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改正履歴
近年、流通経済の合理化が著しく進み、港湾荷役作業においてもシステムの近代化により貨物のコンテ
ナ輸送が急激に進んでいる状況にある。
これに伴い、コンテナ荷役作業が行われるコンテナ専用埠頭及び公共埠頭においては、荷役のスピード
化、効率化等を図るため、ストラドルキャリヤーが多数使用されるに至っているところであるが、機械の
所有者と稼動を行う者が異なる等、その稼動に係る管理形態が複雑で、かつ、その稼動場所で他の作業等
が混在して行われることが多いことからストラドルキャリヤーと作業者との接触による災害発生の危険性
はかねて指摘され現に死亡事故も発生しているところである。
これらのこと及び、今後、コンテナ荷役システムの合理化が一層進むことに伴い、ストラドルキャリヤ
ーの使用台数はさらに増加するものとみられることにかんがみ、今般別添のとおり「ストラドルキャリヤ
ー安全対策要鋼」(以下「対策要鋼」という。)を策定したので、下記に留意の上、関係事業者等への周
知徹底に努められたい。
記
1 対策要鋼の周知徹底を図るため、ストラドルキャリヤーの稼働が行われているコンテナ専用埠頭又は
公共埠頭ごとに、一般港湾運送事業者、荷役事業者等を対象として集団指導を行うこと。
2 対策要鋼2の(4)の「ストラドルキャリヤー安全対策協議会」については、すでに、埠頭ごとに安全
対策協議会等が設置されている場合は、既存の当該協議会等の機能を活用して差し支えないこと。
なお、この場合は、対策要鋼2の(4)のイの構成員が協議会等に参画するよう指導すること。
3 埠頭公社、港湾局等の港湾管理者に対しては「ストラドルキャリヤー安全対策協議会」への積極的な
参加を要請すること。
また、公共埠頭において、ストラドルキャリヤーの稼動作業と他の作業とが常態的に混在して行われ
ている場合には、埠頭の設備等の計画的な整備が図られるよう港湾管理者に協力を求めること。
4 対策要鋼の記の5のストラドルキャリヤー運転者等に対する安全教育の実施については別途指示する
ところによること。
(別途)
ストラドルキャリヤー安全対策要鋼
1 基本的考え方
コンテナ専用埠頭(以下「専用埠頭」という。)及び公共埠頭のコンテナヤード等におけるストラド
ルキャリヤーによるコンテナ荷役作業については、複数の事業者の労働者が混在した状態で行われるこ
とが多いことから、以下の措置を講ずることにより、関係事業者間の連絡体制の充実、安全管理体制の
整備等を促進することとする。
(1) 一般港湾運送事業者であって、ストラドルキャリヤーの稼動を自ら行い、又は他の港湾荷役事業
者(船内荷役事業者及び沿岸荷役事業者をいう。以下「荷役事業者」という。)に行わせるもの
(以下「運送事業者」という。)は、ストラドルキャリヤーの稼動に係る管理者(以下「稼動管理
者」という。)を選任し、ストラドルキャリヤーによるコンテナ荷役作業について的確な安全管理
を進めること。
(2) ストラドルキャリヤーが稼動する専用埠頭及び公共埠頭ごとに、ストラドルキャリヤー安全対策
協議会(以下「協議会」という。)を設置し、作業の安全に関して必要な事項の協議を行うこと。
(3) 運送事業者は港湾管理者と協議し、ストラドルキャリヤーの稼動区域の安全と設備等の改善を図
ること。
(4) 運送事業者は、下記3の(2)のストラドルキャリヤーの安全な稼動基準を遵守して、ストラドル
キャリヤーを稼動すること。
2 安全管理体制の整備について
(1) 稼動管理者の選任とその職務
運送事業者は、ストラドルキャリヤーの稼動管理について精通している者のうちから稼動管理者
を選任し、その者に次の業務を行わせること。
イ 当該作業日の荷役計画に基づき、当該運送事業者が行う作業と荷役事業者及び関係事業者(スト
ラドルキャリヤーの稼動区域内で作業する検数検量事業者及び港湾運送関連事業者をいう。以下同
じ。)が行う作業との相互間の連絡調整を行うこと。
ロ 上記イの連絡調整に基づき、当該作業日におけるストラドルキャリヤーに係る稼動計画(以下
「稼動計画」という。」を作成すること。稼動計画には、労働安全衛生規則第151条の3の車両系
荷役運搬機械等の作業計画の記載事項(運行経路及び当該車両系荷役運搬機械等による作業の方法)
のほか、ストラドルキャリヤーの稼動時間、稼動区域及び作業相互間の連絡に関して必要な事項を
記載すること。
ハ 稼動計画を荷役事業者、関係事業者及び港湾管理者に連絡すること。
ニ 稼動計画を当該運送事業者に周知すること。
ホ 下記3の(2)のストラドルキャリヤーの安全な稼動基準に関し、荷役事業者及び関係事業者並び
にこれらの労働者に対し、指揮及び助言を行うこと。
(2) 公共埠頭の稼動管理者の追加業務
公共埠頭においては、当該運送事業者のストラドルキャリヤーの稼動区域と他の運送事業者のス
トラドルキャリヤーの稼動区域又は他の一般港湾運送事業者等の作業区域が隣接あるいは近接して
いる場合に並行して作業が行われる場合が多いため、公共埠頭においてコンテナ荷役作業を行う運
送事業者は、その稼動管理者にさらに次の業務を行わせること。
イ 上記(1)のイの連絡調整の相手方に隣接あるいは近接した場所で並行して作業を行う予定の他の
運送事業者及び他の一般港湾運送事業者等(以下「近接事業者」という。」を含めて、上記(1)の
イの連絡調整を行うこと。
ロ 稼動計画にあっては近接事業者にも連絡を行うこと。
(3) 作業指揮系統の整備
イ ストラドルキャリヤーの稼動を自ら行う運送事業者又は荷役事業者は、労働安全衛生規則第151
条4に基づき選任した作業指揮者に次の事項を行わせること。
なお、作業指揮者は「沿岸荷役主任者に対する安全教育」(昭和54年5月2日付け基発第212号
「安全衛生教育の推進について」記3によるもの)を修了した者のうちから選任すること。
(イ) 稼動計画に基づき作業の指揮を行うこと。
(ロ) 作業開始前にストラドルキャリヤーの稼動区域の安全を確認し、かつ、労働安全衛生規則第
151条の41に規定する事項、作業用具、設備等を点検すること。
(ハ) 作業中、必要に応じて稼動管理者及び稼動区域内で行われる他の作業との連絡をとること。
ロ 船内荷役作業、検数、検量作業等がストラドルキャリヤーの稼動区域内で行われる場合には、こ
れらの作業を行う事業者は、その選任した船内作業主任者等に、作業中必要に応じて稼動管理者及
び前記イの作業指揮者と連絡をとること。
ハ ストラドルキャリヤーの稼動区域内で臨時に作業(港湾荷役作業以外のものを含む。)を行う場
合には、その事業者は当該作業の内容、方法及び人員等を事前に稼動管理者に連絡し、その指示に
より作業を行うこと。
(4) ストラドルキャリヤー安全対策協議会
イ 協議会は、専用埠頭及び公共埠頭の各埠頭ごとに設置し、運送事業者、荷役事業者及び常態的に
作業をする関係事業者を構成員とすること。また公共埠頭にあっては、これらの者のほか関係海運
会社及びその代理店も構成員に加えること。
なお、協議会の円滑な運営を図るため、港湾管理者に対しては、協議会への参加を求め、港湾貨
物運送事業労働災害防止協会支部に対しては、協議会への指導援助を求めること。
ロ 協議会は定期に開催するものとし、次の事項について協議を行うものとすること。
(イ) 稼動管理者が行う連絡調整に関すること。
(ロ) 稼動計画に関すること。
(ハ) ストラドルキャリヤー稼動区域の安全及び設備等の改善計画に関すること。
(ニ) ストラドルキャリヤー安全作業標準及び点検基準の作成及び周知に関すること。
(ホ) ストラドルキャリヤーの点検・整備に関すること。
(ヘ) 合図の統一に関すること。
(ト) その他作業の安全に関して必要な事項に関すること。
3 ストラドルキャリヤーの稼動に伴う安全確保
(1) 稼動区域における安全の確保と設備の改善等
イ 運送事業者は、ストラドルキャリヤーの稼動区域内の作業の安全を図るため、次の措置を講じ、
稼動管理者を通じて荷役事業者及び関係事業者に周知すること。
(イ) ストラドルキャリヤーの稼動区域と一般道路、歩道等とが明確に区分されている場所におい
ては原則としてストラドルキャリヤーの一般道路、歩道等への進入を禁止すること。
なお、ストラドルキャリヤーを一般道路、歩道等へ特に進入させる必要がある場合には、誘
導者又は見張人を配置し、通行車両及び通行人の安全を確保すること。
(ロ) 作業者にストラドルキャリヤーの稼動区域内を通行させる場合には、専用の歩道又はヤード
カーを利用させ、稼動区域内をみだりに歩行させないこと。
(ハ) ストラドルキャリヤーの稼動区域内でコンテナヤードの設備の補修等の臨時の作業を行う場
合には、当該作業場所に仕切り柵及び標識を設置してストラドルキャリヤーの進入を禁止する
こと。
(ニ) 運送事業者、荷役事業者及び関係事業者は、夜間にストラドルキャリヤーの稼動区域内で作
業をさせる場合には、当該作業者に夜光塗料を塗布した保護帽及びジャケットを着用させると
ともに、連絡用の警笛又は必要によりハンドマイクを携帯させること。
ロ 運送事業者は、港湾管理者と協議の上、次のとおり設備の改善を図るよう努めること。
(イ) 岸壁のコンテナクレーン(橋型クレーン)の脚部等に必要に応じてミラーを設置すること。
(ロ) 稼動区域の夜間照明については、作業の安全に必要な照度を保持すること。
(ハ) ヤードカーの車体上部に黄色せん光灯等を設置すること。
(2) ストラドルキャリヤーの安全な稼動基準
ストラドルキャリヤーの稼動を自ら行う運送業者又は荷役事業者はストラドルキャリヤーの運転
者に次の稼動基準を守らせること。
イ ストラドルキャリヤーの構造上定められた能力を越える荷重で使用しないこと。
ロ 定められた制限速度を遵守すること。
ハ 急発進、急停止、急旋回等の操作を行わないこと。
ニ 荷を運搬するときは、原則として荷を低く下げた状態で走行し、旋回するときは徐行して進行方
向の安全を確認すること。
ホ コンテナクレーンの真下でラッシング用具の着脱作業が行われている場合には、作業指揮者又は
誘導者の合図によりストラドルキャリヤーの発進、停止等を行うこと。なお、合図は協議会で定め
たものによること。
ヘ 荷役作業、検数、検量作業等がストラドルキャリヤーの稼動区域内で行われる場合で、作業の安
全に必要な場合は、誘導車又は誘導者の合図により稼動を行わせること。
ト 運転位置から離れる場合は、エンジンを停止させ、駐車用ブレーキを確実にかけるとともに始動
用キーを抜くこと。
なお、スプレッダーは最低降下位置におくこと。
チ 作業開始前に労働安全衛生規則第151条の41の規定による点検を行うとともに、運転席の窓、ミ
ラーの点検・清掃を行うこと。
(3) 点検整備の実施
ストラドルキャリヤーの稼動を自ら行う運送事業者又は荷役事業者は、労働安全衛生規則第151
条の38及び第151条の39による定期自主検査を確実に行い、異常の早期発見と整備に努めること。
4 ストラドルキャリヤーの運転者の資格
ストラドルキャリヤーの稼動を自ら行う運送業者又は荷役事業者は、その運転者について港湾貨物運
送事業労働災害防止協会が実施する「ストラドルキャリヤー運転業務教育」を受講した者をあてるよう
努めること。
5 安全教育の実施
(1) ストラドルキャリヤー運転業務教育
前記4のストラドルキャリヤー運転業務教育については別途示すところにより実施するものとす
ること。
(2) 稼動区域内の作業者等に対する教育
ストラドルキャリヤーを稼動させる事業者は、稼動区域内で作業する労働者に対してストラドル
キャリヤーの危険性等について必要な安全教育を実施すること。