労働基準法 第二章
労働契約(第十三条−第二十三条) |
労働基準法 目次
(この法律違反の契約)
第十三条 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とす
る。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。
(契約期間等)
第十四条 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほ
かは、三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、五年)を超える期間について締結して
はならない。
一 専門的な知識、技術又は経験(以下この号及び第四十一条の二第一項第一号において「専門的知識
等」という。)であつて高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有す
る労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約
二 満六十歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)
2 厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者
と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係
る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。
3 行政官庁は、前項の基準に関し、期間の定めのある労働契約を締結する使用者に対し、必要な助言及び
指導を行うことができる。
(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示し
なければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他厚生労働省令で定める事
項については、厚生労働省令に定める方法により明示しなければならない。
2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契
約を解除することができる。
3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合に
おいては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
(賠償予定の禁止)
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしては
ならない。
(前借金相殺の禁止)
第十七条 使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。
(強制貯金)
第十八条 使用者は、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならな
い。
2 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合においては、当該事業場に、労
働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がな
いときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出なければなら
ない。
3 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合においては、貯蓄金の管理に関する規程
を定め、これを労働者に周知させるため作業場に備え付ける等の措置をとらなければならない。
4 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金
の受入であるときは、利子をつけなければならない。この場合において、その利子が、金融機関の受け
入れる預金の利率を考慮して厚生労働省令で定める利率による利子を下るときは、その厚生労働省令で
定める利率による利子をつけたものとみなす。
5 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、労働者がその返還を請求した
ときは、遅滞なく、これを返還しなければならない。
6 使用者が前項の規定に違反した場合において、当該貯蓄金の管理を継続することが労働者の利益を著
しく害すると認められるときは、行政官庁は、使用者に対して、その必要な限度の範囲内で、当該貯蓄
金の管理を中止すべきことを命ずることができる。
7 前項の規定により貯蓄金の管理を中止すべきことを命ぜられた使用者は、遅滞なく、その管理に係る
貯蓄金を労働者に返還しなければならない。
(解雇制限)
第十九条 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三
十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇し
てはならない。但し、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他
やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
2 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。
(解雇の予告)
第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなけ
ればならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。
但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰
すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
2 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することが
できる。
3 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。
(解雇予告の除外)
第二十一条 前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第一号に該当
する者が一箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第二号若しくは第三号に該当する者が所定
の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第四号に該当する者が十四日を超えて引き続き使
用されるに至つた場合においては、この限りでない。
一 日日雇い入れられる者
二 二箇月以内の期間を定めて使用される者
三 季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者
四 試の使用期間中の者
(退職時等の証明)
第二十二条 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又
は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合
においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
2 労働者が、第二十条第一項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由
について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただ
し、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者
は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。
3 前二項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。
4 使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、
社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は第一項及び第二項の証明書に秘密の記号を記
入をしてはならない。
(金品の返還)
第二十三条 使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、
七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する
金品を返還しなければならない。
2 前項の賃金又は金品に関して争がある場合においては、使用者は、異議のない部分を、同項の期間中
に支払い、又は返還しなければならない。