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改正履歴
標記指針に基づく労働衛生管理の推進については、昭和60年12月20日付け基発第705号「VDT作業の
ための労働衛生上の指針について」により指示されたところであるが、関係事業場を指導するにあたって
は、下記の事項に留意されたい。
記
1.指針の周知、徹底について
各都道府県労働基準局、労働基準監督署における集団指導、安全衛生団体による説明会等できるだけ
多くの機会を通じ、VDT作業者を使用する事業所において本指針に基づく労働衛生管理が行われるよ
う、関係事業者に対して指針の周知及び徹底を図ること。
その際に、VDT作業における労働衛生対策を進める上で作業環境管理、作業管理及び健康管理のい
わゆる3管理が重要である。その徹底を図るためには、衛生委員会等の組織を通して、衛生委員会が設
置されていない事業場にあっては関係労働者の意見を聴くなどして、労働衛生管理活動を進めることが
必要である。
2.指針運用上の留意事項について
(1) 指針の対象
指針の2に記されている事務所衛生基準規則(以下「事務所則」という。)第1条第1項に規定
する事務所は、建築物(土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの、又は地
下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、倉庫その他これに類する施設等)又はその一部
で事務作業に従事する労働者が主として使用するものをいい、工場、建設現場、鉱山、百貨店など
の事務所はこれに該当するが、工場内の作業現場の一部において、ついたて等を設けて事務作業を
行っている現場事務所は事務所則にいう事務所に該当しないこととされている(昭和46年8月23日
付け基発第597号「事務所衛生基準規則の施行について」)。
指針の解説において「事務所以外の屋内作業場において行われるVDT作業についても、本指針
を参考にして労働衛生管理を行うことが望ましい。」とされているのは、上記の現場事務所及びこ
れに類似する場所において行うVDT作業についても、本指針を参考にして、事務所におけるVD
T作業に準じた労働衛生管理を行うことが望ましいという趣旨である。
また、VDT作業に類似する作業の例としては、CRTディスプレイは用いるが、キーボード以
外の入力装置(ライトペン、タッチペン、タッチパネル、デジタイザー、マウス等)を使用する作
業がある。
(2) 作業形態の区分
作業形態の区分については、指針の解説末尾の参考1「VDT作業における労働衛生管理の目安」
の別紙に示されているが、別添「作業形態の区分の例」を参考にされたいこと。
(3) 作業負担の少ない業務計画の策定
指針の解説において、「VDT作業の実態に基づいて作業負担の少ない業務計画を策定する」及
び作業形態Aに該当する者については「一日のVDT作業時間が短くなるように、作業仕組みやロ
ーテーションについて工夫する」などの配慮が必要である旨示されている。
この場合、VDT作業者の疲労の蓄積を防止する観点から、個々の労働者の特性を十分に配慮し
て計画を定める必要があるほか、作業計画の基本に係る基本的事項は衛生委員会等で十分に検討し、
計画の実施段階においてもこの計画が個々の労働者に適合するかどうか、試行を通じて確認するな
どの細かい配慮が必要である。
(4) 作業休止時間
連続作業1時間毎に10〜15分の作業休止時間と連続作業の途中に1〜2回の小休止をとることの
有効性については指針の解説において示されているとおりであるが、各事業場においては、VDT
作業の内容に応じた作業休止時間及び小休止のとり方の工夫について業務計画の策定時に検討する
ほか、作業休止時間及び小休止がとりやすい環境づくりに努めるよう指導すること。
(5) 椅子の座面の高さの調整
指針において、大多数のVDT作業従事者が適切な作業姿勢をとることができるようにするため、
「床からの座面の高さは少なくとも35〜45cmの範囲で調整できること」としているが、当該椅子を
使用するVDT作業従事者の体格に大きな差異がなく、これよりも少ない調整幅で各作業者が適正
な作業姿勢をとることができる事業場においては、必ずしもこの調整幅を必要としない趣旨である
こと。
現在使用している椅子が大多数のVDT作業者には適合するが、極く少数の作業者には調整幅い
っぱいに調整してもなお高すぎたり、低すぎたりする場合には、これらの人達に適合しうる調整可
能な椅子を調達する方法がある。
また、足台等を用いることにより各々の作業者に望ましい姿勢が確保できるのであれば、固定式
の椅子の使用も当面の措置として差し支えないこと。
(6) 健康相談
自覚症状を訴える者が出た場合には、速やかに適切な措置を講じることが重要である。
また、健康診断結果に基づく事後措置の解説において示されている疲労要因等については、健康
相談の機会を通じて関係労働者に正しい理解が得られるように配慮すること。
3.VDT作業者等に対する労働衛生教育について
VDT作業者等に対する労働衛生教育については、指針の7において示されているが、これらの者の
教育を行う講師の養成のためのインストラクター教育を含めその実施要領を検討しており、現在、テキ
ストの作成段階であるのであらかじめご了承願いたい。
(参考)
VDT作業従事者等に対する労働衛生教育計画(骨子) (表)
(別 添)
作業形態の区分の例
1.作業形態
作業形態Aに該当する労働者とは、指針別紙の「VDT作業形態の区分」の〈作業形態A〉の解説に
おいて「一日の労働時間を通じて連続VDT作業に専ら従事する労働者を指す。」とされているが、
「連続VDT作業」とは、一日の労働時間のうち、終業時の業務打ち合わせ、書類の受け渡し、VDT
機器等の調整、始業時の業務報告又は作業間に生じるメモ取り、事務連絡、手待ち時間等を除き、専ら
CRTディスプレイ画面の注視又はキー操作をほぼ連続して行う作業をいうものであること。
この区分に該当する労働者の例としては、ワープロセンター等において文書の作成、修正又は編集を
行う専任のオペレーター、伝票等からデータの入力、修正等を行う専任のオペレーター、コンピュータ
プログラム作成を行う専任のプログラマー等がある。
なお、連続VDT作業にVDT作業以外の作業を組み合わせることにより、作業形態Aに該当してい
た労働者が作業形態Cに該当することとなった場合においても、組み合わされた作業の時間が一日当た
りおおむね2時間以下であるものについては、作業形態Aに該当する労働者として取り扱うこととする。
また、労働衛生の観点から、作業休止をとること等により上記の連続VDT作業が中断されたとして
も、本指針の運用上は「断続的VDT作業」ではなく「連続VDT作業」として取り扱われるものであ
ること。
2.作業形態B
作業形態Bに該当する労働者とは、指針において「一日の労働時間を通じて断続的なVDT作業に専
ら従事する労働者を指す。」とされているが、「断続的なVDT作業」とは、VDTを使用する一連の
作業にVDT作業以外の作業や手待ち時間が含まれており、CRTディスプレイ画面からのデータ等の
読み取り又はキーの操作が小刻みにあるいはしばしば中断する作業をいい、この区分に該当する例とし
ては、VDT作業と顧客への電話サービスを行う航空券の予約作業がある。
3.作業形態C
作業形態Cに該当する労働者とは、指針において「一日の労働時間の一部をある程度まとまったVD
T作業に費やす労働者(作業形態A及びBの者を除く。)を指す。」とされているが、おおむね一回あ
たり1時間程度以上まとまったVDT作業を行う者であって、上記1及び2に掲げる者以外の者をこの
区分に該当する労働者として取り扱うものとする。
4.作業形態D
作業形態がA、B又はCのいずれにも属さない労働者で、毎日はVDT作業がないもの、あるいは毎
日あっても一回あたりの作業がおおむね1時間未満のものをいう。