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改正履歴
フロンは、一部のものを除き常温でガス状で存在し、低毒性であるが、ガス状のフロンは空気と置換し、
酸素欠乏の原因となるものであり、また、液状のフロンにあっては、凍傷又はフロンの分解生成物による
中毒を発生させるおそれもある。
フロンは、最近では冷媒としてばかりでなく、溶剤、発泡剤等としても広範囲に使用されてきているが、
事業者のフロンに対する危険性の認識が乏しく、酸素欠乏災害等の防止措置が不十分である場合が少なく
ない。このため、近年、別添のとおり酸素欠乏災害が発生しているところである。
ついては、フロンを使用している事業場の監督指導に当たっては、フロンを用いて電気機器部品、機械
加工部品等の洗浄を行う洗浄装置(以下「フロン洗浄装置」という。)の内部に立ち入って行う作業等酸
素欠乏症等防止規則の適用のある作業については、事業者に対し同規則に定める措置を講じさせることは
もちろんであるが、上記以外の作業についても下記の措置を講じるよう指導し、フロンによる酸素欠乏災
害等の防止対策の徹底を図られたい。
記
1 酸素欠乏症の防止
(1) フロン洗浄装置又はフロンを用いてドライクリーニングを行うドライクリーニング装置(以下
「フロンドライクリーニング装置」という。)を使用する作業を行う場合は、次の措置を講じるこ
と。
イ 作業方法及びフロンガスの比重等からみてフロンガスを排出するのに適した位置に換気装置を設
け、かつ、作業を行っている間、有効に稼動させること。
ロ 作業に従事する労働者に対し、フロンが入っているフロン洗浄装置の洗浄槽内又はフロンドライ
クリーニング装置の洗濯槽(別名ワッシャー)内に頭部を入れないようにさせること。
なお、やむを得ず頭部を入れて作業を行わせる場合には、次のいずれかの措置を講じること。
(イ) 作業に先立って、槽内のフロンを排出し、槽内の換気を十分に行い、かつ、槽内の酸素濃度
が18%以上であることを確認すること。
(ロ) 作業に従事する労働者に空気呼吸器、酸素呼吸器又は送気マスクを使用させること。
ハ フロン洗浄装置又はフロンドライクリーニング装置についてフロンの補充、排出等の作業を行う
際に、フロンが多量に漏えいし、又はこぼれた場合には、直ちに労働者を当該場所から退避させ、
当該場所の換気を十分に行うこと。
ニ フロン洗浄装置、フロンドライクリーニング装置又はフロンが冷媒として使用されている冷凍装
置等(以下「装置」という。)の清掃、修理、改造、解体等の作業を行う場合は、次の措置を講じ
ること。
(イ) 作業の方法及び順序を決定し、あらかじめ、これらを作業に従事する労働者に周知すること。
(ロ) 作業を開始する前及び作業を行っている間は、作業場所を十分に換気すること。
(ハ) 装置の作業箇所からフロンを確実に排出し、かつ、当該装置の作業箇所に接続しているすべ
ての配管から作業箇所にフロンが流入しないようバルブ、コック等を確実に閉止すること。ま
た、当該バルブ、コックに施錠をし、これらを開放してはならない旨を見やすい箇所に表示し、
又は監視人を置くこと。
(ニ) 作業中にフロンが多量に漏えいした場合には、直ちに労働者を当該場所から退避させ、当該
場所の換気を十分に行うこと。
(2) 船倉の内部、天井裏、床下その他通風が不十分な場所において、フロンを発泡剤として使用する
場合は、次の措置を講じること。
イ 酸素欠乏症の防止について必要な知識を有する者のうちから作業指揮者を定め、その者に当該作
業を直接指揮させること。
ロ 作業に従事する労働者に空気呼吸器、酸素呼吸器又は送気マスクを使用させること。
2 凍傷の防止
低沸点の液状のフロンが皮膚に触れると凍傷を起こす原因となるので、その取扱いに当たっては、作
業に従事する労働者に保護手袋及び保護眼鏡を着用させること。
3 分解生成物による中毒の防止
フロンは、高温源に直接接触すると、塩化水素、ホスゲン、弗化水素等を生じるので、フロンを使用
している作業場においては、ストーブ等を使用しないこと。また、フロンを使用している作業場は禁煙
とすること。
4 教育
労働者を雇い入れ、又は労働者の作業内容を変更したときは、労働安全衛生規則第35条の規定により、
当該労働者に対し、雇入れ時等の教育を行うことが必要であるが、新たにフロンを取り扱う作業に労働
者を就かせるときは、フロンによる酸素欠乏災害等の防止の徹底を図るため、雇入れ時等の教育を行う
際に次の事項について特に留意すること。
(1) フロンの危険性
(2) 酸素欠乏症の症状
(3) 適切な作業方法及び作業手順
(4) 空気呼吸器等の使用の方法
(5) 事故の場合の退避及び救急そ生の方法
(6) その他フロンによる酸素欠乏災害等の防止に関し必要な事項