火力発電所設備の改造・修理時等における爆発・火災による労働災害の防止について |
改正履歴
爆発・火災による労働災害の防止については、かねてからその徹底を図ってきたところであるが、本年
5月26日、火力発電所のボイラー改造関連工事において、爆発により労働者4名が死亡するという重大災
害が発生し、大きな社会的関心を呼んだところである。
火力発電所では、ボイラー等の定期検査の際に関連設備の改造工事が行われることが多く、その際には
危険物が残留している状態で工事を行うこととなる場合もある。
これらの工事における爆発・火災による災害を防止するためには、工事を請け負った事業者が残留危険
物による災害を防止するための対策を講じることとなるが、当該対策を実効あるものにするためには、発
注者である電気事業者と十分密接な連携を図る必要がある。
このため、今般別添のとおり発注者の団体である電気事業連合会に対し、発注時における安全の確保等
同種災害の防止について要請したので、貴局においても、関係事業者に対して、本要請の趣旨を徹底し、
労働災害防止対策の一層の促進を図られたい。
別添
電気事業連合会
会長 那須 翔 殿
労働省労働基準局長
火力発電所設備の改造・修理時等における爆発・火災による労働災害の防止について
昭62.10.20 基発第608号
労働災害の防止につきましては、労働基準行政の最重要課題の一つとして各種の施策を推進していると
ころでありますが、先般、東京都品川区内で火力発電所のボイラー改造関連工事において、爆発災害が発
生し、4名の労働者が死亡したことは、誠に遺憾に堪えないところであります。
このような災害を防止するためには請負業者が自らの責任において安全管理を行うことは当然のことで
ありますが、さらに、施設を管理する発注者と請負業者の密接な連携を図りながら安全管理を推進するこ
とが重要であると考えられます。
貴会におかれましては、かねてから労働災害の防止に積極的に取り組まれているところでありますが、
火力発電所設備の改造、修理等の工事の発注に際しては、爆発・火災を防止するため、下記事項について、
貴会会員事業場になお一層の周知徹底を図られるよう要請いたします。
記
1 安全性に関する事前評価の充実
火力発電所設備の改造、修理等の工事を発注する場合は、工事施工過程における作業内容、作業環境、
災害防止対策等の作業の安全性について事前評価を行うとともに、その評価結果を仕様書等により具体
的に反映させること。
2 工事の着工前における関連設備の安全の確保
改造、修理等の工事においては、工事が安全な状態で行われるよう関連設備について、次に掲げる措
置が確保されていることを確認すること。
(1) 脱圧、脱液及びパージ
(2) バルブ・コック及び閉止板の管理
(3) 設備電源の管理
(4) その他必要事項
3 元方事業者に対する指導
工事を分割して発注する場合にあっては、元方事業者のうちから次の事項を講ずべき者を指名すると
ともに、これらの事項を確実に実施するよう指導すること。
(1) 災害防止協議会の運営
(2) 作業間の連絡及び調整
(3) 作業場所の巡視
(4) 関係請負人が行う安全教育に対する指導及び援助
4 関係請負人に対する災害防止に関する事項の周知徹底
関係請負人の責任者を対象に、あらかじめ火力発電所設備の状況、工事の概要、工事着工要領等を含
め安全に関する注意事項、諸手続について周知すること。
特に危険物取扱作業及び火気使用作業に係る安全作業マニュアルは、元方事業者のみならず実際に施
工を行う関係請負人も含めてその徹底を図ること。
また、短期入場者を含め、入場者全員に対し、安全作業に係る事項が周知されるよう関係請負人を指
導すること。
5 工事の施工時における安全の確保
元方事業者との連携を密にし、作業予定、作業内容、作業員の配置等について把握するよう努めるこ
と。
特に、溶接等の火気使用作業は、その作業箇所から危険物等を確実に除去する等の措置を講じた後に
行わせるとともに、火気の使用に当たっては、発注者の工事担当部門が事前に承認したうえで実施させ
る等により、安全作業の実施の確保を図ること。