圧気シールド工事における噴発等による労働災害防止対策の徹底について |
改正履歴
建設業における労働災害の防止については、従来から労働基準行政の最重点課題の一つとして各種の対
策を推進してきたところである。
しかしながら、本年1月22日、東京都台東区上野5丁目地先のJR御徒町駅前において、圧気シール
ド工事における噴発事故が発生し、これに関し、上野労働基準監督署では当該工事を施工していた事業者
等を労働安全衛生法違反の疑いで送致したところであるが、近年、都市部を中心として地下工事が輻輳し
ており、同種の事故による労働災害の発生が懸念されるところである。
このような状況にかんがみ、今般、関係業界団体及び公共工事の発注機関等に対して、別添1及び別添
2のとおり、同種の事故による労働災害の防止措置を講ずるよう要請したところである。
ついては、各局においても同種の事故による労働災害の防止を図るため、関係事業者、関係発注機関等
に対し本趣旨を周知するとともに、なお一層厳格な監督指揮の実施、計画の届出に係る審査等を行い、圧
気シールド工事における噴発等による労働災害の防止に万全を期されたい。
別添1
平2.12.27 基発第761号
(社)日本建設業団体連合会会長、(社)全国建設業協会会長 殿
(社)全国中小建設業協会会長、(社)日本土木工業協会会長
(社)日本道路建設業協会会長、(社)日本電力建設業協会会長
(社)日本鉄道建設業協会会長、(社)日本電設工業協会会長
(社)日本下水道管渠推進技術協会会長、全国圧気工業協会会長
(社)日本薬液注入協会会長
圧気シールド工事における噴発等による労働災害防止対策の徹底について
労働災害の防止につきましては、労働基準行政の最重点課題の一つとして各種の施策を推進してきたと
ころであります。
しかしながら、本年1月22日、東京都台東区上野5丁目地先のJR御徒町駅前において、圧気シールド
工事における噴発事故が発生し、これに関し、上野労働基準監督署では当該工事を施工していた事業者等
を労働安全衛生法違反の疑いで送致したところでありますが、近年、都市部を中心として地下工事が輻輳
しており、同種の事故による労働災害の発生が懸念されるところであります。
ついては、貴協会におかれましては、会員事業者に対し、工事の施工に際しては、労働安全衛生法等関
係法令の遵守を図ることはもとより、特に下記事項に留意の上、圧気シールド工事における労働災害の防
止について万全を期するよう周知徹底されたく、要請します。
1 事前調査の徹底とその結果に基づく施工計画の作成
(1) 次の事項についての事前調査を徹底すること。
[1] 施工場所の地質、地層、地下水等の状況
[2] 施工場所付近の酸欠空気が漏出するおそれのある井戸等の状況
[3] 施工場所付近の地下工作物の状況
[4] 施工場所付近の建設工事の状況
(2) (1)の調査の結果に適合する施工計画を作成すること。なお、その場合には、特に次の事項に留意
すること。
[1] 空気圧
シールド内部の空気圧については、地質、地層、漏出等の状況に応じた適正な圧力とすること。
特に、透気性の高い地層(砂層(砂によって埋め戻しされた地層を含む。)、砂礫層等をいう。
以下同じ。)、既に終了した工事により地盤が緩んだ部分、土かぶりが小さい部分等については、
噴発の危険性について十分に検討するとともに、圧力低減のために[3]に示す補助工法の採用等
についても検討すること。
[2] 工作物の解体
工事の施工に際して、既存の工作物の解体が必要な場合には、当該工作物の解体に従事する労
働者の安全を確保することはもとより、地山のゆるみを防止するため周辺の地盤等に与える振動
等の影響が少ない施工方法を採用すること。
[3] 補助工法の採用
透気性の高い地層、既に終了した工事により地盤が緩んだ部分、土かぶりが小さい部分等につ
いては、薬液注入工法等の補助工法を採用し、重点的、効果的に施工すること。
2 施工中の地山の点検等及び施工計画の変更
工事の施工に当たっては、地質、地層等の状態について十分に観察を行い、事前調査結果との相違を
常に確認するとともに、ずい道内部の地山の浮石、湧水等の状態の変化の点検、送気量等の測定を行い、
これらの変化に対応する措置に講ずること。また、上記1で作成した施工計画が施工中の点検、測定等
により知り得た地山の状態に適応しなくなったときは、当該施工計画を的確に変更すること。
3 施工計画に基づく施工
上記1で作成した施工計画(上記2で変更した施工計画を含む。以下同じ。)により掘削、ずい道支
保工の施工、湧水の処理等の作業を行うこと。
なお、その場合には、特に次の事項に留意すること。
(1) 空気圧を変更する場合は、作業性だけでなく、地質の透気性、土かぶりの状況等を十分に検討し
た上で行うこと。
(2) 薬液注入については、施工計画どおりの施工を行うこと。また、掘削時に必要に応じその効果の
確認を行うこと。
4 事故が発生した場合の措置
噴発等により、圧気シールド内の作業者に危険又は急激な圧力低下による健康障害の生ずるおそれが
あるときは、作業者を圧気シールドの外部へ退避させること。
別添2
平2.12.27 基発第761号の2
建設大臣官房長、日本鉄道建設公団総裁 殿
日本道路公団総裁、首都高速道路公団理事長
阪神高速道路公団理事長、日本下水道事業団理事長
帝都高速度交通営団総裁、日本電信電話(株)代表取締役社長
東京湾横断道路(株)代表取締役社長
北海道旅客鉄道(株)代表取締役社長
東日本旅客鉄道(株)代表取締役社長
東海旅客鉄道(株)代表取締役社長
西日本旅客鉄道(株)代表取締役社長
四国旅客鉄道(株)代表取締役社長
九州旅客鉄道(株)代表取締役社長
圧気シールド工事における噴発等による労働災害防止対策の徹底について
労働災害防止対策の推進につきましては、平素より格別のご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、建設業における労働災害については、関係各位のご協力により、長期的には減少傾向で推移して
きましたが、最近の工事量の増加等を背景として死亡災害は増加傾向にあり、極めて憂慮される状況にあ
ります。
このような中で、本年1月22日、東京都台東区上野5丁目地先のJR御徒町駅前において、圧気シール
ド工事における噴発事故が発生し、これに関し、上野労働基準監督署では当該工事を施工していた事業者
等を労働安全衛生法違反の疑いで送致したところでありますが、近年、都市部を中心として地下工事が輻
輳しており、同種の事故による労働災害の発生が懸念されるところであります。
このような状況にかんがみ、労働省といたしましては、今般、圧気シールド工事における噴発等による
労働災害防止対策のより一層の徹底を図るべく、別添のとおり関係業界団体に対して要請いたしましたの
で、貴職におかれましても、この趣旨を御理解いただき、その徹底についてなお一層の御協力を賜ります
ようお願い申し上げます。