有する作業主任者等の選任及びその職
務の履行
(参考1)
橋梁(りよう)上部工工事におけるアーチ部の倒壊災害について
1 発生年月日 平成5年7月7日
2 発生場所 秋田県仙北郡田沢湖町玉川地内
3 工事名称 新玉川橋梁(りよう)上部工工事
4 工事内容 アーチ橋(アーチ径間 110m、橋長 172m)の建設工事において、既に鋼管で組み立てら
れたアーチ部にコンクリートを巻立てる工事である。
5 工 期 平成5年6月17日〜平成6年3月20日
6 請負金額 279,500,000円
7 被災状況 4名死亡、5名負傷 計9名
8 災害発生状況
アーチ橋の建設工事において、既に組立てを終えていたアーチ部の頂上付近が正規の位置より上流側
に約50cmずれていることが発見された。
このアーチ部を正規の位置に修正するため左右両岸にコンクリートベースを打設し、3基ずつ油圧ジ
ャッキを取り付けて、アーチ部頂上付近と結んだPC鋼より線(直径21.8mm)で引っ張ろうとした。
このとき、アーチ部では作業員9名が筋かいを外す作業を行っていたが、この作業中にアーチ部が上
流側に倒壊し、作業員がこれとともに墜落した。
(参考2)
基発第455号の2
平成5年7月15日
(社)プレストレスト・コンクリート建設業協会
(社)日本橋梁建設協会 会長 殿
労働省労働基準局長
アーチ型の橋梁建設工事における橋げた等の倒壊防止に関する安全総点検について
労働災害の防止については、従来から行政の最重点課題として各種の対策を推進してきたところであり
ますが、去る7月7日、秋田県内のアーチ型の橋梁建設工事において、アーチ部が倒壊し、4名が死亡、
5名が負傷するという重大災害が発生したことは、誠に遺憾に堪えないところであります。労働省におい
ては、現在、災害原因の究明と再発防止対策の樹立のため、鋭意調査、検討をすすめているところであり
ますが、本災害以外にもアーチ型の橋梁建設工事において、昨年末以降、橋げた等の倒壊災害が相次いで
発生している状況にあります。
このような事態の重大性にかんがみ、貴団体におかれましては、会員企業に対し、計画中及び施工中の
アーチ型の橋梁建設工事について、下記事項に重点を置いた橋げた等の倒壊防止に関する安全総点検の実
施及び点検の結果、問題のあった事項についての確実な改善の実施について徹底されるよう要請します。
なお、点検を行った事業場につきましては、貴団体において別紙様式により名簿を取りまとめ、9月10
日までに当職あて報告されたくお願いします。
記
1 工事の計画段階における安全の確保
(1) 鋼橋又はプレストレスト・コンクリート橋架設工事に係るセーフティ・アセスメント指針による
工事の安全性の事前評価の実施
(2) 架設中の各段階における構造物及び架設用設備の強度、安定性等の事前検討の実施
(3) 作業の方法及び順序並びに部材の落下・倒壊を防止するための方法等を示した作業計画の作成
2 工事の施工中における安全の確保
(1) 上記1の(3)の作業計画に基づく適切な工事の実施
(2) 架設中の各段階における構造物の支持条件、荷重条件等が設計時の条件と合致していることの確
認
(3) 設計条件と異なる状況がみられるため、施工計画に予定されていない構造物の修正作業等を行う
場合の構造物の強度、安定性の確認
(4) ワイヤーロープ及びワイヤークリップ等の架設用設備の適切な使用及び保守点検
(5) 足場、型枠等の架設機材の保守点検
(6) 部材の落下又は倒壊のおそれのある場合の適切な控えの設置、部材の座屈・変形防止のための補
強材の取付け
(7) アーチ構造の橋梁(りよう)建設工事に十分な知識・経験を有する作業主任者等の選任及びその職
務の履行
(参考1)
橋梁(りよう)上部工工事におけるアーチ部の倒壊災害について
1 発生年月日 平成5年7月7日
2 発生場所 秋田県仙北郡田沢湖町玉川地内
3 工事名称 新玉川橋梁(りよう)上部工工事
4 工事内容 アーチ橋(アーチ径間110m、橋長172m)の建設工事において、既に鋼管で組み立てら
れたアーチ部にコンクリートを巻立てる工事である。
5 工 期 平成5年6月17日〜平成6年3月20日
6 請負金額 279,500,000円
7 被災状況 4名死亡、5名負傷 計9名
8 災害発生状況
アーチ橋の建設工事において、既に組立てを終えていたアーチ部の頂上付近が正規の位置より上流側
に約50cmずれていることが発見された。
このアーチ部を正規の位置に修正するため左右両岸にコンクリートベースを打設し、3基ずつ油圧ジ
ャッキを取り付けて、アーチ部頂上付近と結んだPC鋼より線(直径21.8mm)で引っ張ろうとした。
このとき、アーチ部では作業員9名が筋かいを外す作業を行っていたが、この作業中にアーチ部が上
流側に倒壊し、作業員がこれとともに墜落した。
(参考2)