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改正履歴
一般健康診断及び特殊健康診断の項目追加を内容とする関係規則の改正が本年6月30日に公布され、10
月1日から施行されることとなった。
改正後の健康診断は、健康面での異常や疾病を発見することだけではなく、事業者が労働者の健康状態
を正確に把握した上で、健康指導を適切に実施するとともに、作業管理あるいは作業環境管理に健康診断
結果を役立てることにより、労働者が常に健康な状態で働くことができるようにすることを目指すもので
ある。
この改正後の健康診断が適正に行われ、その結果が有効に活用されるためには、健康診断を実施する健
康診断機関の体制の整備が重要である。
このため、今般、「優良な健康診断機関の育成事業委託要綱」(別紙1)を策定し、平成元年度から、
社団法人全国労働衛生団体連合会(以下「全衛連」という。)への委託事業により、企業外健康診断機関
等で労働者の健康診断業務に従事している医師、衛生検査技師等に対する健康診断全般にわたる知識及び
検査技術等についての講習会及び健康診断機関に対するブラインドサンプル等による精度管理等を実施し、
優良な健康診断機関を育成し、健康診断機関の体制整備を図ることとした。(全衛連による本事業の詳細
については、「全衛連による「総合精度管理事業」の概要」(別紙2)を参照)。
貴職におかれても、本事業の意義を十分理解の上、貴局管内の健康診断機関が本事業に参加するよう特
段の配慮をお願いする。また、別途送付することとしている健康診断機関の本事業への参加状況及びその
評価結果一覧表についても、事業者、産業医等にその内容を周知し、積極的活用が図られるよう併せて特
段の配慮をお願いする。
なお、本事業は、全衛連では「総合精度管理事業」の名称で行われるものであるので申し添える。
別紙1
優良な健康診断機関の育成事業委託要綱
(事業の目的)
1.労働安全衛生法及びじん肺法に定める一般健康診断及び特殊健康診断を行う健康診断機関(以下「健
康診断機関」という。)で労働者の健康診断に従事している衛生検査技師等の専門技術者に対し、健康
診断の実施に必要な知識及び技術についての講習を実施するとともに、健康診断機関の検査精度の評価
及びその結果に基づく指導を行うことにより、精度の高い健康診断を実施できる優良な機関を育成する
ことを目的とする。
(事業の種類及び委託)
2.事業の種類は、健康診断機関で労働者の健康診断に従事している衛生検査技師等の専門技術者に対す
る労働衛生知識等、健康診断の実施に必要な知識及び技術に関する講習会(以下「講習会」という。)、
健康診断機関に対するブラインドサンプル等による精度管理(以下「精度管理」という。)及び精度管
理の必ずしも良好でない健康診断機関に対する技術向上研修(以下「技術向上研修」という。)とし、
社団法人全国労働衛生団体連合会(以下「受託者」という。)に委託して実施することとする。
(講習会受講者対象)
3.講習会の受講対象者は、健康診断機関で労働者の健康診断に従事している医師、保健婦、看護婦、診
療放射線技師、診療エックス線技師、衛生検査技師及び臨床検査技師とする。
(講習会受講者の決定)
4.講習会受講者の決定は、受託者において、3に掲げる者で、かつ、所属の健康診断機関の推薦を受け
た者であって、受講を希望するものの中から、適正かつ良好な健康診断の実施の確保に効果が期待でき
るものを選考し決定するものとする。
(精度管理実施対象機関)
5.精度管理の実施対象機関は、労働安全衛生法及びじん肺法に定める健康診断を主な業務として実施し
ている健康診断機関とする。
(精度管理実施機関の決定)
6.精度管理の実施機関の決定は、受託者において、5の機関で実施を希望するものの中から、労働省労
働基準局長と協議し、適正かつ良好な健康診断の実施の確保に効果が期待できるものを選考し決定する
ものとする。
(技術向上研修受講対象機関)
7.技術向上研修の受講対象機関は、精度管理実施機関のうち精度管理の必ずしも良好でない機関とする。
(技術向上研修対象機関の決定)
8.技術向上研修の受講対象機関の決定は、受託者において7に掲げる機関で、かつ研修により精度向上
が期待できるものを選考し決定するものとする。
(実施計画についての協議)
9.講習会及び精度管理に係る講習科目、講習時間、精度管理実施項目、研修科目、研修時間及び事業経
費等の計画については、受託者が別紙様式第1号の「優良な健康診断機関の育成事業実施計画書」によ
り作成することとし、作成に当たっては、あらかじめ、労働省労働基準局長と協議するものとする。
(契約)
10.労働省労働基準局長と受託者とは、9の協議終了後、別紙様式第2号(略)の「優良な健康診断機関
の育成事業委託契約書」に基づき、委託契約を締結するものとする。
(実施報告)
11.受託者は、10により契約した事業が終了したときは、すみやかに別紙様式第3号(略)の「優良な健
康診断機関の育成事業実施報告書」を作成し、労働省労働基準局長に提出するものとする。
(様式第1号)
(様式第2号)
優良な健康診断機関の育成事業委託契約書 (略)
(様式第3号)
平成元年度優良な健康診断機関の育成事業実施報告書 (略)
別紙2
全衛連による「総合精度管理事業」の概要
1.実施者
社団法人全国労働衛生団体連合会
2.協賛
日本医師会及び中央労働災害防止協会
3.対象機関
労働者に対して健康診断を実施している全ての健康診断機関のうち本事業へ参加を申し出た機関とする。
4.事業内容
(1) 講習会の実施
医師、臨床検査技師又は衛生検査技師、診療放射線技師又は診療エックス線技師、保健婦又は看
護婦を対象に、健康診断全般にわたる基本的事項及び専門技術的事項についての講習を行う。
(2) 技術面の精度管理調査の実施
ア 鉛・有機溶剤に係る生体試料検査に関する精度管理調査
参加機関に対してブラインドサンプルを送付し、各機関から測定結果報告書を提出させ、その
測定値の精度を評価するとともに、必要な指導を行う。
イ 臨床検査に関する精度管理
当面、日本医師会が実施する「臨床検査精度管理調査」の結果等により、各参加機関の臨床検
査の測定値を評価するとともに、必要な指導を行う。
ウ エックス線写真に関する精度管理調査
各機関から当該機関で撮影した胸部エックス線写真の提出を求め、当該写真の撮影技術及び読
影技術について評価するとともに、必要な指導を行う。
(3) 技術向上研修の実施
ア 技術面の精度管理調査の結果、生体試料の測定結果又はエックス線写真の撮影技術についての
評価が一定レベルに達しない機関等に対して、実技指導を中心とした技術向上研修を行うものと
する。
イ その他必要により実技指導を中心とした技術向上研修を行う。
5.本事業結果の活用
本事業に参加し、一定のレベルに達した機関については、関係者に対して周知広報を行い、事業場に
おける労働衛生が適正に推進されるよう本事業結果の活用を図る。
(図) 優良な健康診断機関の育成事業の流れ